出荷停止から3ヶ月超、ついに復活した『クラフトボス ラテ』。それが話題作りのためではない理由とは?

ちょっとはミルキーで甘くあってほしいと思うなら!

 

今年6月13日に発売されたものの、その3日後に出荷一時停止となった幻の『クラフトボス ラテ』。ネット上では”話題作りのために最初から製造数を少なくしたのでは?”という疑惑が飛び交った。しかしその説には実は少々無理がある。サントリー食品インターナショナルがグローバルな基準で運営されていることを考えれば、”わざと”は生じにくいのだ。

機会損失は企業の利益に害をなす。メーカーが売り切れよりも売れ残りを目指す理由

 

サントリー食品インターナショナル『クラフトボス ラテ』(500ml・希望小売価格 税抜170円・2017年10月3日発売再開)は、近年のスペシャルティーコーヒーの味わいを気軽にリキャップ可能なボトルで、デスクサイドで継続的に楽しめるいわゆる”ちびちび飲み”対応商品。缶コーヒーで築き上げたブランド力と利便性の高い容器で大ヒットとなりかけた。

なりかけた、と言うのは当初の売り上げ予想を見誤り、出荷数が追いつかずに販売一時停止になってしまったから。同シリーズ第1弾として4月4日に発売された「クラフトボス ブラック」は店頭で見かけるものの、『クラフトボス ラテ』が見かけることがないのはそのせいだ。

発売するやいなや、あっという間に売り切れてしまえば話題になるだろうと考えるのは、古くから「完売御礼」「売切御免」などの販売方法が良しとされてきた日本の販売作法の歴史があるから。しかしグローバルな商習慣から考えると、これはアウト。

世界標準でいうと、こうした売り切れは在庫ミスというオペレーションの失策にカウントされる。つまり本来売り切れていなければ得られた利益を失ったという考え方だ。つまり企業としては売り切れ、出荷停止は決して名誉なことではないのである。欧米ではこうした機会損失は経営陣にペナルティーを求めるくらい株主が厳しくチェックするもの。わざとやるのはあまりにもリスキーなのだ。

なので「売り切れました!」と胸を張れるのはガラパゴスな日本の営業マンのみ。「すみません、売れ行きの予測不足で失態を招いしてしまい、損害を与えてしまいました」と考えるのが正解。むしろほどほどに売れ残るのが正しい在庫調整なのである。サントリーの中の人に聞いても、「ぶっちゃけ利益損」と答えていたのは、至極当然だ。

 

「クラフトボス ブラック」のみ店頭に置かれていた理由と『クラフトボス ラテ』のすっきりした味わい

出荷が追いつかないとなると、工場の生産リソースを集中する必要がある。サントリーは3工場で生産していたそうだが、それをベース出荷量が多かった「クラフトボス ブラック」の生産に特化することによって、共倒れを避けた。これも当然のオペレーション。人気はあっても二番手の方を、まずは切るしかなかったのだ。

「クラフトボス ブラック」を飲んでみるとわかるが、その特徴はデスクサイドにお茶や水の代わりに置いておくのに適した味わい。濃すぎるとちびちび飲みはしにくいが、ゴクッと飲んで美味しく感じる、この薄さのバランスは実に絶妙。ファンを増やしたのもよくわかる。

その流れを汲んでいるのが、『クラフトボス ラテ』。こちらは無糖ブラックまでいかないが、ライトな飲み口で、うっすらと甘いラテ感覚が美味しいこれまた絶妙の薄さがたまらなくちびちび飲みに向いた製品。強く握るとペコっと凹むペット素材の薄さもチルド製品を思わせる分、新鮮感がある。

 

 

牛乳と砂糖という鉄板の甘み付けも完璧で、まさにデスクサイドのために生まれた働く人のためのボス。もともとボスは“働く人の相棒コーヒー”として、缶コーヒーはブルーカラー・イメージがあったが、こちらはホワイトカラーにも似合いやすい仕立てとなっている。

 

今度こそ機会損失しないように、サントリーにはしっかり生産体制を整えてもらいたいものだ。

 

オススメ度:(買っても損はない)
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記者

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清水 りょういち

食レポからタバコ・コーヒーなどの体に悪い系、果てはIT、経済分野までフォローする新しもの好きライター。「わかりにくいをわかりやすく」がモットー。元「月刊歌謡曲/ゲッカヨ」編集長

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photo by 尹 哲郎

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