果実のような日本酒!? 『果月(かげつ) 桃/葡萄』の新感覚な味に驚いた
日本酒の香りといえば柑橘系やりんごをイメージする人も多いだろう。このイメージから脱却すべく、日本酒なのに桃や葡萄のテイストが楽しめる新感覚の日本酒『果月(かげつ)桃/葡萄』が登場。原材料は米と米麹のみ。一体どんな味わいが楽しめるのだろうか。
香料不使用。なのに桃やブドウの香りがする不思議な日本酒
主に和食に合わせて飲まれる食中酒は、柑橘類やバナナ、りんごなどのフルーティーな香りや味に例えられることが多い。とくに吟醸酒系の薫酒に多く用いられるフレーズだ。そのせいか日本酒はそれ以外の香りがないという印象があるのも事実。
清酒、リキュール類の製造販売を行う月桂冠は、こうした概念を取り払うべく、全く違うテイストが楽しめる新感覚の日本酒を目指した。そうして開発されたのが『果月 桃/葡萄』(各720mL瓶・希望小売価格 税込1,490円・2021年9月6日発売)である。
「果月」とは、果物のような香りの日本酒という意味のブランド名。従来の柑橘類やりんご、バナナとは異なる、桃や葡萄の香りが楽しめる新感覚の日本酒が誕生したのだ。
驚きなのは、これら桃や葡萄の香りのために香料などが一切使用されていないこと。つまり、原材料は従来の日本酒と同じ米と米麹のみ。魔法みたいで信じられないが、日本酒に含まれる同じあるいは類似の香気成分を利用して再現したという。
そうは言われてもなかなか信じがたい。これは飲んで確かめるほかないだろう。
『果月 桃』
1本目は『果月 桃』(アルコール分12度以上13度未満)。オリジナル製法によって、桃の香りに近い甘い花のような香りを実現した日本酒だ。甘みと酸味のバランスを調整し、本物の果実のようなテイストに近づけているという。
ラベルには水彩タッチの和をイメージさせる桃の絵。背景には淡い文字で桃。
見た目は無色透明の日本酒。だが、鼻を近づけるとすぐにわかるその甘い香り。柑橘類の清涼感などはなく、丸くやさしい印象だ。桃のような香りかと言われると厳密には違う気もするが、雰囲気はあるし、みずみずしさも感じる。
味わいもとても濃密な甘さ。果汁を搾ったというと少々大げさだが、桃らしいとろみのある甘みを思わせるテイストだ。糖度だけでいえば、桃と同等以上あると言われても納得できるできばえ。
アルコール分12度以上13度未満と一般的な日本酒と比べると若干低いが、そのおかげでアルコールの匂いや味もかなり抑えられており、トップレベルに飲みやすい。口に入れて舌の上で転がせば、さらに甘さや香りが楽しめる。
ちびちび飲むスタイルより、おちょこ一杯分を口に含んだ方がテイストをしっかりと味わえるのでおすすめ。チーズやカルパッチョ、酢豚など塩味があり、味の濃い料理との相性が良さそうだ。
『果月 葡萄』
続いて『果月 葡萄』(アルコール分15度以上16度未満)。実は日本酒には葡萄と同じ香味成分が複数含まれているらしく、ワインやウイスキーで用いられる「アッサンブラージュ※」と呼ばれる手法を取り入れて作られている。巨峰やピオーネのような香りやコク、甘味を感じられる1本とのことだ。※異なる酒質を組み合わせる
ラベルには同じく水彩タッチの和をイメージさせる葡萄の絵。少々読みにくいが、背景にも淡い文字で葡萄と書かれている。
香りは比較的酸味が目立つ印象。爽やかで甘みのある香りが特徴的だ。
甘みと酸味が強く、香りとの相乗効果で確かに巨峰のような味わいを感じる。風味がしっかりとしているので、空気を含ませながら味わうとより全体像がしっかりとわかる。全体的にコクが強く蜜のような甘さを感じるが、決して甘ったるくない。
ワインのような渋みもないのでこちらも日本酒としてはかなり飲みやすい部類。先ほどの『果月 桃』と違い少しアルコール感が強めだが、トゲのない優しい味わいが楽しめる1本だ。
料理と合わせる際には、塩味のきいた生ハムやスモークサーモンなどがおすすめ。『果月 葡萄』はちびちびと飲んでほしい。
日本酒のイメージをガラリと変えるテイスト
日本酒と言えば柑橘系やリンゴ、バナナの香りのイメージが根強い。だが、『果月 桃/葡萄』はその名にふさわしい香りを楽しませてくれた。いつもの日本酒とは違う新たなイメージを感じたい人は、ぜひおためししてほしい。
全国の酒類取扱店にて発売中。
公式サイトはこちら
photo by 尹 哲郎