第45回国際福祉機器展にLIXILの車いす対応キッチン『ウエルライフ』が登場!より豊かな生活へを目指して

フルモデルチェンジとあって見所も盛りだくさん。

 

10月10日~12日の3日間「第45回 国際福祉機器展(H.C.R.2018)」が東京ビックサイトにて行われ、14か国1地域560社を超える企業や団体が出展し福祉関係の機器や最新技術が披露された。株式会社LIXILブースでは車いす対応キッチン『ウエルライフ』を発表。今回はその機能性や魅力をお届けする!

 

30年越しのフルモデルチェンジ!あまりの使い勝手の良さに感嘆の声も

バリアフリーの整備が急速に進み、ノンステップバスや電車、駅構内など公共の場での移動は一昔に比べるとはるかに快適になった。もちろんまだまだ手の届いていない場所も多いが、少しずつ着実に変わりつつあるのは確かだ。

問題があるとすればむしろ家の方。車いす利用者向けの製品は現状十分とは言えず、自宅の門から玄関、トイレやお風呂に至るまで全て対応するのはなかなか困難な状況だ。

 

そんな中、子どもからお年寄りまで、車いすを使っていても自宅で快適に過ごせるようにとユニバーサルデザインをコンセプトに様々な製品を開発しているのが株式会社LIXIL(東京都江東区)だ。

同社 マーケティングストラテジー統括部 星野享 統括部長に案内されたのが「第45回 国際福祉機器展」の目玉として発表した車いす対応キッチン『ウエルライフ』(参考価格帯 782,000円~1,188,500円※)。車いす利用者でも料理を楽しめるようにと開発されたシステムキッチンだ。

※最小間口~最大間口の価格幅。

こちらはブースの司会者。

ブースでは『ウエルライフ』のある生活風景を寸劇にして紹介。LIXIL製品に囲まれた自宅で暮らす車いすに乗った女性が夫の誕生日をお祝いしようと友人ともに料理をするという内容だ。

左から主人公の車いす利用者と友人

本製品は1988年に発売された車いす対応キッチンだが、現在までの30年間フルモデルチェンジといえるほどの大幅なリニューアルはされてこなかった。

 

しかし、連日ニュースで報じられているように現在の日本は3人に1人が65歳以上の高齢化社会。車いす利用数の統計データはとられていないが、その数が増加しているのは想像に容易い。

最大の特徴はキッチン下に足が入れられるオープン設計。

こういった人々にも生活の質を落とすことなく快適な暮らしをしてほしいという想いから今回のフルモデルチェンジに踏み切ったようだ。

 

キッチンで車いすを使う際の大きな問題は手の届く範囲が狭まいこと。上下はもちろん、キッチン下の収納が邪魔をして前方向に対しても手が届かない。

そこで、キッチン下部は足元を遮らないよう正面からアクセスできるオープン設計を行い、奥まで手が届くように改善。さらにキッチンの奥行は従来の650mmから600mmに短縮。たった5cmだが、車いす利用者からは好評のようだ。

キッチン奥まで手が届く仕様に。

また、これまでシンクの奥で行っていた水の吐水・止水操作も変更し、水栓上部にあるセンサーに手をかざすことで操作ができるタッチレス水栓「ナビッシュ」を採用している。シンクの深さも約15cmと浅く、四隅まで手が届きやすくなった。

キッチン深さは15cmと浅く手が届きやすい。

一般来場者の声が一際目立ったのは、リモコン操作で昇降する電動式の戸棚。リモコン操作で収納スペースが降りてくる「オートウォール」を採用しており、車いす対応キッチンに関係なく欲しい、という声も聞こえてきたほどだ。

上部の収納は電動昇降。健常者にも使いやすく嬉しい機能だ。

こういった福祉用の機器がなかなか対応できないのがデザイン面や拡張性だが、この問題も解決している。これまで2色しか用意していなかった扉カラーを19色から選べるように展開。グリルや食器乾燥機などのオプションも充実しており、一般的なシステムキッチンと変わらない機能性を可能にした。

 

対応車いすは、標準的な車いすをはじめ一般的な自走用であれば使うことができる。ただし、電動式だとレバーが干渉する恐れがあるので、ワークトップの高さを変えて対応してほしいとのこと(上面73cm~85cmまで対応)。

車いす対応キッチンだが、ワークトップも標準高さで健常者も問題なく使うことができる。

また同展示会で同じく発表したLIXILの「Life Assist」とも連動しており、音声認識によってキッチン周りの照明をON/OFFすることができる。手が塞がっている時、汚れている時などでも操作ができる優れものだ。

行ってきます、と言うと部屋のエアコン、照明の電源が全てOFFとなりカーテンが閉まる。

なお「Life Assist」は、スマートスピーカーと連動してエアコンやカーテン、照明などが可動できる今話題のIoTを利用したシステム。声に反応するので車いす利用者のみならず一般家庭でも活躍できる製品だ。

 

『ウエルライフ』はより多くの車いす利用者に対応できるように作られた最新式キッチン。今後はさらに対応できる対象を拡大し、多様性の尊重のため生活の質の向上に取り組んでいくとのことだ。

 

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記者

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森脇 学

20代男性。工学系出身ライター。食品・工学・アニメ・漫画と幅広い知識を活かして執筆中。関東住まい。

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photo by 岡本千尋

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