ワインを“開花”させる魔法の器『ビナエラ(Vinaera)』 で、誰でも瞬時に“ソムリエの味”を楽しむことができる!

イン好きには、いまさら言うまでもないことだが、ワインという飲み物は、飲むタイミングに合わせて空気に触れさせることで、そのワインの本当のポテンシャルを引き出し、いい熟成と香りを楽しむものだ。

そしてその空気に触れさせることを「エアレーション」といい、その度合いは、ワインの素性に応じて異なるのである。

 

赤ワインをいただく前に、予めコルクを抜き、常温で外気と呼吸させたり、あるいは、デキャンタージュして早めに大量の空気にさらしたり、モノに応じて、適切なエアレーションをすることもワインの楽しみの1つだが、それを適切に行うには、それなりの知識と経験、そして時間が必要となる。

そうした面倒を一気に解消し、どんなワインでも、“いい感じ”にエアレーションする道具がワインエアレーターである。

 

今日ご紹介する『ビナエラ』は、電動のポンプを使用することで、誰でも瞬時に、ソムリエが入れたようなワインの風味を引き出せるワインエアレーターである。ラングドック産のシラー種で、やや重めの赤ワインがあったので、さっそく“おためし”してみた。

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手に持つと、意外と大きい『ビナエラ』本体を、ボルドータイプのワインボトルに装着して、上部のボタンを押すだけ。たったそれだけで、ワイングラスには、エアレーションされた、風味豊かなワインが注ぎ込まれるという、まさに魔法のような器である。

 

「Vinaera」とネーミングが書かれたポンプ部分には、単4型の電池が6本も入っていて、それでワインボトル250本分も注ぐことができるくらい、電池は保つということである。

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上部にあるボタンを押すと、「ギーン」というポンプ音とともに、ノズルの先から、泡だった赤ワインがグラスに注ぎ込まれる。その様を見ているだけで、空気がワインによく混ぜられ、タンニンの苦みが酸化により軽減されているような気分が味わえるが、ここまでワインを泡立ててしまっていいのかという気持ちにもなる。

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『ビナエラ』で注いだワインと、ボトルから直接注いだワイン、どちらも軽くグラスを回して、まず香りを比べてみる。

最初の1杯目は、まだどちらのグラスのブーケも、さほど差は感じられないが、口に含んだときの味わいの広がりは、『ビナエラ』でエアレーションした方は、すでに開花しかかった雰囲気がある。

 

そして、2杯目。この段階で、『ビナエラ』を使ったグラスのワインと、ボトルから直接注いだワインの違いは、大きな差となって感じられた。

ブーケがはっきりと華やかになり、口に含んたときの、明るく弾けるカシスジャムのようなシラー種の円やかさが、エアレーションした方のグラスでは、すでに開花しているのだ。

一方、直接グラスに注いだ方は、まだこれからという味わいをいまだに秘めたままである。手早く、味のピークに持って行くなら、『ビナエラ』を使うことが、圧倒的に効果的であることがわかる。

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実は、この『ビナエラ』のような、ワインエアレーターは、これまでも数々の商品があり、それぞれ好みもあるが、やはり最も基本的に使われる手法は、デキャンタにワインを移し替えるデキャンタージュであろう。

デキャンタージュには、ワインの澱(おり)をより分け、ワインをエアレーションする効果があるが、デキャンタが高価なうえ、多少のテクニックが必要で、さらに注いでから飲むまでの待ち時間がかかるという面倒臭さがある。 しかし、この“待ち時間”は、決して嫌な時間ではなく、ワインの楽しみを増幅させる、贅沢な時間であると記者は思うのだ。

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それに比べ、この『ビナエラ』によるエアレーションの方法は、確かに手早く美味しいワインにありつくことはできるが、ワインを楽しむ趣きがやや欠けるように記者には感じられる。

 

「ボタンを押して、「ギーン」というポンプ音とともに、泡だったワインをグラスに注ぎたいですか?」と問われれば、記者の個人的な答えは「NO」である。自然の風土、天候の中で、じっくりと仕込まれ熟成されたビンテージもののワインを、どうしてその最後の瞬間に、わざわざ電気を使って、泡立たせて飲まなければいけないのか?

記者は、ボトルのままコルクを開けて息をつかせるか、せめてデキャンタージュで外気に触れさせてあげるくらいで、じっくりと楽しみたい。決して、電気ポンプを通して、グラスに注ぎたいとは思えないのだ。しかしこのあたりは、個人の価値観による違いが大きいことだろう。

 

記者とは逆に、この電池が入ったポンプが、オシャレで、カッコいいと感じる人もきっといるはずだし、これを使ってワインを楽しみたい人も、必ずいるはずで、そのあたりの好みの違いが、はっきりと分かれそうな商品でもある。

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この『ビナエラ』は、税別1万2000円。 さてあなたは一体、どうやってワインを楽しみたい?

記者

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渡辺 穣

複数の雑誌のデスク・編集長等を経てフリーライター/エディター。主にビジネス/経済系の著書・記事多数。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年以上。趣味は、スキー、ゴルフ、ピアノ、焚き火、ドライブ。山と海と酒とモーツァルトを愛する。札幌生まれ。

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