【比較検証】JTによる新型次世代タバコ、低温/高温加熱式『プルーム・テック・プラス』vs『プルーム・エス』各々のメリット・デメリットを2週間連用チェック!

次世代タバコの新潮流!

 

煙を出さない次世代タバコ。現時点では喫味の強い高温加熱式の「アイコス」(PMJ)及び「グロー」(BAT)が人気だ。一方JTはこれまで喫味は軽いものの圧倒的にニオイの少ない低温加熱式「プルーム・テック」で独自路線を突き進んできた。ところがここに来て従来低温式の進化型『プルーム・テック・プラス』に加えて、アイコスなどと同様の高温加熱式『プルーム・エス』を投入。果たしてこの2機種の特色はどんなものか、2週間連用してヘヴィースモーカーが検証してみた。

 

日本の3大加熱式タバコ、アイコス、グロー、プルーム・テックの特徴をおさらい

日本で専用カートリッジとともに熾烈なユーザー獲得争いを加速させているのがアイコス、グロー、プルーム・テック。そのうちアイコス、グローが高温加熱式で喫味が強め。中でもアイコスは独自のブレードをたばこカートリッジ(ヒートスティック)に突き刺すことによって、周囲からと内部から両方で加熱することで、圧倒的な喫味の強さを実現して大人気となった。

上から紙巻きたばこ、アイコス、グロー、『プルーム・エス』のたばこスティック。アイコスやグローと同じ小型の紙巻きたばこのようなルックスで、アイコスよりは細いが長く、グローよりは太いが短いというまさに中間の存在のようなリフィルで、価格も戦略的な税込480円となる

 

昨年末にはアイコスは加熱式タバコでは初となるフルモデルチェンジを行なって、連続使用可能な「アイコス3マルチ」と、構造を衝撃に強くして壊れにくくした「アイコス3」をラインナップに加えた。ただ内部構造としては旧モデル「2.4Plus」と変わっておらず、紙巻きタバコよりは軽減されているものの、焼き芋やポップコーンに例えられる独特のアイコス臭の問題は解決していない。

 

左が『プルーム・エス』で右が『プルーム・テック・プラス』。『プルーム・エス』の方は2種類のカラバリも入手できた

 

グローはシリーズ2という製品が出たが、こちらも内部構造には変化はなく、ニオイの問題もアイコスよりは弱いものの、特有の臭気の問題は解決していない。どちらも約240(グロー)〜350℃(アイコス)という高熱による加熱がその原因と見られる。

 

 

そんな中、プルーム・テックは独自の約30℃という低温加熱式を採用。隣席で吸われても気づかれないほどのニオイ低減を実現した。だがニオイとともに喫味の面では明らかに軽く、タバコ感を強く求めるユーザーの選択肢にはなりにくかった。

 

 

しかし今回の高温加熱式JT『プルーム・エス』の登場で、選択肢は三つ巴になる。さらに約40℃の低温加熱式ながら『プルーム・テック・プラス』の進化もかなり強力なので、低温だからといって舐めてかかってはいけない印象だ。

 

 

約10℃の加熱温度アップと葉量増大、リキッドタンクで驚きの進化を遂げた『プルーム・テック・プラス』

これまでの華奢なペンシルタイプから、それなりのVAPEデバイスのようなフォルムが変化した『プルーム・テック・プラス/Ploom TECH+』(ブラック/ホワイト・希望小売価格 税込4,980円・2019年1月29日発売)。たばこカプセルは旧モデルと同型ながら、カートリッジ形状が全く違うので互換性はない。そのため「プルーム・テック・プラス専用リフィル」(たばこカプセル5個+カートリッジ)を使用する必要がある。

リキッドたぷたぷ

これまでのカートリッジは内部のコットン(綿)にリキッドを染み込ませているだけだったが、今度のカートリッジはたっぷりの蒸気を生みそうなリキッドが見えるものに変更。蒸気量を増やすための英断だろう。たばこカプセル自体も従来の喫味の軽さを補うために、内部の粉状のタバコ葉自体を増量したという。

見た目はかなり似通っているので、プルーム・テック用と間違えないようにしたい

 

たばこカプセル1つにつき、約50パフ(吸引)可能というのは従来と同じ。1箱で約250パフ。通常紙巻きたばこ1本で10回も吸えないことを考えると効率は良い。従来は約30℃という超低温加熱式だったが、10℃アップして約40℃の低温加熱式になった。これは気分の問題だが、従来リキッドはLEDが点滅するまでどの程度吸ったかわからなくなったが、5カプセルでリキッドを使うと考えると本体窓から見えるリキッド量でだいたいの回数の目安がわかるようになったのが地味にうれしい。

1/5の目盛りがつけばもっといいんだけど

 

旧モデルでは完全オートスイッチで、吸引することで電源がオンになったが、今度は電源ボタンをトリプルクリックでオンにする工程が追加。面倒に思う人もいるかもしれないが、リチウムイオンバッテリーは常に爆発の危険がつきまとうので、カバンの中などで弾みでスイッチが入らない仕様になったのは良い変化だと思う。ただ一度スイッチをオンにすれば吸引するだけで蒸気が出るセミオートタイプだ。

見た目ではわからないが、内部のタバコ葉の量が増えたという

本体バッテリー部分とカートリッジカバーは分割できるが、リキッド漏れでも起こさない限りはその必要はない。交換するのは5カプセルに1回のカートリッジと、カプセルホルダーの先に取り付けるたばこカプセル。構造はシンプルで、使用方法も本体中央のボタンをトリプルクリックで電源オン、3秒長押しでオフだけ覚えればいい。あとはLEDがしつこく点滅したらたばこカプセル交換というのは従来と同じだ。

左からたばこカプセル(別売)、カプセルホルダー、カートリッジ(別売)、カートリッジカバー装着済みの本体バッテリー

 

従来の感覚とはかけ離れたスロートキックと喫味。「プルーム・テック」の完成形と言うべきクオリティ

本体にカートリッジとたばこカプセルを装着した状態でも42g(実測値)と、非常に軽い。ポケットに入れるとちょうど万年筆かシャーボといった趣きだ。それでは吸ってみよう。

アクセサリーもかなり充実する模様で、これはMicro USBケーブル、本体、たばこカプセルなどを入れられるプルーム・テック・プラス用「専用ソフトケース(ホワイト)」

オートスイッチの特徴として、吸引開始と蒸気発生にはじゃっかんのタイムラグがあるので、蒸気を呼び出すように少しだけ強めに短く吸って、改めてゆっくり長めに吸うのがコツである。紙巻きたばこのようにグッと勢いよく吸うと蒸気発生が追いつかず喫味が落ちるのに注意。

従来のプルーム・テックの方が、蒸気は軽くて多い印象。ただ『プルーム・テック・プラス』の蒸気には重みがあって質が違う。しっかり肺まで入れると蒸気はかなり少なめになるが吸い心地はしっかり

まずは「メビウス・ロースト・ブレンド・フォー・プルーム・テック・プラス」(税込価格500円)から試してみた。加熱式たばこはメンソールタイプを好む人が多いが、そのデバイスの実力を測るならやはりレギュラー。清涼感にごまかされずに味の出方を確認できる。

 

 

味わいはいわゆるVAPEのタバコ味と言うものでナッツ感を感じるタイプ。ただしっかり5〜6mg以上のタール値の紙巻きたばこ並みのスロートキック(のどへの圧力)を感じる。そして見た目的には蒸気量が極端に増えたということはないのだが、以前より確実に蒸気に重みがある。本体が一回り大きくなり、加熱温度が10℃上がり、リキッドタンクに変更という合わせ技で生み出したしっかりとした喫味に驚く。

 

 

それでいてニオイが旧モデル同様、ほぼ無い。細かいことをいえば少しはニオイが増えているようだが、ほぼ測定誤差の範囲。ニコチン感をきちんと感じることができてニオイがない。これこそ未来のたばこなんじゃないかと、感動してしまった。

 

 

他にも以下のフレーバーがあり。

「メビウス・マイルド・ブレンド・フォー・プルーム・テック・プラス」

良い感じにマイルドだが、それでもしっかりたばこ感を感じることのできる上品なタイプ。メビウスっぽいシンプルな香りはクセがない。

「メビウス・コールド・ミント・フォー・プルーム・テック・プラス」

みんな大好きメンソールの、これは冷たさを感じるタイプのメンソール。冬だと寒く感じてしまう刺激的な冷感で、もちろんキック感もマシマシだ。

「メビウス・クリア・ミント・フォー・プルーム・テック・プラス」

こちらの方が昭和の時代からあるメンソールたばこに近い風味。結構強めではあるが、たばこ感を消すほどではない絶妙な味仕立てだ。

 

 

ついに高温加熱式投入!『プルーム・エス』は約200℃という絶妙な温度設定で中温加熱式ともいうべき独特の世界を切り開く

河原の小石デザインが楽しい。カラバリは女性にも適した優しい色合い。右が「SUPPLE CLAY」で左下が「UNIQUE AMBER」。どれも下部が丸いので自立不可

近年はアイコス、グロー、プルーム・テックだけでなく、紙巻きたばこをカットしたり手巻きたばこ用の刻みタバコ(シャグ)を使用して、加熱して吸引するタイプのたばこデバイス・ヴェポライザーも人気を呼んでいるが、それらはアイコス、グローなどの加熱式たばこと構造はほぼ同じだ。

 

 

ただアイコスやグローは低くても240℃、高いと350℃まで強力に加熱するのと違って、ヴェポライザーの大半は190〜230℃程度で運用されるモデルがほとんど。なぜかというと、たばこ葉というものは、およそ200℃あたりで葉に含まれるニコチンが気化するから。蒸気を出すためにグリセリンなどを添加しなくても、たばこ葉には少量の水分が含まれているため、微かな蒸気にはなるけれど、ニコチンはしっかり摂取できるものなのだ。

スライドしてフタをオープン

そこで『プルーム・エス/Ploom S』(ブラック/ホワイト他・希望小売価格 税込7,980円・2019年1月29日発売)である。なんとこの製品はニコチン気化のぎりぎりポイントの約200℃の高温加熱式。いっそのこと中温加熱式とでも言ってしまいたくなる構造を持っている。

もちろん従来のプルーム・テックとも『プルーム・テック・プラス』とも互換性のない、たばこスティックを採用。加熱方式はアイコスのようなブレードは持たずに、周囲から加熱するグローと同様の加熱方式。形状はなんとも不思議なエルゴノミクスデザインで、実に握りやすい。河原に落ちていたら水切りしたくなるタイプの平べったくも重みのあるラウンド形状。

手のひらで転がしたくなる。あえていうなら自立しないのが難点か。常に転がしておく状態になる

アイコスユーザーが最初に戸惑うのは加熱待ち時間。連続10本使用可能とはいえ、約20秒で済むアイコスに比べると約40秒はちょっと長く感じるかもしれない(グローなら同点)。使用可能時間もアイコスが6分近いのに対して約3分30秒と短め。本体上部にあるフタをスライドして電源オン。そこにたばこスティックを入れる。ちょっと引っ掛かりがある感じのところを優しく押し込んでいく。目安位置はスティックに描かれた点線部分。

喫茶店で操作していてもあまり目立たない。そもそもおっさんの手元を気にする人もいない

そして本体上部のボタンを2秒以上長押しするとブルっと震えて加熱開始。4つの白色LEDが全部点灯して再び本体が震えると吸えるようになる。約3分30秒、もしくは14パフ吸うことができる。

 

 

使い勝手自体はまあ加熱式たばこの常識の範囲内。やはりたばこデバイスとして気になるのはその味だ。最初に吸った時は記者会見後の会場の慌ただしい中だったので、軽いし味も薄いと感じたのが正直なところ。200℃発想に期待していただけに多少なりともがっかりした。ニオイの問題は解決されているようだが、味もしないんじゃ意味がないのではないのかと。

 

吸い方にけっこうコツが必要だった『プルーム・エス』

これは蒸気が見えやすいように少しふかし気味で吸った場合。普通にゆっくり肺に入れて吸うとほぼ肌寒い日の朝程度しか蒸気は出ない

その後、帰宅してからじっくり使い込んでみることに。すると、この『プルーム・エス』の魅力がだんだんとわかってきた。ヴェポライザーなどを使用するときも基本だが、それにも増してこの『プルーム・エス』というデバイスは、デリケートな使い方が必要だと感じたのだ。

 

 

初期ロット製品ということもあるのかもしれないが、製品による個体差も多少はあるようだ。会見時に持ち帰った機種は少したばこスティックのハマり方が軽かった。しかしその後にカラバリ機種を使ってみたところ、引っかかるようにたばこスティックがはまっていき、しっかり穴を塞いでくれたのである。

 

 

これ、加熱式たばこに関しては実に重大なポイントである。周囲からの加熱方式であるからには、その側面にたばこスティックは密着していないと熱伝導が弱くなりやすく、喫味が落ちてしまう原因にもなる。これはたばこスティック自体の巻きの強さや湿度にも関係してくるし、デバイス設計も絡んでくるのでどれが原因かは判別しにくいのも厄介だ。

刀剣女子が喜びそうな大げさなさや付きのクリーニングスティックが付いてくる

それぞれの最先端技術の合わせ技で美味しさを生んでいるがゆえに、一つでも不協和音を出すと喫味が落ちるということである。ただたばこスティックを軽くもんでほぐしたり、吸う間隔をあけてしっかり熱が回ってから吸うということでもかなり喫味は変わってくる。さらに言うなら、温まった空気の範囲以上に吸い込むとスティック内部が冷えてしまうので、ゆっくり、そして吸いすぎず、というテクニックが必要だ。

こうしてブラシで突き刺して掃除するが、そもそもブレードがあるわけでもない上、200℃と低めの加熱なのでほぼ汚れない

 

そもそもグローにしても初期製品は穴の口径が緩く、スティックがすっぽ抜けるという難点があってのちに改善された記憶もあるので、今後調整されるのかもしれない。アイコスも海外製のヒートスティックは微妙にサイズ感が違ったりしたこともあったので、加熱式たばこ全体に言えることなのかもしれないが。

 

しっかりとポイントを押さえて吸うと、ニオイ少なく味も芳醇となる『プルーム・エス』!

連続10本は吸えるが、それ以上吸いたい場合でUSB充電環境がない場合はモバイルバッテリーがあると安心だ

 

荒っぽく火をつけてグイグイ吸う紙巻きたばこ文化は、『プルーム・エス』を使用する際は一旦忘れてもらいたい。優しくスティックを差し込んで、加熱が終わったらゆっくりと優しく吸う。いわゆる老人が昔のタール値のきついたばこを吸っていた時のような、くゆらす感じのクールスモーキングがこの機種には必須なのである。

 

 

するとしっかりニコチンのキック感がのどを刺激して、さらに多くの人がかつて慣れ親しんだ「メビウス(旧・マイルドセブン)」の風味が広がっていく。人によっては懐かしくてたまらなくなるかもしれない。

 

 

そして何より、200℃加熱なのでニオイがかなり軽減されている。さすがに『プルーム・テック・プラス』に比べるのは酷だが、アイコス・グローに比べて半減されているといってもいいと思う。

 

現状に満足していないなら『プルーム・テック・プラス』『プルーム・エス』を試してみよう!

『プルーム・テック・プラス』は従来の「プルーム・テック」の喫味が軽くて物足りないと感じている人にはかなり満足度の高い製品だと思う。喫煙中断OKの使い方は、VAPEなどに慣れた人にも非常に使いやすい。国内流通は薬機法で禁じられているため、ニコチンリキッドは個人輸入などで入手しない限り使用が難しいのが現状だが、『プルーム・テック・プラス』で、それに近い喫味を手軽に実現できるようになった。これは大きい。

 

 

『プルーム・エス』はじっくりと時間をかけてたばこタイムを楽しむ人に向いており、慌てて短時間でスパスパする人のためのものではない。ただすでにアイコスやグローなどの加熱式たばこに切り替えているのに、家族からニオイの問題で攻撃されているのなら、『プルーム・エス』が役に立つかもしれない。

 

 

JTは発表記者会見時にTPOに応じて使い分け、というのを提案していて、まあメーカーとしてはそうだろうとスルーしていたのだが、2週間使い続けてみると、確かにその使い方が予算が許すならベストな選択な気がしてきた。昼間は手軽な『プルーム・テック・プラス』で、短い時間もすかさずスモーキング、夜はゆっくりじっくり『プルーム・エス』を使うというスタイル。アイコス、グローでは同居人に対してニオイの問題が生じてしまうが、『プルーム・エス』なら許してもらえる可能性は大なので、そういう二刀流もありかと思ったのである。

 

 

入手は、すでに1月29日よりPloomオンラインショップおよびPloom専門店で発売を開始している。『プルーム・テック・プラス』は2019年4月から宮城、東京など6都府県の一部たばこ販売店、コンビニエンスストア、7月から全国まで販売チャネルを拡大予定。『プルーム・エス』は2019年7月から宮城、東京など6都府県の一部たばこ販売店、コンビニエンスストア、9月から全国まで販売チャネルを拡大予定だ。また取扱店舗はこちらで検索可能だ。

 

2019年7月4日追記:8月5 日より、高温加熱型「プルーム・エス」の販売エリアを全国へ拡大。全国のコンビニエンスストア等(約57,000店舗)及びたばこ販売店(約2,200店舗)で販売開始。希望小売価格7,980円の「プルーム・エス」スターターキットが半額の3,990円で販売するキャンペーンも全国のコンビニエンスストア等及びたばこ販売店で実施。

 

公式サイトはこちら

記者

清水 りょういち

食レポからタバコ・コーヒーなどの体に悪い系、果てはIT、経済分野までフォローする新しもの好きライター。「わかりにくいをわかりやすく」がモットー。元「月刊歌謡曲/ゲッカヨ」編集長

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