高級おつまみ缶詰の売れ筋はどれか、メーカーに聞いて実食してみた!1000万缶セールス目前の『缶つま編』

年コンビニの缶詰売り場でも存在感が際立っている少し高級感のある、お酒のおつまみ缶詰。今回はメーカーに取材し、昨年の売上げトップ3と、新商品セレクト2品の他、ブランドの歴史にも触れつつ、実食レポートしてみた!

コンビニでよく見かけるのは3種類。国分(K&K)の「缶つま」、明治屋、アライドコーポレーションである。今回は国分株式会社(東京・中央区)の老舗缶詰ブランドK&Kの『缶つま』編である。近日中に家バル編、おいしい缶詰編もお届けする予定だ。

 

皆さんは「缶詰」というと、どんなイメージを抱くだろうか。防災用の非常食? それとも安くて長持ちの保存食? もっと言えば、オヤジたちのカップ酒のお供?

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そんなイメージの缶詰だから缶詰売り場は昨今、縮小傾向にあり、安売り競争だけが話題の目立たぬ存在となっていた。しかし、そんな缶詰売り場にあって「ナニコレ?」と目を引くのが、『缶つま』などの、高級おつまみ缶詰である。

上質な紙のパッケージに収められ、そこに缶詰の中身を写した、まるで料理雑誌のグラビアのような美味しそうな写真が印刷されている。存在感は見た目だけではない。おおむね一缶100円代が普通の缶詰売り場にあって、『缶つま』シリーズの価格は安くても400~500円。1000円、2000円も珍しくなく、高いものになると一缶5000円(北海道利尻島産むしうに)や限定販売で1万円(三重県産あわび水煮、気仙沼産ふかひれ)などという商品もあるのだ。

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さらに驚かされるのは、そのアイテム数の多いこと。今年8月現在で、『缶つま』のラインナップはなんと89品目! 北海道から九州まで、日本各地の名産品だけでなく、世界中の食材をあくまでも「お酒の旨いつまみ」というコンセプトに絞ったレシピで調理し、今流行の“バル”風の小皿料理のイメージをオシャレでカッコ良く提案しているのが、この『缶つま』シリーズなのである。

もともと、世界文化社から2009年に出版された缶詰おつまみ本『缶つま』 の取材協力がきっかけとなって、商品開発が始まった『缶つま』だが、2010年の発売開始以来、毎年ほぼ倍々ゲームで売上げを伸ばし、今年は1000万缶の売上げを目標とするまでに成長した。

 

進化する『缶つま』の足跡

缶詰のおつまみ本『缶つま』の完成本を見て、国分の社内では「これだ!」となったという。つまり缶詰の新しいイメージ作りには「缶詰を旨いおつまみの素材として提案し、それを酒類売り場に並べてもらう」こと。国分というと「缶詰メーカー」として知る人は多いが、もともとは国内最大の酒類卸。酒類メーカーや小売りとの接点がある強みもあり、新しい缶詰の提案やコラボは、『缶つま』成功の原動力にもなったことは間違いない。

発売初年度の2010年には14アイテム、年間売上約100万缶からスタートしたが、翌2011年には24アイテム、年間売上約180万缶まで成長。折しも、ウイスキーのハイボール人気が出たタイミングに合わせ、11月には「缶つま女子会(缶つま×ハイボール)」の販促イベントも開催した。

2012年はアイテム数41、年間売上約260万缶、そして2013年にはアイテム数56、年間売上約560万缶と『缶つま』のブレークが始まったのだ。この年のテーマは「スペインバル」と「アウトドア」。バルの小皿料理タパスを意識した現在の流れは、この2013年に始まったのである。

この年は、同時にメディアによる取材も急増。取引先も格段に拡がり、知名度がグンとアップしたのも2013年だった。

缶つま

昨年の2014年、アイテム数は71まで拡大し年間売上も約735万缶となった。新たに日本各地の名産やモルトウイスキーを意識した燻製ものを商品化した企画が加わり、料理サイト・クックパッドにおいては、缶つまを使ったレシピコンテストも開催。ほかにも東京、名古屋、札幌などで、年間30以上もの販促イベントを開催。燻製を商品化した「缶つまスモーク」は、当初予算の2倍の販売実績を残した。

そして今年、年間売上目標は1000万缶。販促テーマは「缶つま×昼呑み」と「缶つま×クラフトビール」とし、1月にはダカールラリーの日野チームスガワラに広告協賛。アイテム数も新シリーズ投入など活発な新商品開発で、8月には総計89アイテムとなったのである。

8月12日には、缶つま総選挙公式ガイドブック「缶つま大全」を発売。総選挙の結果は、『缶つま』のオフィシャルサイト「缶つま倶楽部」で見ることもできる。

今回はその中から、2014年の売上げベスト3の商品と、さらに直近の新商品2種類を実際に食べてみた。

 

2014年売上げ第3位は…

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『缶つま』プレミアムシリーズの「日本近海どり いわし油漬 オイルサーディン 」が、2014年の年間売上げ第3位である。価格は税別450円と、シリーズの中では控え目。しかもオイルサーディンという料理も缶詰として目新しいものではない。しかし、食べてみてこれが人気になる理由がわかった気がする。