『双円』デザインを共有した異素材の製品を販売する新発想のブランドが誕生!

同じデザインだが、素材がそれぞれ異なる製品という、これまでにない新しい発想のブランド『双円』が立ち上がった。プロダクトやグラフィックなどのデザインを手がけるaete(アエテ)株式会社が主導となり、2018年2月7日にブランド第1弾の製品として器の販売を開始した。いったいデザインの共有とは、どういったことなのだろうか。記者発表会に潜入し、その真意を探ってきた!

商品デザインだけでなく製造・販売・運営すべてを“デザイン”する

「双円」記者発表会には、第1弾商品の「器」が多く展示されていた

アエテ株式会社(東京都港区)は、電子機器製品および関連商品の企画から販売までを手がける株式会社カドーの子会社で、昨年10月に株式会社カドーデザインから社名変更した。主にプロダクトデザインなどを手がける会社だが、このたび自ブランドとして『双円』を立ち上げ、まったく新しい発想の「ブランドをシェアする」という事業を開始した。

 

と、概要だけを見ると少しわかりにくい面もあるかもしれない。簡単に言えば、ブランド「双円」のもと、さまざまな商品企画からデザインをアエテが行い、その製品にふさわしい技術や販路を有する企業との協業でブランドを統一化するということだ。その第1弾となるのが、今回発表した「器」だ。

アエテ株式会社の鈴木健社長。ちなみに社名の「アエテ」は、「あえて(敢えて)~する」という副詞から取ったという

アエテの鈴木健社長は「双円」ブランドの立ち上げについて「カドーのイメージから、家電の新ブランドというイメージが強かったかもしれませんが、実は器です。双円はデザインを作ってお客様に届けたいという気持ちとともに、日本の文化や伝統工芸の活性化を促す目的もあります。シンプルで美しい形を追求するブランドになれば」と説明。

 

また「具体的には、(器に関して)形がすべて同じで素材の異なる商品をデザインします。これにより、収納も美しくでき、パッケージも緩衝材なども統一でき、しかも製造会社の販路を共用できるメリットがあります」と鈴木社長がコンセプトを説明。「私たちアエテは形を作って、それを発信するのが使命だと思っています」とブランドの目指す方向を表現した。

「双円」ブランド第1弾商品「器」の製造を担当した3社の社長を招き、座談会が行われた

続いて、第1弾商品「器」の商品を製造するプロジェクトメンバー3社の社長が登壇。鈴木社長を含めた4名による「双円」に関する座談会が始まった。

富山県高岡市の鋳物メーカー・株式会社能作の能作克治社長

まずは鋳物メーカーの株式会社能作(富山県高岡市)の能作克治社長が「アエテの鈴木社長から、ブランドシェアに対する心意気を聞き、協力しようと思いました。円(縁)が2つつながるというブランド名も良いですね。初の試みなので、双円がどのような広がりになるか楽しみです」と参加の経緯を説明した。

菅原工芸硝子株式会社の菅原裕輔社長は千葉の九十九里で独創的なガラス製品を製造している

続いて、菅原工芸硝子株式会社(千葉県山武郡)の菅原裕輔社長が「弊社はガラスのいろいろな可能性に取り組んでおり、さまざまな企業さんから協業のお誘いをいただきます。しかし、事業への熱い想いが共有できないことが多く、お断りしていることがほとんど。そこに鈴木社長から双円ブランド共有のお話をいただき、とても面白く、熱い想いを受け取り、手放しでOKしました」と話した。

陶器を担当するのは瀬戸物の街・愛知県瀬戸市の株式会社NAGAEの長江一彌社長

最後に「双円」第1弾の器で陶器を担当する株式会社NAGAE(愛知県瀬戸市)の長江一彌社長が「ご承知のように瀬戸市は瀬戸物で有名な街ですが、日本のモノづくりが疲弊している現在、もっとも疲弊しているのが瀬戸市ではないかと思っています。異素材が集まったブランドというのは見たことがなく、可能性があると感じ、瀬戸市という伝統文化の産地の活性化につながればと思い、協力させていただくことにしました」と話した。

「双円」製品第1弾の器のひとつ「おちょこ」。同じ形で素材が異なる面白さが斬新

「双円」ブランドの第1弾は「器」で、2月7日より、おちょこやタンブラー、片口、皿(豆皿や平皿など)等、13製品の販売を開始した。それぞれの製品に関するデザインや価格、材質などは、プロダクツサイトで確認してほしい。

 

美味しい料理をいっそう華やかにしてくれる同一デザインの「器」たち

「双円」第1弾プロジェクトメンバーを交えての器を楽しむ食事会が開かれた

記者発表会終了後は、「双円」第1弾プロジェクトメンバーを囲んで、「双円」の器に盛り付けられた料理を楽しむ食事会が催された。アエテの鈴木社長は「双円ブランドに関しては、まずはこの1年、じっくりと器を発信していきます。今後は漠然とですが、照明器具とか、そういった製品をデザインしていければ」と展望を述べた。

ふるまわれた食事は料理家・桑折敦子さんの手によるオリジナル料理

食事会では、「双円」コンセプトに合わせた料理家の桑折敦子さんによるオリジナル料理が提供され、それぞれ異なった同一デザインの器に盛り付けられた料理は、いっそう華やかさを増すようだった。

器の裏面には「双円」ブランドロゴと、その素材の製造を担当した会社のロゴが記されている。写真は陶器のおちょこで、担当したナガエのロゴも合わせて記載されている。

 

同じデザインでも、素材が異なるとイメージがガラッと変わる。「双円」の器は、単品で購入するのも良いが、できれば2つ1セットで、なおかつ異なるそれぞれの素材の製品を揃えるのが良いだろう。ふいの来客などに手料理をふるまう際、「双円」ブランドの器で提供すれば、より華やかな食卓になるに違いない。

なお、「双円」ブランドの器は、各プロジェクトメンバーの販売店でも購入できる。公式サイトの「SHOP LIST」をチェックして、お近くのショップで手に入れよう!

 

公式サイトはこちら

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タック二階堂

40代男性。東京都出身。本業である取材ライターの傍ら“ボカロP”としても活動。著書に『「ボカロP」になる本』(工学社)がある。

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photo by 尹 哲郎

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