ズレない定規『プニョスケ』の本当の実力は、子どもたちを虜にするプニョプニョ触感の魔力にあった!?

にペンでラインを引く際に特殊機構でズレにくくなっている新感覚定規が『プニョスケ』。プニョッとしたストッパーでズレない定規(スケール)ということでこのネーミングになった模様。

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生み出したのは、ラチェット式鉛筆削り「ラチェッタワン」など、ユニークな文具を数多くリリースしている株式会社ソニック(大阪・大阪市)である。ズレない定規といえば、先週「ナノピタ」という新商品もご紹介したが、実は「ナノピタ」も『プニョスケ』と同じソニック製。同一メーカーの同一コンセプトの商品、一体どんな違いがあるのだろうか、早速おためししてみよう。

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『プニョスケ』は賑やかなパッケージに封入されており、一見して学童向けの商品であることがわかる。カラーバリエーションは3色。男児向けのブルー、女児向けのピンクと来て、実用性は一番高い透明定規の透明(プニョストッパー部分はグリーン)の3種が揃う。

まず定規としての基本だが、あくまで学童向けの範囲の正確さなら測定可能な目盛り。ただし通常の使っていくうちに薄れていってしまうプリントタイプではなく、目盛り数字とともに本体に刻み込まれているので、ヘヴィユーズにも耐える仕様。ただ目盛り数字は太い書体で刻み込んだのは良いのだが、太すぎてつぶれ気味になってしまっていて、可読性は少々低い。
凸面の影のみで数字を判断せよというのは厳しい。とくに白い紙の上で使用すると、海外DVDの字幕で白い映像のシーンに黒い縁取りの白文字がのっているときのように見にくい。

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それから一番の落とし穴が長さ。15cm定規なのである。えんぴつでラインを引くときにズレないことが売りであるにも関わらず、ラインナップが15cmのみというのは残念。使用場面はかなり限定されてしまうことは確実。

現在CMでさかんにメッセージされているように今はランドセルもA4フラットファイルが入るものが主流になった。日本・中国・台湾のみでしか通用しなかったB5、B4などのB判サイズが廃れ、近年では世界標準のA判サイズにほとんどの文具が切り替わっている昨今の状況に合わせての進化だろう。
297cmの天地サイズを持つA4ノートに対して使用するとしたら、学童向けとはいえ15cmの長さは実用性が低いのではないか。そもそも定規が滑って線を真っ直ぐに引きにくい状況は、長ければ長いほど起こりやすいものである。学童のなかでも低学年のみを対象にした商品ということか。

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さて、いよいよ「プニョストッパー」部分を検証しよう。”プニョ”とまるでグミのような触感を予想させるネーミングだが……意外とこのプニョストッパー、押しにくいのである。

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定規の中心部がくり抜いてあり、そこにこのストッパーが装着されているのだが、高さがあり、凸部をグッと押し込むのにけっこうな力が必要になる。素材はエラストマー、つまりプラスチックゴム。原理としては、このゴム部が紙面に触れることで滑り止めの力を発揮する。もちろん柔らかいのだが、これが難しい。

『プニョスケ』は裏返して両面使える! との解説あり、記者としてはこのウラ面の方が、使いやすく感じた。ゴムの凸部が最初から接地しているので、軽い力でも滑り止め効果を発揮する。

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結論。実用面でいえば「ナノピタ」の圧勝である。しかし『プニョスケ』はさまざまなウィークポイントをはらみながらも、低学年児童のための文具としては存在価値を感じてしまうところがある。

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それはこの「プニョッ」とした感触である。子どもというものはボタンのような出っ張っているものがあれば押したくなる生き物だというのは、子育て経験のある人なら知っていることだろう。この定規の存在意義は感触を楽しむことにあり、とりあえず図画工作の授業を集中力のない子どもにまっとうさせるという意味を感じてしまうのだ。

価格も税抜180円と決して高くない設定。思い出して欲しい。小学校低学年という時代は、文房具を半分おもちゃとして楽しんでいた時代ではなかったか。無味乾燥な文房具では放り出してしまう、そういう時期であったのではないか。

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だからこの『プニョスケ』は、親が買い与えればきっと子供が喜ぶ、そんな価値があると思ったのだ。

全国の量販店等で発売中。

公式サイト:プニョスケ

記者

清水 りょういち

食レポからタバコ・コーヒーなどの体に悪い系、果てはIT、経済分野までフォローする新しもの好きライター。「わかりにくいをわかりやすく」がモットー。元「月刊歌謡曲/ゲッカヨ」編集長

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