日本文具大賞機能部門グランプリの『ラチェッタワン』!ラチェット式はハンディ鉛筆削りの標準装備となるか?

の小さな鉛筆削りは、第23回日本文具大賞 機能部門のグランプリを今年受賞した。児童用文具の分野で先端を行く株式会社ソニック(大阪市)の新製品『ラチェッタワン』ハンディ鉛筆削りである。

 

機能部門のグランプリをもらうほどの機能とは、ハンディ鉛筆削りに、ラチェット機構を使っていることにある。さっそく、その使い心地を実際に試してみた。

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ペンケースの中に入れて持ち運びができる「ハンディ鉛筆削り」は、「コンパクト鉛筆削り」とか、「携帯鉛筆削り」などとも呼ばれるが、従来のものはどれも、皆さんよく知ってのとおり、鉛筆を差し込んで、グリグリと回し、鉛筆を削る、極めてシンプルな作りになっている。

 

この『ラチェッタワン』も、一見すると、そうした従来型と同じハンディ鉛筆削りのように見えるが、ところがどっこい、見えない部分に、 ラチェット機構を組み込むことで、従来のものとは全く違う使い心地の鉛筆削りになっている。

再撮(2/3)

ラチェット機構というのは、ボルトを締め付けるレンチに使われている構造で、回転方向を一方向に制限し、逆方向は空回りする仕組みのこと。

もっと身近な例で言えば、自転車のペダルを想像してもらうとわかりやすいかもしれない。漕ぐときは、しっかりと力がかかるが、逆回しは空回りするので、自転車のペダルは使いやすく、しかも素早く必要なペダルポジションを取ることができる。

 

この一方の回転を空回りさせるラチェット機構を鉛筆削りに使うと、削っては戻し、削っては戻しという、行ったり来たりの削り方が可能になり、素早く、かつ従来同様の正確な削りが可能になるのである。

再撮(3/3)

鉛筆を削る刃の部分を支えるプラスチックが、透明なケース部の軸受けのところで回転し、しかもその回転はラチェット機構により、削るときは固定され、戻すときは、カラカラカラと小気味いい音をたてて空回りする。

 

このカラカラというギアの音を聞くだけでも、メカが好きな人には、ちょっと心地よいツールだ。

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その音はともかく、実際に鉛筆を削ってみると、まず鉛筆は非常に鋭く削れる。通常の黒の鉛筆でも、色鉛筆でも同様の軽い削り心地だ。

またラチェット機構を使って、往復運動で鉛筆を削ると、非常に快適なことは間違いない。むしろ使っているうちに、「こんな機能はあって当然で、付いてないのが不思議」なように感じられてくるのである。

 

おそらく、従来のハンディ鉛筆削りを使うときも、実は誰しもが、自分の手でラチェット機構の代わりをやっていることだと思う。鉛筆を握ったり緩めたりしながら、鉛筆を削る。だから、記者は、当初は、この機能は不要だと思っていた。

 

しかし、何度も使ううちに、当たり前のように、この機能はあっていいと考え直すようになった。要するに、特別なことではなく、ハンディ鉛筆削りの、いわば“標準装備”として、これはあっていい機能だと感じるようになったのだ。

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この『ラチェッタワン』は、4色のラインナップで、価格は税別で300円。発売は、10月下旬を予定している。

 

ちょっとコロリとしていて、スリムなペンケースには入れにくいかもしれないが、削りカスを納めるダストケースも付いているので、例えば、試験会場などで鉛筆を削りたいときに、カスのことを気にせず削ることができるのはポイント高い。

 

さらに、この『ラチェッタワン』では、そのダストケース内の削りカスが逆流して、ペンケース内に出てくる心配が無いのも、大きな特長となっている。

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というのも、鉛筆を差し込む穴には、鉛筆を差すと開き、抜くと閉じる、自動開閉のキャップが付いているからなのだ。これにより、削りカスがペンケースの中に出てきて、ペンケースを汚す心配がないのである。

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今年の日本文具大賞 機能部門のグランプリを受賞した、このラチェット機構付きのハンディ鉛筆削り、さてあなたはどう評価するだろうか。

少なくとも、このようにダストケースが付いているハンディ鉛筆削りには、ラチェット機構は付いていて当たり前になるような気が記者はするが、気になる方、新しいもの好きの方、そしてマークシートを使う受験生には、ぜひ一度使ってみて欲しい新しい文具である。

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渡辺 穣

複数の雑誌のデスク・編集長等を経てフリーライター/エディター。主にビジネス/経済系の著書・記事多数。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年以上。趣味は、スキー、ゴルフ、ピアノ、焚き火、ドライブ。山と海と酒とモーツァルトを愛する。札幌生まれ。

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