『ナプキン フォーエバー ピニンファリーナ カンビアーノ』インク・芯不要でほぼ永久に書ける魔法のペン!
インクも芯も不要でほぼ永久に書くことが出来るペン…。ドラえもんのひみつ道具としか思えないのがダイヤモンド株式会社(大阪府大阪市)から発売された『ナプキン フォーエバー ピニンファリーナ カンビアーノ』(Gun Metal 01512・希望小売価格 税抜16000円・発売中)。産業革命時に誰もが夢想した永久機関のような文房具界の奇跡。本当に書けるのか、実際に使ってみた。
まずデザインが秀逸。文具としての魅力はもう破壊的。入っている箱の段階でヤラれる。何とこの箱のほとんどは木。中にペン分の穴が空いているだけなのだ。そこにスッと差し込まれているのがこの『ナプキン フォーエバー ピニンファリーナ カンビアーノ』。シンプルな木目をサイドにあしらえたガンメタリックの流線型本体。可動部分は、無い。
デザインはフェラーリ・デイトナ、アルファ・ロメオ、マセラッティなどの名車デザインを手掛けたイタリアのデザイン会社・ピニンファリーナ社と、同じくイタリアの文具メーカー・ナプキン社の共同制作。もともとこの『ナプキン フォーエバー ピニンファリーナ カンビアーノ』も、ピニンファリーナ社のコンセプトカーのデザインをルーツにしているという。第24回 日本文具大賞デザイン部門で優秀賞も受けた。
しっかりと手に馴染む重みとバランスはさすが価格が高いだけある。デザインも質感もとても上質で文具ファンなら心をかき乱されること確実なのはよくわかった。ただ問題なのは、ペン先はあるけれど転がるボールもインクの出口もシャープペンシルのような芯が出る機構も無いのに、書けるのかということ。この通りペン先には何もない。
結論としては、書ける。ただこれ、紙質にかなり左右される。するすると抵抗のないなめらかな紙だとあまり書けない。いわゆる滑らかさを身上とするコピー用紙やプリント用紙にはあまり書けないのだ。
一方もう少しざらついた感触の紙だと、きちんと書ける。もちろんインク使用時のようなくっきり感は無いけれど、程よくかすれた味のある字が書けるのである。これは面白い。
なめらかな紙質のメモ帳ではこのようにかすれた。
原理としては「イーサグラフ」という合金製のペン先が紙と摩擦することにより酸化して軌跡を残すというもの。元祖は鉛筆が発明される前の1560年以前に使われていたメタルペン。レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロはそうしたメタルペンを用いて細かい線画を書いていたのだけれど、当時は紙に特殊加工を施すことによってはじめて書けた代物。それを元にベニス大学とナプキン社が普通紙でも書けるように開発したのがこの「フォーエバーペン」なのである。
正直書ける紙と書けない紙があるというのはペンとしてはかなりの弱点なのだが、それこそ鉛筆の濃さでいうと9Hクラスの薄さの文字は、さながらデッサン風の淡い味わいを持っており、これはこれで用途を選びさえすればむしろ利点になるものだと感じた。
例えばスケッチ及びイラストを描く時に使用すれば、独特のアナログ感あふれるタッチが実現できる。グリーティングカードにボールペンで記入するのは無粋だが、そんな時にこれでやや薄めの味のある字で一言添えるというのならアリだろう。
また使用する人の筆圧も問題だ。弱い筆圧の人だとほとんど書けない。しっかり力を入れて、紙を引っ掻くように書いていくと文字が生まれる。適切な紙を用いて、強めの筆圧で書くことによってのみペンとして機能するというのは不便。ただこの不便こそが使いこなす使い手の力量を問われるわけで、クラシックカーを面倒見つつ上手く乗る人のような充実感を味わえるのだ。
薄く煙ったような筆跡は、味はあるけれどコンピュータ社会に真っ向から対決するもの。繊細なそのタッチはスキャンもしにくいことだろう。それでもなお使いたくなるのは、やはり人間自体はアナログだからなのだろうか。便利なCDやデジタル配信がある世の中で、あえてレコード盤で音楽を楽しむような気配がここにはある。
もちろんこれで長文はキツイ。筆圧の強さが要求されるので、たちまち腱鞘炎になってしまうことだろう。それよりは字自体を見せるタイミングや、イラスト方面での活用を考えたい。それと気をつけたいのは、鉛筆のように見える筆跡だが、消しゴムでは消えない。イラスト制作などでは気になるポイントだろう。
カラーリングは今回試用したガンメタリックの他、シルバー、マットブラック、コッパーがある。
■シルバー
■マットブラック
■コッパー
中でもコッパーは人気で品薄状態が続いているそうなので、見かけたらゲットしたい。
NAPKIN 4.EVER PININFARINA CAMBIANO ピニンファリーナ ペン 輸入品 ガンメタリック