[第70回]「ドレッシング」販売金額ランキング。一人勝ち『キユーピー』の中で最強のドレッシングは『?』 キユーピー”以外”のドレッシングTOP10も掲載!

 上の写真は、キユーピーのあるドレッシングのTVCMの一場面である。これはもはや、サラダに和えるドレッシングの使い方ではない。さまざまな料理に使える総合調味料である。『日経POSランキング』、今回のテーマは「ドレッシング」。売り場を見ると、実に多種多様な商品が並んでいるものの、多くの人は、いつも“自分の定番”だけ手に取っているように見える。今回は少しその視野を広げるきっかけになればと思う。

 いつものように『日経POS情報POS EYES』で調査開始。商品分類で見ると、大分類に「ドレッシング」カテゴリーがあり、その中に2つの小分類「ドレッシング」と「ノンオイルドレシッング」が存在する。その2つの小分類カテゴリーを販売金額のシェアで比べると、ドレッシングが約88%、ノンオイルドレッシングが約12%と、ドレッシングが圧倒的に売れている。そこで今回は、この小分類の「ドレッシング」に焦点を当ててランキングを作成した。
 使用したデータは、直近1年間すなわち2020年10月から2021年9月の1年間で、日本経済新聞社が全国のスーパーから独自に収集したPOSデータで、小分類「ドレッシング」で検索し、商品別の販売金額ランキングTOP20をまとめたのが下の(表1)である

わかっちゃいるけど、際立つキユーピーの強さ!

 (表1)を見ると、薄い黄色が表の下地の色かと思うほどの大きな面積を占めている。それがキユーピー株式会社(東京・渋谷区、以下キユーピー)の商品である。なんとTOP20の20商品中、15商品が同社の商品なのである。誰でも想像できる結果だとは思うが、本当にキユーピーの“一人勝ち”状態だ。そしてキユーピー以外のメーカーの商品を見ると、株式会社ピエトロ(福岡市中央区、以下ピエトロ)の商品が2つ、日清オイリオグループ株式会社(東京・中央区、以下日清オイリオ)の商品が同じく2つ、株式会社叙々苑(東京・港区、以下叙々苑)の商品が1つと、合わせて5商品しかランクインしていない。
 ちなみに同じデータで、販売金額シェアをメーカー別に見ると、キユーピーの断トツ1位は当然として、第2位に自社開発商品(PB)をはさんで、第3位がピエトロ、第4位が日清オイリオ、第5位が叙々苑と続く。(表1)で見たとおりの結果だと言っていいだろう。

どのスーパーでも、ドレッシング売り場の半分はキユーピー商品に占められている。写真も全部キユーピーだが、実際の陳列は、これの何倍もある。

この写真は、キユーピー以外のメーカーのドレッシングが並ぶ棚。上位メーカーのピエトロ、日清オイリオ、叙々苑のほか、PB商品もある。この棚にも、ちょっとだけキユーピーが入り込んでしまっている。

 このような結果を頭に入れて、今度はいくつかのスーパーを回り、売り場を確認してみると、どこのスーパーに行っても、売り場面積の約半分はキユーピー商品が陳列され、残り半分の面積に、その他多くのメーカー商品が陳列されている状況だった(上写真2枚参照)。まさにキユーピー様だけが別格扱いと言っても過言ではない棚の占有度なのである。それは商品のアイテム数にも言えることで、キユーピー「ドレッシング」のアイテム数は110を超えるが、他のメーカーは、多くてもせいぜい20~30台のアイテム数にとどまる。いずれにせよ、全く勝負にならないほど、キユーピーが強いのである。

その強いキユーピーの中で、圧倒的に売れているのが・・・!

 これだけキユーピーが売れているということは、きっと読者の多くもキユーピーのドレッシングを買っているわけで、それならば今回は、まず「キユーピーのドレッシングの中で、何が売れているのか」を見て、それから次に、キユーピー以外のランキングを調べてみようと思う。その方が、読者にとってもわかりやすい気がするからだ。
 というわけで、(表1)に目を戻すと、実はキユーピー商品だけでみた第3位は、表の第5位と第18位にランクインしている『すりおろしオニオンドレッシンク』になる。この2つの商品は同じドレッシングのサイズ違いで、この2つを合計すると「金額シェア」が3.7%になる。同様にキユーピー商品だけでみた第2位は、表の第3位と第8位にランクインしている『シーザーサラダドレッシング』になる。こちらもサイズ違いの2つのシェアを合計すると、6.3%になる。そしていよいよキユーピー商品の第1位である。それは表で伏せ字になっている第1位と第4位の商品、すなわち『深煎りごまドレッシング』(下写真)なのである。この第1位と第4位のシェアの合計はなんと“18.1%!”にもなる。つまり販売金額全体の約5分の1は、このキユーピーの『深煎りごまドレッシング』という、恐ろしいほどの売れ方をしているのである。

キユーピーのブランドサイトから。左側の大きなサイズのボトルが(表1)の第1位で、右の小さなボトルの方が、(表1)の第4位である。

 このドレッシング、冒頭のTVCMの写真でも紹介されているように、いまや野菜サラダにあえるだけの代物ではない。ありとあらゆる料理に“ごまの風味”を加える調味料なのである。しかもコレ1本で味はすべてOKという“総合”調味料とでも言うべき存在なのだ。おそらくそうした使い方をしている人は実際少なくないのではないだろうか。そう考えると、この圧倒的な第1位の意味も理解できる気がするのである。この商品は、ドレッシング+調味料なのだ。

キユーピーだけの商品での上位5商品。左から第1位である。右の2商品、つまり第4位、第5位は、同じキユーピー商品でも、「テイスティドレッシング」という、少し高級なブランドである。

 本連載の第66回「焼き肉のたれ」のところで少し紹介したが、ごま風味の多い焼き肉のたれの中で、“しょうが味”の焼き肉のたれは希少で、しかもサラダのドレッシングにしたり、料理の際に調味料として使いやすいのである。しかも、そのように使うと、しょうがを剥いたり、おろしたりする手間も省ける。キユーピーの『深煎りごまドレッシング』も、ごまの調味料として使えば、ごまをすり下ろす手間が省け、大変便利に使える。とりあえず“一家に1本”感覚で冷蔵庫に置いておきたいものなのかも知れない。

アイテム数も圧倒的なキユーピードレッシングには、機能性表示食品ドレッシングも4アイテム存在する。売り場でも、それがまとめて陳列されていた。

 さて、あなたはどのキユーピーを普段使っているのだろうか。ときにはこのランキング表を見て、他のテイストを楽しんでみてはいかがだろう。

“レストランの味”は魅力的!?キユーピー以外の商品TOP10

 次は、キユーピー以外のドレッシングのランキングである。(表1)のデータからキユーピー商品を取り除いて、ランキングTOP10を作成したのが、下の(表2)である。

 この(表2)を見ると、青で着色した日清オイリオの商品が多さが目立っているが、TOP3には日清オイリオの商品は入っていない。ではその上位3商品は何かというと、第1位と第3位はピエトロの商品、第2位は叙々苑の商品である(下写真)。そして実はこのピエトロも叙々苑も、もともと調味料やドレッシングのメーカーではなく、レストランの経営が本業の外食産業なのである。

キユーピー以外のメーカーのドレッシング、販売金額ランキングTOP5。左から第1位。

 ピエトロの始まりは、1980年に福岡でオープンしたスパゲティ専門店「洋麺屋ピエトロ」、一方の叙々苑の始まりは、1976年、東京都港区にオープンした「焼肉 叙々苑」である。どちらも現在は日本全国に店舗展開する外食チェーンに発展したが、そのレストランで提供する味を家庭でも楽しめるように、ドレッシングや焼き肉のたれなどを製造・販売しているのである。
 実際に、レストランで最初に“味見”ができる強みはあるだろう。ましてそれが美味しいとなると、ある意味売れて当然でもある。上の(表2)のTOP3商品には、そうしたレストランを持つメーカーの強みを感じる。記者も、ドレッシングの普段使いは、第1位のピエトロである。このドレッシングが持つ玉ねぎの味わい(下写真参照)は、他ではちょっと味わえないもの。ただし、全く熱を加えず作られる生タイプのドレッシングなので、賞味期限は短く、製造日から3ヶ月である。

ピエトロのブランドサイトには、同社創業からの物語が綴られている。そこにはドレッシングのおいしさの秘密など、詳細な説明もある。

 また第2位の叙々苑の『野菜サラダのたれ』は、酢が苦手の記者にはありがたい商品。なんせ「酢を一切使用していない」という変わり種のドレッシングなのだ。ごまの風味が強く、蒸し鶏のたれにしたり、冷やし中華に使用するには最適である。

ヤフー!ショッピング内にある叙々苑のオンラインショップには、『野菜サラダのたれ』の食べ方などの説明が記載されている。

 今回は、ドレッシングの販売金額上位の、主にキユーピー、ピエトロ、叙々苑のドレッシングをご紹介したが、いつも自分の定番ばかりではなく、ぜひ自分の舌で、あれこれと試し、そして料理にも使用してみて欲しい。ステイホーム時代は、自分で料理をするチャンス。ドレッシングの売れ行きも好調なのだそうである。(写真・文/渡辺 穣)

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記者

渡辺 穣

複数の雑誌のデスク・編集長等を経てフリーライター/エディター。主にビジネス/経済系の著書・記事多数。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年以上。趣味は、スキー、ゴルフ、ピアノ、焚き火、ドライブ。山と海と酒とモーツァルトを愛する。札幌生まれ。

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