[第34回]「ふりかけ」ランキング!不動の上位”定番”商品!健康的で保存食でもある「ふりかけ」は、“ご飯のお供”から“料理のお供”へと進化しつつある!

 生まれてから死ぬまで、毎日のように米の“ご飯”を食べ続けて、なぜ飽きないんだろうと、記者はときどき思う。もはや水や空気と同じように、日本人にとって、なくてはならない存在だからなのか。それとも「食」というのは、意外と保守的なものなのか。それはともかく、そのご飯にふりかけて食べる「ふりかけ」も、なかなか保守的な商品のようである。今回の『日経POSランキング』のテーマは「ふりかけ」。いつものように、新しい発見を求めて、販売金額のランキングTOP20(表1)を作成してみた。

 『日経POS情報POS EYES』を使い、日本経済新聞社が全国のスーパーから独自に収集したPOS データの直近2021年4月のデータをもとに、商品分類=小分類「ふりかけ(袋・瓶)」で検索し、ランキングTOP20をまとめたのが下の(表1)である。また参考のために、データの期間を「2020年5月~2021年4月」のものと「2016年5月」のものも調べ、比較検討して、以下の記事を書いている。

《サックリまとめ》

・上位10位は、5年経っても顔ぶれは全く同じ!

・丸美屋、三島、大森屋、井上商店、あれ、永谷園は?

・健康をアピール!『緑黄野菜ふりかけ』

・『ゆかり』はパッケージに点字も!

・丸美屋のふりかけは、楽しい調味料。

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これらの「ふりかけ」はいつも上位にランキング。TOP10で不動の商品である。

TOP10の顔ぶれは、5年前と変わらず!永谷園は??

 さて検索の結果、驚くべきことがわかった。今年4月のデータでも、5年前の5月のデータでも、さらに直近1年間のデータを見ても、販売ランキングのTOP10はすべて全く同じ顔ぶれの商品で構成されているのである。もちろん多少の順位の上下はあるものの、商品のラインナップは全く変わっていない。しかも第1位、第2位、第10位の3商品は順位まで全く同じである。

 つまり、今回比較したどのデータを見ても、常に第1位は『丸美屋 のりたま 大袋 58G』で、第2位は『三島 ゆかり しそごはん用 26G』なのである。『のりたま』と『ゆかり』。この2商品は、まず間違いなく「ふりかけ」の横綱と大関と言ってもいいだろう。
 ちなみに、今年4月の(表1)のランキング上位20商品をメーカー別に見ると、20品中11品が丸美屋食品工業株式会社(東京・杉並区、以下丸美屋)の商品(表の黄色の部分)、5品が三島食品株式会社(広島市中区、以下三島)の商品(表のピンク色の部分)、3品が株式会社大森屋(大阪市福島区、以下大森屋)の商品(表の緑色の部分)、残る1品が株式会社井上商店(山口県萩市、井上商店)の商品で占められている。今年4月のメーカー別シェアで見ても、1位は丸美屋、2位は三島、3位は大森屋の順は変わらない。

永谷園の『おとなのふりかけ』は売り場でもよく見かけるが・・・・・?

 ここで、ちょっと「ふりかけ」好きな読者なら、「あのメーカーはランクインしてないの?」と感じるかもしれない。そう株式会社永谷園(東京・港区、以下永谷園)である。記者の感覚では、「ふりかけ」といえば、丸美屋と永谷園というイメージがあり、今回スーパーの売り場にも同社の『おとなのふりかけ』が普通に陳列されている(上写真)のを見かけたのだが、上記の3つのランキングのTOP20のどこにも永谷園の商品は存在しないのである。

 おかしいと思い、よく調べてみると、永谷園のいくつかの「ふりかけ」は、(表1)の「ふりかけ(袋・瓶)」とは異なる商品分類にあることが判明。日本経済新聞社から得た定義によると、(表1)の「ふりかけ(袋・瓶)」の「袋」とは、1食毎の小分けになっていない状態のものを指し、『おとなのふりかけ』のように1食毎に小分けになった袋は、「ふりかけ(パック)」という商品分類に属するとのこと。そこで、「ふりかけ(パック)」カテゴリーを含めて、再度検索してみると、永谷園の『おとなのふりかけ』と『おとなのふりかけミニ』さらに『アンパンマンふりかけ』の中の5商品が、20位までにランクインしていることがわかった。さらに「メーカー別シェア」でも、丸美屋と三島の間の第2位に永谷園が登場したのだ。ただし、丸美屋のシェアはダントツで、「ふりかけ」界には丸美屋という強い1人横綱と、永谷園、三島という2大大関が存在するという構図のようである。。

 今回は商品分類の異なる永谷園は含めずに、上の(表1)を見ながら、以下話を進めていきたい。
 

ランキングの商品分類は「ふりかけ(袋・瓶)」だが、瓶入りのふりかけは、売り場ではほとんど見かけない。圧倒的に「袋入り」が多いようである。

栄養機能食品『大森屋 緑黄野菜ふりかけ 袋45G』

 それでは、不動のTOP10の中から、いくつか個々の商品を取り上げて見ていきたい。まず第10位の『大森屋 緑黄野菜ふりかけ 袋 45G』である。この商品は、5年前の5月も、直近1年間も、直近の今年4月でも常に第10位をキープ。第11位との差が大きいわけでもないのに、いつもしぶとく10位に居座っている。
 このふりかけは、「緑黄野菜」というだけあって、見た目は黄褐色と緑色が強いが、全体的には第1位丸美屋の『のりたま』に似ている(下写真)。実際に食べてみても、少しにんじん味の強い『のりたま』といった風情である。

左:丸美屋の『のりたま』の色を濃くした感じなのが、右:大森屋の『緑黄野菜ふりかけ』。

 この商品の最大の特長は、「健康志向をアピールしている」ことだろう。パッケージを見ると、「12種類の野菜入り」・「植物性乳酸菌100億個」・「栄養機能食品ビタミンB1」という3つのキーワードが並び、裏面にはビタミンB1についての説明も書かれている(下写真)。

大森屋『緑黄野菜ふりかけ』のパッケージの裏。ここには書かれてないがカルシウムも非常に多く含まれている。

 「栄養機能食品」というのは、1日に必要な栄養素(ビタミン、ミネラルなど)が不足しがちな場合、その補給・補完のために利用できる食品のことで、国が定めた方法により栄養成分の機能を表示できる食品のこと。この『緑黄野菜ふりかけ』には、栄養成分の「ビタミンB1」について、「炭水化物からエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です」という表示がなされている(上写真)。またこのふりかけ9G(1日の摂取目安)を食べると、カルシウムが73MG摂取できるのも魅力的である。コロナ禍で、これまで以上に消費者の健康意識が高まる中、『大森屋 緑黄野菜ふりかけ 袋 45G』はこれまで以上に注目を集めることになるかもしれない。

乾燥させず、原材料を混ぜただけの「ソフトふりかけ」。TOP10には写真の3商品がランクイン。

第6位『井上商店 ソフトふりかけ しそわかめ 90G』

 山口県萩市に本社を構える井上商店は、創業が明治4年(1871年)というので、創業150年の老舗である。第6位にランクインしている『井上商店 ソフトふりかけ しそわかめ』は、1980年の開発商品で、当初は山口県の土産物として好評を博したという。
 「ソフトふりかけ」というのは、通常のふりかけが完全乾燥しフレーク状に仕上がっているのに対し、原料を味付けし、ほぐして混ぜ合わせただけのタイプで、「生ふりかけ」とも呼ばれるもの。「開封後は冷蔵庫で保存し、なるべく早くお召し上がりください。」という注意書きがパッケージに入っている。今回のTOP10の中にも、ソフトふりかけは3商品がランクインしている。

袋の大きさ、厚さ、そして重量感。わかめたっぷりの『ソフトふりかけ しそわかめ』は、見た目にも、「ふりかけ」というよりは「つくだ煮」のようだ。

 『井上商店 ソフトふりかけ しそわかめ 90G』は、他のランクイン商品に比べずっしりと重く、値段的にも割高で、「ふりかけ」というより「つくだ煮」にも見えなくもない商品。他のふりかけ商品とは、明らかに趣を異にするものである。

原材料の赤しその記念日まである、三島『ゆかり』

紫色を基調にしたパッケージを見れば、すぐに『ゆかり』とわかる。TOP10にランクインした2商品。

7月7日は『ゆかり』の原料である赤しその最盛期であることから、「赤しその日」として三島食品が記念日の申請をし、日本記念日協会が制定した。

 ご飯を赤シソ色に染める『ゆかり』は、三島の登録商標でその由来は、「紫色はゆかり(縁)のある色」と詠まれた古今和歌集の和歌にあるようである。おそらく多くの人は、この『ゆかり』の上品な酸っぱいシソの味を思い浮かべることができるだろう。それほどのふりかけの定番商品である。もし第1位の『のりたま』という“横綱”がいなければ、第2位の『三島 ゆかり しそごはん用 26G』は、いつも第1位の商品なのだ。 

 

『ゆかり』のパッケージには、点字による「ゆかり」の表記がなされている。メーカーのサイトには、いずれ「その他の商品への記載も順次検討している」とある。

丸美屋の「ふりかけ」は、「調味料」に進化している!? 

 最後は丸美屋のふりかけである。もはや「ふりかけ」の代名詞ともいえる『のりたま』は、日本国民で食べたことのない人はいるのだろうか。そんな国民的「ふりかけ」でもある。第1位と第4位の『のりたま』は、サイズの違いだけなので、これを合わせると、『のりたま』の「金額シェア」は16.6%と圧倒的である。また丸美屋のふりかけは『のりたま』だけでなく、多くのラインナップがランクインしている。第5位と第8位にはソフトふりかけもランクイン。それらの商品性について、今さら記者が何かを言う必要もないだろう。

 丸美屋のどのふりかけの原材料名を見てもわかるとおり、原材料として実に多種多彩なものが入っている。これだけ多くの微妙な味をミックスしたふりかけは、もはや単なる“ご飯のお供”ではなく、楽しい調味料として日々の食生活に入り込んでいる。例えば、記者の個人的な食べ方では、第3位の『味道楽』は、オリーブオイルに絡めてドレッシングにして食べているし、第8位の『ソフトふりかけ ちりめん山椒』は、冷や奴のトッピングにぴったりなのだ。その他にも、『ソフトふりかけ さけ』はパスタにも使えそうだし、“料理のお‘‘として、ふりかけをアレンジすることは、おそらくすでに多くの人がすでにやっていることではないかと思われる。
 冒頭に、「ふりかけ」は保守的な商品かもしれないと書いたが、確かに順位は不動だとしても、その使われ方は日々新しく進化しているのかもしれない。また、次の機会では、今回取り上げられなかった永谷園の商品も含め、新たな「ふりかけ」の販売状況をお伝えしたいと思う。(写真・文/渡辺 穣)

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記者

渡辺 穣

複数の雑誌のデスク・編集長等を経てフリーライター/エディター。主にビジネス/経済系の著書・記事多数。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年以上。趣味は、スキー、ゴルフ、ピアノ、焚き火、ドライブ。山と海と酒とモーツァルトを愛する。札幌生まれ。

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