『RP-XP008』スティック型のICレコーダーは音楽制作の味方になれるのか、現役ボカロPが検証!
「ポケット」「会話」「会議」「講義」「ステージ」の5シーンがセレクトできる
電源を入れてみる。音声ガイダンスで、今日の日付を設定する。この作業によって、録音したデータの年月日と時間が正確に記録されることになる。
ただ、電池を抜いたまま5分以上経つと日付と時間がすべてリセットされてしまう。すると日付の設定という作業を再度行なわなければならないので、電池交換は素早く行おう。
この『RP-XP008』はシーンに適した設定で録音できる「録音シーンセレクト」モードが搭載されている。 「ポケット」「会話」「会議」「講義」「ステージ」の5シーンがあり、それぞれに適した録音が可能となるわけだ。しかも、こんな小型なICレコーダーにも関わらず、左右のマイク間の距離の微妙な差で伝わる音の遅れを使って、左右の音を分離・強調する「ステレオ強調録音」という機能も搭載されている。これなら、会議などで誰が話したのかを座った位置で判別できるので便利だ。
録音は本体上部のレバーを下げればいいだけ。これもボールペンの芯を出す行為と似ていて、非常に簡単で慣れている行為。ボールペンのように胸に挿しておく使い方なので、例えば頭の中で音楽のフレーズが思い浮かんだ場合、サッと取り出して鼻歌をすぐに録音でき、しかもMP3データとしてパソコンに取り込めるわけだから、これは作曲活動が捗ること間違いなしだ。しかも、本体の設定で周囲の音声を感知しオートで録音開始する「音声起動録音」という機能まで用意されている。
なお、録音フォーマットは原音そのままの高音質録音「リニアPCM」モードと、どんなパソコンや再生機器でも概ね利用できる「MP3」モードがある。メーカーは「リニアPCM」を「音楽演奏やしっかりと録っておきたい用件」で利用することを勧めているが、内蔵4GBというメモリー容量や、実際にそこまで高音質で録音する機会もあまりないことから、長時間録音できる「MP3」がメインで使う録音モードとなるだろう。
マイクは、これも本体上部に設置されていて、ここで集音する仕組み。なお、イヤホンジャックもここにある。再生機能も多彩だが、すべての機能を紹介することは難しいので、詳しくは『RP-XP008』のサイトをチェックしてみてほしい。
特筆すべき再生機能は「かんたんシャドーイング再生」という機能。これは録音された音声を聞きながら、その聞こえた音をほぼ同時に繰り返して言う「シャドーイング」というリスニングのトレーニング方法で、この機能ではインデックス区間を設定し、繰り返しトレーニングが可能となっている。英会話など、語学の勉強をするのにもってこいの機能だろう。
まとめ:さすがに「歌ってみた」に使うのは厳しいが音楽制作にも戦力として期待!
インタビュー取材記事や会議録の作成には、言うまでもなく高い録音性能を示してくれた『RP-XP008』。その使い勝手の良さから、作曲のためのツールとしても高いポテンシャルを秘めている。で、記者は欲を出して歌を録音し、某ニコニコする動画サイトに「歌ってみた」動画を上げてみようと目論んだ。しかし、どの録音モードを使っても満足のいく録音音質にはならなかった。ただ、12,000円以下という本体価格を考えれば、そこまで要求するのは酷というもの。
ただ「音のメモ」をサクッと録音するツールとしては、これほど秀逸な製品は今まで見たことがない。正直、これは欲しい。なお、同製品はブラックのほか、ピンク、ホワイト、バイオレットというカラーバリエーションで展開されているので、お好みのカラーを選ぶ楽しみもある。