これさえ押さえればもう騙されない!『ダイヤモンド初級講座 4Cと模造品の見分け方』セミナーに参加した

株式会社ドリームファクトリー(大阪府大阪市)が運営する貴金属買取店「ゴールドプラザ」主催による『ダイヤモンド初級講座 4Cと模造品の見分け方』が開催された。セミナー当日の様子をレポートする。

 

講師は、前回の「金の真贋セミナー」でもお馴染みの、ゴールドプラザのブランド事業部マーケティング担当の川崎拓氏だ。

開始早々、「ダイヤモンド鑑定のプロになるためには、少なくとも5年はかかります」と川崎氏から聞かされ、想像以上のハードルの高さにいきなりくじけそうになった記者。

 

とはいえ、あるアイテムさえあれば、いくつかのチェックポイントを押さえるだけで、粗悪なダイヤモンドを選別できるようになるという。

「これを持ってジュエリー店に行くと、すごく嫌がられると思います」と不敵な笑みを浮かべる川崎氏が手にしているのは、前回のセミナーでお土産にもらった「10倍ルーペ」だ。

 

「ルーペが使いこなせないとダイヤモンドの見極めはできないので、必ず覚えて帰ってくださいね。慣れると様になって格好いいですよ」というわけで、ルーペの正しい使い方から教えてもらうことに。

まずは利き手にルーペを持ち、利き目の前に近づけ固定する。次に、ルーペと反対の手で持ったジュエリーをゆっくりと前後に動かしながら、焦点が合う位置まで調整していく。両脇を締め、両肘を机に固定して、ジュエリーだけを動かすのがコツだという。

「鑑定書と見比べることもあるので、両目を開いたまま、正面や斜め、真横など、ダイヤモンドを様々な角度からじっくり調べてみてください」

 

ダイヤモンドの偽物とは?

 

そもそもダイヤモンドの「偽物」とは、ダイヤモンドの模造品や模倣品を本物と偽って流通させているものを指すという。

「ガラスやプラスチックといった、比較的見分けがつきやすいものばかりではなく、ジルコンと呼ばれる天然石や、ジルコンによく似たキュービックジルコニア(CZ)、ルチルという合成品も出回っています。ダイヤモンドより美しいともいわれる合成品のモアッサナイトともなると、プロでも見極めが難しくなってきますね」

 

「本物のダイヤモンドであっても、なかには低品質のものを高品質だと偽って高く売ったり、人工的な処理を加えたものを天然物と偽って流通させたりするような悪質なケースもあるので、ネットオークションやフリマアプリなどで実物を確認せずに購入するには注意が必要です」

 

鑑定するなら習得必須のダイヤモンドの「4C」とは?

 

ダイヤモンドを評価する上で最初に覚えるべきは、アメリカのGIAという鑑定機関が規定する評価基準「4C」だ。4Cとは、ダイヤモンドの重量を表すCarat(カラット)と、色味を表すColor(カラー)、内包物の割合や表面のキズの評価を表すClarity(クラリティ)、そしてダイヤモンドを輝かせる最も大切な要素であるCut(カット)の頭文字のこと。

「まずは宝石部分を見る前に、土台部分に刻印があるか確認してみてください。ダイヤモンドのリングは基本的に土台の内側部分にカラットが記載されます。0.536などの数字と、k18やpt900などが刻まれていれば、ほぼ本物だと思っていただいて問題ないでしょう」

 

ちなみに1カラットは0.2グラム。カラットによって価格が大きく変動するため、4Cの中でも特に重要だ。あくまで重さで判断されるため、同じカラットでもサイズが異なることもあるが、1カラットの目安はおよそ直径6.5ミリになるという。

 

天然ダイヤモンドの特徴は、エッジのシャープさと内包物

 

ダイヤモンドの特徴は、鋭利な輝きを放ち、面と面のエッジの稜線がシャープであり、天然の証である内包物が見えること。だがそれ以外にも、いくつかチェック方法があるという。

 

「試しに文字の上に置いてみてください。ダイヤモンドは屈折率が非常に高いため、文字の上に置くと、屈折の影響で下の文字が読めなくなるんです」

 

ちなみに、文字が読めると、ジルコンやCZやガラスであることが多く、同じ文字が2つになるとモアッサナイトの確率が高まるという。

 

「熱伝導率が非常に高いので、息を吹きかけてもなかなか曇らないというのも、ダイヤモンドの特徴といえるでしょう。また、天然のダイヤモンドには微細な内包物やキズが存在するため、内包物が全くない完璧なものは注意したほうがいいでしょう」

つまり、下の文字が読めて、息を吹きかけると曇り、内包物が一切含まれていない場合には、ジルコンやCZやガラスなどである可能性が高いというわけだ。

 

そのほか、ダイヤモンドには比較的電気伝導率が高いという特徴もあり、専門店であれば、電気伝導率を調べる専用の機械を使ってチェックすることが可能だという。

 

真横から「ガードル」の厚さと均一性をチェック!

 

さらに、質の高いダイヤモンドがどうかを見極めるに、必ずチェックしたいポイントがあるという。

 

「正面や斜めからゆがみの有無や対称性をチェックしたら、真横から横線の厚さと均一性を確認してみてください。上部分と下部分の研磨がうまくできていない場合、横線がガタガタになるんです。横線がきれいにスーッと入っていれば、状態がいいダイヤモンドといえるでしょう」

 

カット評価のスケールは、Excellent、Very Good、Good、Fair、Poorの5段階。「ガードル」と呼ばれる横線を見ることで、初心者でも3段階くらいに分けることができるという。

「ブレもなく横一本にシュッと伸びている場合はExcellentだと思って間違いありません。少しでも横線がガタつくと、Very Good以下に落ちます。品質の低いものや模造品のなかには、もはや線ですらないものも含まれるので一目瞭然です」

 

UVライトで青く光るとダイヤモンドの買取価格が下がる理由

 

さらに、4C以外の評価基準を把握することで、より正確なダイヤモンドの鑑定が可能になるという。

 

「ダイヤモンドに紫外線ライトを当てたときに、何色に見えたかを査定する「蛍光性」と呼ばれる方法があります。本来ダイヤモンドの成分は炭素単体ですが、窒素などが混ざっている場合は、UVライトを当てると青く光ります」

ちなみに青くなると、買取価格が3割前後下がるそうだ。

 

現在では、クラリティやカラーを改変する加工技術が開発されており、レーザーで穴をあけて内包物を隠す「レーザードリルホール(LDH)」や、高温高圧を加えることで色をとばし、無色に近づけるHTPT処理(高温高圧処理)などがあるそうだが、その場合は鑑定書に「LDH」と記載することが義務付けられている。

そういった意味でも、ダイヤモンドの品質を証明するうえで、鑑定書は欠かせない。ただし、鑑定機関により判断基準が異なる為、完全に鵜呑みにすることもできない。事実、過去には偽の鑑定書が付属していたケースもあるそうなのでご注意を。

 

記者もダイヤモンドの見極めテストに挑戦!

 

セミナーの最後に、本日の総復習として、講師の川崎氏から参加者にテストが出題された。

「ケースの中には、ガラスとキュービックジルコニアとダイヤモンドが入っています。本物だと思うケースの番号を、耳打ちしてからお帰り下さい」

 

実際にルーペを使い、ポイントを1つ1つ思い出しながら、3つの石を見比べてみる。①のカットが一番鋭角で、ガードルもすっきりして見える。②と③はいずれも①と比較するとエッジが甘く、内包物も見当たらない。というわけで、記者の選んだ答えは①。

 

なんとか無事にテストを通過。安堵感から一気に緊張感が緩み、心地よい疲れがドッと押し寄せた。

このほかにも、ダイヤモンドに関する豆知識や、一歩踏み込んだマニアックな内容も満載で、前回の『金の真贋セミナー』を上回るほどの充実ぶりだった『ダイヤモンド初級講座 4Cと模造品の見分け方』。

 

帰り際、自宅でも鑑定の練習ができるようにと、なんと本物の小さなダイヤモンドとジルコニアをお土産にいただいた。これでしばらくルーペ片手に鑑定士気分を味わえそうだ。

 

次回は「ブランド見極めセミナー」が予定されているそう。開催予告・概要等の詳細はゴールドプラザ公式サイトをチェックされたし。

 

公式サイトはこちら

記者

渡邊 玲子

好奇心旺盛で新しもの好き。得意ジャンルはエンタメ、ファッション、美味しいもの。東京都在住。

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photo by 尹 哲郎

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