[第59回]「冷凍ピラフ・チャーハン」ランキング。ダントツ1位は、みんな知ってる“あのメーカー”。塩分や脂質に注目して食べ比べると、意外な商品もお薦め。

 コロナをめぐる状況は、着地点を見出せず、自ずと家で料理する機会が増えている。ときには手を抜きながら、上手に家での食事を楽しむには、冷凍食品を活用するのが一番。今回のテーマは、「冷凍ピラフ・チャーハン」である。

 今、売れている「冷凍ピラフ・チャーハン」にはどんな商品があるのか。なぜそれらが売れているのか。全商品を食べ比べるわけにはいかないが、ランキング表を見ながら、いくつかの商品を実際に食べて紹介したいと思う。
 まず『日経POS情報POS EYES』で商品分類「冷凍ピラフ・チャーハン」の販売金額ランキングを調べよう。期間は昨年8月から今年7月までの1年間。日本経済新聞社が全国のスーパーから独自に収集したPOSデータを使って検索し、販売金額の多寡でランキング上位20商品をまとめたのが、下の(表1)である。

上位6商品だけでシェア38.1%の強さ!

 この上位20商品のうち18商品は、3社のメーカーで占められている。その3社とは株式会社ニチレイフーズ(東京・中央区、以下ニチレイ)マルハニチロ株式会社(東京・江東区、以下マルハニチロ)味の素冷凍食品株式会社(東京・中央区、以下味の素)である。そしてこの中でも、今回のランキングデータではニチレイがダントツでシェアNo.1となっている。その状況は(表1)からも伺い知ることができる。
 (表1)のトップ『ニチレイ 本格炒め炒飯 450G』は、その金額シェアが20.7%で、驚いたことに第2位の『味の素 ザ・チャーハン 600G』の金額シェアの3倍近くもある。その強さの秘密はおそらく幾つもあるだろうが、(表1)のデータから読み取れるのは、その「カバー率」の高さだ。赤字で記した「97.6%」は、調査したほぼすべてのスーパーに陳列されていることを示している。カバー率が次に高い商品を探すと、80%台の商品はなく、70%台の商品がただ1つあるだけ。しかもそれもまた第3位にランクインするニチレイの商品である。つまり、金額シェアから見ても、カバー率から見ても、第1位の商品が頭抜けているし、ニチレイというメーカーも頭抜けていることが推測できるのだ。ちなみに、(表1)には、ニチレイ商品が6商品ランクインしているが、その6商品の金額シェアを合計しただけで、38.1%にもなる。この6商品だけでシェア4割近いのだから、ニチレイのこの市場での強さがわかるだろう。
 ニチレイの話ばかりをしてきたが、次にランキング第2位の『味の素 ザ・チャーハン 600G』について少々触れておこう。この商品、実はランキング第5位の『味の素 ザ・チャーハン 600G』と全く同じ商品名である。そこで、それぞれの商品コード、売り場での販売状況、味の素のWEBサイト、さらにこの1年間を1ヶ月ごとに分けてそれぞれの販売金額の推移などを見比べて、おそらく第5位の商品は第2位の商品のリニューアル版なのだろうと推測ができる。今現在では、第2位の商品は売り場には出ていないうえに、月次の販売金額を見ると、今年の春頃に第2位と第5位の販売金額が大きく逆転しているからだ。しかも味の素のWEBサイトには、第2位の商品は現在の商品ラインナップには掲載されていないことからも、その推測は裏付けられる。この1年間の販売金額で見ると、登場後まだ時間が短いリニューアル商品はまだ第5位で、前の商品が第2位に位置しているということなのだろう。そのような事情で今回は第2位の商品は購入できず、第5位の商品を購入した。
 もう1つ、(表1)の第6位以下の15商品を見ると、圧倒的に赤の欄が多いことがわかるだろう。赤の欄=マルハニチロの商品である。メーカー別のシェアでも、ダントツのニチレイに次ぐ第2位はマルハニチロで、僅差で味の素が続いている。表内のマルハニチロの商品の特徴は、チャーハンのバリエーションが豊富であること。第15位の「そばめし(やきそばとチャーハンを合体したもの)」を含めると、なんと7種類ものチャーハンがランクインしている。
 今回のテーマは「冷凍ピラフ・チャーハン」ではあるが、(表1)のTOP20商品のうち、チャーハンが13商品、ピラフが5種類、その他が2種類なので、今回は「チャーハン」に絞って、以下食べ比べしながらご紹介したいと思う。

気になる、各商品の微妙な塩味と脂っこさの差異!

 食べ比べてみたのは、チャーハン13商品の中から、各メーカーのトップのチャーハン商品4商品、つまり第1位、第5位、第6位、第10位の4商品に、参考比較に第3位を加えた計5商品である。さっそく第1位からスタートしようと思ったが、実は今回、ちょっとした手違いから第5位の商品から食べることになったので、第5位からスタートだ。

《第5位 味の素  ザ・チャーハン 600G》

 皿に盛った冷凍チャーハンをレンジに入れておく時間にちょっと神経質になっていた。分量が少ないために、あっという間に調理が完了してしまうからだ。でもしばらくすると、香ばしいチャーハンの匂いが漂い始める。これで完成がわかるので、あまり時間を気にすることもなかった。やがて「チン!」と鳴って、レンジから皿を取り出すと、具が大きく、なかなか本格的なチャーハンのように見える。

 パッと見、この商品は、大きな焼豚がゴロゴロ、ネギもいっぱい、そして黄色い卵。美味しそうだ。「本当に今の冷凍食品は侮れない」と感じる。さっそく、一口いただくと「?」となった。というのも、しょっぱいのである。普段、外食もさほどせず、薄味好みの記者には、このしょっぱさは辛い。それ以外は、この商品、全く問題なく美味しく、具も大きく、合格なのだが、ただ1点、しょっぱさだけが問題だった。きっと多くの読者には、このしょっぱさは、さほど気にならないのかもしれない。

《第1位 ニチレイ 本格炒め炒飯 450G》

 さて順番が入れ替わったが、いよいよダントツ第1位の登場である。さきほどと同様に皿に冷凍チャーハンをバラバラと盛って、レンジに放り込む。ダイヤルを回すと、おや?なんだが派手にバチバチと音がする。さきほどの味の素の商品ではしなかった音、何かがバチバチとはじけているのだ。あとで皿を見てわかったのだが、それはチャーハンに含まれる油分がはじけて飛び散っている音だった。そんなことを考えている間に「チン!」と完成。

 できあがりを見ると、さきほどの味の素の商品を見た後なので、焼豚がとても小さく感じる。しかもネギが見当たらない。よく見ると確かに白ネギがあるのだが、量が少なく、目立たない。卵の量も少ない。ご飯が白く味の抜けた部分もあり、全体的に貧弱。ところが口に含むと、まろやかな味がしてなかなかイケるのである。味の素のようなしょっぱさもない。ただ、こちらはレンジで加熱中に音で感じたとおり、少し油っぽいのが気になる。塩加減はいいが、具の少なさと油っぽさが問題だ。

 ここで、探究心旺盛な記者は、各商品に含まれる「食塩相当量」と「脂質」を調べずにはいられなくなり、さっそく下の(表2)にまとめてみた

 (表2)を見ると、思った通り!!ここまで食べ比べた2商品の食塩相当量と脂質の量が、食べた印象とバッチリと合致している。つまり、最初に食べた第5位の味の素は、少し塩分が多く脂質が少ないのに対し、今食べた第1位のニチレイは、塩分が少なく脂質が多めだったのである。しかも表を見てわかるとおり、第1位の塩分の少なさと、第5位の脂質の少なさは、どちらも表の5商品の中で際立っているものだった。

《第6位 マルハニチロ 新中華街 あおり炒めの焼豚炒飯 450G》

 さて、次はマルハニチロの商品である。こちらもレンジに入れている間中、バチバチと盛大に油がはじけている。なるほど、(表2)で見ると、食塩相当量も脂質も表中で最も多く含まれている。完成が近づき、良い香りが漂ってくるのだが、この商品の香り、どことなく魚っぽい!決して、マルハニチロという先入観ではなく、やはり魚っぽい香りがする。この焼豚はマグロか?(冗談)。

 皿を取り出してみると、見た目はなかなか美味しそうな色をしている。具の量は、先の2商品の中間ぐらい。ネギは青ネギで彩りもきれいである。さっそく一口いただくと、味は悪くない。ただ少しだけしょっぱい。(表2)を見ると、味の素よりもさらに食塩相当量が多いはずなのに、こちらの方が、しょっぱさは穏やかである。がそれでも、少ししょっぱい。しかし、この商品の一番の問題は、肉の味があまりよろしくない。マグロは冗談にしても、どうも肉の味が・・・。

《第10位 テーブルマーク 焼めし 600G》

 パッケージに「昔ながらの懐かしい味わい」と書いてあり、かなり期待が膨らむ。しかも写真にはピンクのかまぼこも入っていそうだ。楽しみである。メーカーはテーブルマーク株式会社(本店/東京・中央区)。皿に盛り、レンジに入れると、油がはじける小さめの音が聞こえる。それで脂質は少なめだとわかる。ちなみに味の素の商品では、油のはじける音はしなかった。そして、この商品だけ、完成が近づくと、ネギの香りが強く漂ったのが印象的だった。

 出来上がりを見ると、あっさり上品な見た目。ネギは青い方が見た目にきれいで好きだが確かに入っている。かまぼこは、少しレンジの時間が長かったのか、固くなってしまった。焼豚の量は多からず少なからず。一口入食べると、まず「甘い!」が第一印象。ところが噛んでいるうちに、今度は甘さからしょっぱさに変化していく。この感じは、子どもにも食べやすい感じがする。油っぽくなく、一瞬の甘さに違和感がなければ、これはなかなかイケる

 ここで、食べ比べを終える予定だったが、第1位のニチレイのチャーハンの具の少なさが気になって、同じニチレイで第3位に入っている「具材たっぷり」の方も比較参考のために食べ比べてみた。

《第3位 ニチレイ 具材たっぷり五目炒飯 500G》

 こちらは同じニチレイでも、第1位の商品よりも塩分がやや多く、脂質が少なくなっている。そして7種類具材(ネギ、卵、焼豚、にんじん、たけのこ、しいたけ、きくらげ)が特長だ。レンジに入れると、油のはじけ音が盛大に鳴っている。完成間近には、美味しそうなチャーハンの香りが漂ってきた。

 まず見た目は色とりどり、華やかで美味しそうである。食べてまず印象的だったのは、たけのこの食感だ。全体的にもっちりしがちなチャーハンにあって、コリコリといい感じの歯応えが気持ちいい。しいたけも、存在感があっていい。肉もいい味してる。しょっぱさは感じず、これはほとんど非の打ち所がない感想になってしまった。これだけの具材が入っても、値段は高くなく、第1位の同じニチレイの商品よりも、脂質が少なく、エネルギーも少ない。

 今回の食べ比べ、記者なら、(表2)の下2つ、第10位の『テーブルマーク 焼めし 600G』か、第3位の『ニチレイ 具材たっぷり五目炒飯 500G』をお薦めしたい。自分で食べるなら、第3位の方かもしれない。というわけで、今回は、食塩相当量と脂質に注目した食べ比べを行った。(写真・文/渡辺 穣)

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渡辺 穣

複数の雑誌のデスク・編集長等を経てフリーライター/エディター。主にビジネス/経済系の著書・記事多数。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年以上。趣味は、スキー、ゴルフ、ピアノ、焚き火、ドライブ。山と海と酒とモーツァルトを愛する。札幌生まれ。

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