[第49回]PBが多数派で、NB(ナショナルブランド)が少ない「冷凍枝豆」売り場!注目すべきは北海道の『JA中札内村』。茶豆や大粒のタイ産もお好みでお試しを!

 梅雨が明けたとたんに酷暑が始まった。この季節、冷えたビールを“家飲み”するとき、絶対に欠かせないアイテム。ほどよく塩味の利いた枝豆である。というわけで、今回のテーマは「冷凍枝豆」。いつものようにランキングをチェックし、7商品だけ食べ比べもしてみた。自分のお気に入りを見つけるための参考にしてもらいたい。

 前々回の第47回では「冷凍パスタ」を取り上げた。それは数多くある「冷凍総菜」の中で「冷凍パスタ」が販売シェアのトップだったからだ。ならば、今回は「冷凍素材」の中の販売シェアトップでいきたい。そう思い調べてみると、それが「冷凍枝豆」だったのだ。 
 データは、2020年7月~2021年6月の1年間に、日本経済新聞社が全国のスーパーから独自に収集したPOSデータを使用。『日経POS情報POS EYES』を使って、そのデータを大分類「冷凍素材」で検索し、小分類別に出力すると、販売シェア第1位は「冷凍枝豆」でシェア16.5%、以下「その他冷凍野菜素材」の16.2%、「冷凍畜肉素材」の11.7%、「冷凍シーフードミックス」の10.7%と僅差で続き、最下位の第20位が「冷凍イカ」の0.1%という結果だった。

店によって、置いている商品がバラバラ!
      ナショナルブランドがない店も珍しくない!

 そこで、今度は同じデータを使用し「冷凍枝豆」で検索、商品別の販売金額ランキングをまとめたのが下の(表1)である。
 金額シェアの大きい順に順位を決め、シェアが同値の商品は、表には記載してないが「千人当り金額」の多い順にし、それも同値のときは同順位とする。その結果(表1)では、第10位の商品が2つとなった。

 毎回、このようなランキング表を作成し見慣れてくると、今回の表には「嫌な予感」を感じてしまう。「金額シェア」と「カバー率」の数値が、どちらも小さく分散しているからだ。特に「カバー率」。10%を超えている商品は第2位と第4位の日本水産株式会社(東京・港区、以下日水)商品の2つだけで、あとは全部1ケタ台という有様である。つまり、10店に1店も商品が陳列されてないということ。これではあちこちのスーパーを駆けずり回っても、商品の入手が極めて困難をきたすのだ。
 記者は2000年に、それまで長く暮らした東京・世田谷区を離れ、八ヶ岳山麓で山暮らしを始めた。東京ならまだしも、こんな田舎では広いエリアにクルマを走らせて10軒のスーパーを回っても、なかなか都会のようには商品は揃わない。「嫌な予感」は的中し、やはり今回は商品入手がかなり厳しかった。なぜか(表1)の上位の奇数順位である第1位、第3位、第5位、第7位という株式会社ニチレイフーズ(東京・中央区、以下ニチレイ)の商品がなんと1つも見つからないのである。それだけでなく、第13位も、第16位も、とにかくニチレイの商品が1つも入手できないのだ。しかも実はそれだけでなく、表内の「富士通商」、「中札内村農協」も「マルハニチロ」のどの商品も見つけることができず、結局買えたのは「日水」と「全農協連」だけだったのだ。
 ちなみに、今回のランキングをメーカー別に見ると、実は第1位は「自社開発商品(PB)」で、第2位以下にニチレイ、日水、マルハニチロ株式会社(東京・江東区、以下マルハニチロ)と続く『日経POS情報POS EYES』では、PB商品の内訳は表示できないので、どのPB商品が人気が高いのかはわからないが、いずれにせよ、数多くあるPB商品がまとまってシェア1位となっているということは、そこでもまたシェアが細かく分散されているということになる。実際のところ、極端に言えば、今回は足を運ぶスーパーによって、置いてある「冷凍枝豆」がすべて異なるような、そんな状況だったのだ。

今回購入したナショナルブランド3商品。手前が第2位、奥の左が第6位、奥の右が第8位。この3商品は、多くの店に陳列されていた。

NB、PB、7商品を食べ比べしてみた!

 そこで、今回は、シェア第1位であるPB商品たちに注目し、わずかに入手できたナショナルブランド(NB)商品と一緒に、計7商品の「冷凍枝豆」を食べ比べしてみた。入手したナショナルブランドの「冷凍枝豆」は、(表1)の第2位、第6位、第8位の3商品(上写真)。やはり「カバー率」が示すとおり、第2位と第4位の10%台の商品だけは、ほぼどの店舗にも置いてあった。しかもこの2商品は、同一商品のサイズ違いである。なので第2位のタイ産の枝豆を買い、第6位は同じ日水の商品だが、豆の種類が「茶豆」で、かつ台湾製だったので、こちらも購入。さらに第8位全農協連の商品は、北海道十勝産の豆だったので、これも比較のために購入したのである。

おなじみのPB3商品。手前がイオンの『トップバリュ』、奥の左が西友の『みなさまのお墨付き』、奥の右が株式会社シージーシージャパンの『CGC』、さらに今回は飛び入りで下の商品を購入。

 この3つのナショナルブランド商品に対し、PB商品で購入した商品は、イオンの『トップバリュ』、西友の『みなさまのお墨付き』、シージーシージャパンの『CGC』、そして1つ変わり種として、富士貿易株式会社(横浜市中区)が輸入する『みんなまめ』の4種類である(上の写真2枚)。この『みんなまめ』は、富士貿易の関わり方がはっきりとはわからなかったのと、(表1)には登場しない商品なので、とりあえず今回は「PB」として扱うことにした。

 ところで枝豆の味を決める1つの要素に「塩味」がある。(表1)の20商品の商品名に「塩」の文字が入っていない商品は、わずか4商品しかないことからも、そのことはうかがえるだろう。そこで、(表2)では、内容量100g当り、どれだけの塩を使用しているかを「100gあり食塩相当量」として表示した。
 また7商品の「豆の産地」を見ると、タイが3商品、北海道十勝が2商品、台湾と宮崎県が1商品ずつである。この原産地の違いが味に違いをもたらしているのかどうか、それも食べ比べのポイントである。そしてコスパを見るために、「100g当たり平均価格」も算出し表示した。ただ、PBの4商品は日経のPOSデータからは平均価格を拾えないので、今回実際に購入した金額をもとに算出した。

食べ比べした7商品のサヤの写真。「自然解凍」した状態で撮影した。トップバリュのサヤが、少しポソポソして生気がないのが気になった。

注目したい北海道の『JA中札内村』

 さて実際に食べ比べてみた個人的感想も、(表2)の右欄に簡潔にまとめたが、実際に食べてみて、今回一番注目したいのが、北海道の十勝地方にある中札内村(なかさつないむら)の農業協同組合=「JA中札内村」だ。実は(表2)の7商品のうち、「豆の産地」が北海道十勝である2商品の製造者は、どちらもこの「JA中札内村」で、しかもこの2商品が、食べ比べた結果、最も美味しかったからである。いつものことだが、あくまでも個人的感想であることは、お断りしておきたい。ただ少しでも客観性を持たせるために、数人の友人に何も言わずに食べてもらったところ、全員がこの「JA中札内村製造の枝豆が美味しい」と答えたのには驚いた。

JA中札内村のHP。トップページがこれである。えだ豆にどれだけ自信を持ち、注力しているかがうかがえる。実際、JA中札内村が製造する2商品はどちらも美味しかった。

 まず、この2商品は、豆の粒は決して大粒ではない(下写真参照。右の緑の線内が北海道十勝産の豆)が、中身が詰まった歯応えのある豆で、しかも味にクセがなく、スッと食べられる美味しさを持っている。またこの2商品、(表2)を見てもらうとわかるように、「100g当り食塩相当量」が少ないのである。それでいて適度な塩味はしっかりと感じられる。どちらも価格は高めだが、このJA中札内村が製造する2商品は今回のイチオシである。ちなみに、(表1)をもう一度見てもらうと、第14位に、PBではなくJA中札内村ブランドの冷凍枝豆もランクインしている。今回、こちらを入手できなかったが、おそらくこれも同じように、しっかりとした歯応えのある豆だろうと想像できる。

 豆の産地での比較で言うと、タイ産の3商品は、どれも豆が大きいのが特長(下写真参照。真ん中の紫の線内の3商品がタイ産の豆)だった。これがすべてのタイ産の豆の特長かどうかは断言できないが、少なくともこの3商品のタイ産豆は、いずれも同様に大きく、立派な豆だった。なかでも最も大粒だったのは『みんなまめ』。大きくて、しかもどこか素朴な懐かしいような味わいは好感が持てた。CGCのPB商品は、やや塩味にムラがあって、しょっぱい豆もあれば、ほとんど塩味のしない豆もありで気になった。ランキング第2位の『日水 塩あじえだ豆』もタイ産の大きな豆で、特別な特長もなかったが、コスパが最も良く、これが第2位にランクインのはうなずける。大きな豆を豪快に食べたい人には、これらタイ産の枝豆がおすすめである。

サヤから取り出した、それぞれの豆粒。中央の紫のラインの中はタイ産の豆。右の緑色のラインの中は、北海道十勝産の豆。残り左の、日水の茶豆は台湾産、トップバリュの豆は宮崎県産である。

 7商品の中で唯一の台湾産で、枝豆の種類も「茶豆」を使用しているのが、ランキング第6位の『日水 塩あじ茶豆』だったが、茶豆独特の味の濃さと甘さが感じられて、何となく「昭和の枝豆の味」という感覚がよみがえった。茶豆は、枝豆と同じく枝豆用大豆の1種だが、薄皮が茶色いことから、こう呼ばれている。味や香りには独特のものがあり、好きな人はやめられなくなる。まだ食べてない人は、ぜひ試してみてはいかがだろう。
 最後にイオンの『トップバリュ』の商品だが、(表2)を見てもわかるとおり、圧倒的に食塩相当量が少ない。そのためか、塩味が薄く、どことなく豆の青臭さが感じられた。またサヤを写した3枚上の写真でわかるかもしれないが、豆自体がやや生気が足りないように見えた。個体差かもしれないし、あるいはこの商品名にある『減の恵み』という、農薬や化学肥料を極力使わない環境に配慮した栽培方法の影響かもしれないが、この1品を食べただけで結論を急ぐことは無謀というもの。塩味は、自分で調整すればいいことだし、それが最初から多く入ってないのは歓迎すべきこと。豆は生育の個体差を感じたが、自分で枝豆を栽培すると、この商品のように生育の個体差ができることは記者は経験的に知っている。そういう意味では、この『トップバリュ』商品は、最も自然に近い感じで好印象である。

 今度スーパーで「冷凍枝豆」を選ぶ際には、豆の産地や茶豆、枝豆の別、食塩相当量の多寡などを見れば、これまでとはひと味違う見方ができるかもしれない。あなたのお気に入りは、どの「冷凍枝豆」だろうか。(写真・文/渡辺 穣)

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記者

渡辺 穣

複数の雑誌のデスク・編集長等を経てフリーライター/エディター。主にビジネス/経済系の著書・記事多数。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年以上。趣味は、スキー、ゴルフ、ピアノ、焚き火、ドライブ。山と海と酒とモーツァルトを愛する。札幌生まれ。

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