うちのマンション/アパートにも『宅配ボックス』つけてほしい人必見! 最新の『宅配ボックス』事情とは?

留守中でも荷物を受け取れる『宅配ボックス』。はやくウチにも設置してほしい! そう思っている人も少なくないはず。そこで今回はどうすれば設置できるのか、実際いくらの費用がかかるのかなど、大手宅配ボックスメーカーの都内ショールームを取材した。

 

新築分譲マンションなら、ほぼ100パーセント導入されている『宅配ボックス』

 

「ガイアの夜明けで特集されて以降、問い合わせは10倍に増えました」

 

そう語るのは、株式会社ナスタ(東京都港区)広報室部長の平山浩哉さん。ナスタは宅配ボックス含む集合郵便受箱を主力製品の1つとして製造販売する、住宅機器メーカーだ。

2017年2月21日、テレビ東京系「ガイアの夜明け」は宅配業者の過重労働問題を扱った。その問題の核心は何と言っても不在時の”再配達”。宅配ボックスは住人の利便性だけでなく、宅配業者の負担軽減にも大きく寄与するアイテムだ。この4月からは、駅やコンビニへの設置が対象だが国の補助金(助成金)制度もはじまっており、『宅配ボックス』はいま、社会的な注目を集めている。

「新築分譲マンションにはほぼ100%導入されていますが、集合住宅全体を見ると、都市部でもまだ20%程度の導入率です」

 

Amazonなどネット通販の拡大は今後も続くはず。宅配ボックスの需要もまた同じ。設置してほしい住人にとっても、いま追い風の状況だ。

 

 

およそ30年前に生まれた『宅配ボックス』、現在主要メーカーは4~5社

 

宅配ボックスのメーカーは、ナスタ含め4~5社、代表的な企業があるという。

 

「いまから32年前、1985年に世界初の『宅配ボックス』を商品化したのが株式会社フルタイムシステムさんです。業界のパイオニアであり、シェアもNo.1です」

 

「フルタイムシステム」の宅配ボックスはコンピューター式で、堅牢かつセンター接続による遠隔管理が可能な反面、設置費用が高額になってしまうのが特徴。ナスタ含むその他メーカーは、既存の集合住宅に電気工事不要で”後付け”しやすく、また安価なラインナップで勝負している。デザイン性の高さで知られる「株式会社プロボックス」、ステンレスメーカーとして半世紀の歴史を誇る「田島メタルワーク株式会社」、戸建て向けの宅配ボックスを新発売したばかりの「パナソニック(パナホーム)」など。

 

コンピューターを使わないボックスは雨にも強く、屋外を含む、設置の自由度が魅力だ。

 

「雨どいやスノコ床などを備えた、防滴型宅配ボックスが人気です。玄関ホールが狭くて、外に設置せざるをえないアパートも多いですから」

 

施錠は、電源不用のワンタイムパスワード方式を採用。

宅配業者が荷物を入れる時に暗証番号を設定。その番号が記載された不在票をポストに投函。住人は番号を宅配ボックスに入力することによって開錠する仕組み。

 

 

いちばん気になる『宅配ボックス』の価格と、設置費用は?

さて、気になる費用について。ざっくり言ってその価格は1ボックスにつき4〜5万円程度。そこに設置工事費用がプラスされる。

たとえば8世帯のアパートに宅配ボックス4つを設置する場合だと、計25万円くらい(4万円×4ボックス + 工事費用10万円程度)。これは今ある集合ポストの下にポンと後付けする場合で、もっとも安く済むパターンだ。

空きスペースがない場合など、ポストごと交換だとそのぶん高くなる。ポストと宅配ボックス一体型”ユニット”への総入れ替えで、計50〜60万円くらい(8世帯用ユニット40万円 + 工事費用10~20万円程度)

 

「およそそのような価格帯になると思います。しかし物件ごとに設置数や取り付け方法が異なりますので、一律価格にはなりません。正確なところは建築工事店さんの見積もりをとってください」

 

なお設置するボックスの目安個数は、居住世帯数の1/3〜1/2程度だそう。

 

 

では、自分のマンション/アパートに『宅配ボックス』を設置する方法は?

 

では実際に『宅配ボックス』を自分が住むマンション/アパートに設置してほしいと考えたとき、どんなアクションをとるのが有効なのだろうか?

 

「賃貸マンション/アパートの場合は、やはり大家さんとの交渉ですね。休日含めて不在が多いので、いま話題の『宅配ボックス』を設置してほしいと。マンションの人気設備第2位ですよ! とお願いしてみてはどうでしょうか? 大家さんとしても引っ越しされたら困るので、願いを聞き入れてくれると思うのですが……(笑)」」

 

※フリーペーパー「SUUMO 新築マンション首都圏版」2017.6.20号より

 

交渉はすでに満室続きで空室が出にくい人気のマンションだと難しいかもしれないが、たいていの大家さんは入居者の利便性や建物の付加価値を上げたいと常に考えているので、可能性は十分あるという平山さん。たとえば家賃8万円のアパートで3ヵ月の空室が出ていたら、それだけで大家さんは24万円の機会損失を被っている。「もし宅配ボックスがあれば、入居率が上がったかな?」と大家さんが考えてくれれば……勝ち目はある。今は物件検索サイトでも宅配ボックスの有無をチェックできるようになっており、実際に入居率への影響は小さくないだろう。

「分譲マンションにお住まいの方なら、管理組合の総会で議案に出すことになるでしょう。ただ分譲マンションの場合ですと、ボックスだけ付け足されることはまれで、十数年に一度の大規模修繕で玄関ホールをまるごとリフォームされるケースが大多数です。その際にポストを新しいものに交換して宅配ボックスを追加、あるいはポスト一体型に入れ替えといった形ですね」

 

見積もりは最寄りの建築工事店に相談するか、ナスタの場合は、本社リフォーム課でも対応可能だそうだ。

 

 

まとめ:『宅配ボックス』あって当たり前の時代は、すぐそこ!?

 

20年前までは、ナスタ内で販売不振だったという宅配ボックス。それが今や主力製品の一つになったそう。宅配ボックス利用者の声として、待つストレスからの解放、そして配達員と対面するストレスからの解放があげられるという平山さん。とくに女性はメイクや服装の問題がありすぐに出られないことも多いため、とても喜ばれているという。

 

 

世間の風潮もあり、再配達を頼むこと自体がストレスだったりする昨今。まだ自宅マンション/アパートに設置されていないなら、賃貸の場合は大家さんに、分譲の場合は総会の議題として、まずは伝えてみよう。ぜひこの記事を参考資料として頂き、読者諸氏にはより豊かなライフスタイルを実現されたい。

 

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記者

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清水 りょういち

食レポからタバコ・コーヒーなどの体に悪い系、果てはIT、経済分野までフォローする新しもの好きライター。「わかりにくいをわかりやすく」がモットー。元「月刊歌謡曲/ゲッカヨ」編集長

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photo by 尹 哲郎

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