『デジタルメモ ポメラDM200』ひたすら文章にこだわりたい人のためのストイックなテキスト入力特化機!

折りたたんで胸ポケットにしまい、必要な時に取り出してフルキーボードでメモをとるという用途で2008年に登場した「ポメラ」。ところが今回の『デジタルメモ ポメラDM200』ではATOK搭載でメモどころか長文入力に対応した機能を充実させてきた。ひたすら文章を打ち込みたい人にとっては実に魅力的な現代のワープロマシンである。

ひたすらテキストを集中して入力するためだけのミニマリズム志向マシンで原点に回帰せよ!

今どき、インターネットにもつながらない、メールもできない。可能なのはテキストをひたすら打ち込むこと。いわば一昔前のワープロのようなストイックな佇まい、それがキングジム『デジタルメモ ポメラDM200』(約580g・希望小売価格 税抜49,800円・2016年10月21日発売)だ。それなのになぜかワクワクする。

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ともすると写真やイラストを入れて、文字の色やフォントを変えて、文章を装飾したくなる。全てを文だけで表現するのは大変だから、慣れてしまうとそれが当然になる。そのうち文章なんてキャプション(写真の説明文)だけでいいんじゃないかとさえ。

 

ただこれはやはり落とし穴。文章だけでもしっかり成り立つように全体を構成し、その上で写真などで補うのが本道だ。それに¥インターネットと言っても、基本は文章記事の集合体である。メールにしてもLINEにしても中心はテキスト。以前ブームを呼んだLINEスタンプも、若い世代では使われなくなり、結局テキストでやり取りをしているという現実もある。

 

なので人々が本を読まなくなった時代ではあるけれど、歴史上最高に文字を読んでいるのが現代なのだ。従っていくらマルチメディア全盛の時代でも実は文章力は必要なのだ。

 

度重なる通知に集中力を削がれないから、ストイックに文章作りに打ち込める!

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そして文章を書くにあたって必要なのは集中できる環境。記者は普段ノートPCで仕事をすることが多いが、ご親切なことに画面片隅からメールが来た、SNSでの連絡、明日の予定がどうのなど通知がしょっちゅうポップアップされて目に入る。その度集中は途切れる。

 

そしてどこまで書いたんだっけ、と元に戻るまで時間がかかる。これは実は非常に非効率。1時間で終わる仕事が2時間になってしまうこともざらだ。

 

その点この『ポメラ』は潔いことにメール機能さえないので、ひたすら集中執筆をすることが可能になる。装飾もする余地のない無味乾燥な画面。基本的にモノクロ液晶のワープロなので余計なことを考えずに仕事に集中することができる。

 

文書作成のための機能はシンプルながら必要十分なレベル!

最初に箱から出して驚いたのは、その重さ。モノクロ液晶のワープロ機というイメージがあったのだが、それだけの機能なのに600g近くある。手に持つとずっしり。剛性も充分なのだがかなり無骨な印象。

7.0インチTFT液晶は非常に見やすく、きれい。ふだんは電源をオンにしておいてフタを閉じてスリープ状態で使用するのだが、2〜3秒で起動する。一拍待たされるが許容範囲か。

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充電はmicroUSB経由で。約5時間の充電で約18時間の使用が可能というから頼もしい。以前は乾電池駆動が「ポメラ」の特徴だったが、日本語入力の性能を高めるためにジャストシステムの日本を代表する日本語入力システム「ATOK」を充分に動かすために切り替わったそう。

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ATOK搭載でうれしいのは、その変換能力の高さとともに話し言葉優先モード(それも日本各地に合わせることも可能)があることと、日本語を英語にできたり、カタカナ英語や人名辞書、流行語系も楽々入力できるトレンド辞書も備えているところ。ここら辺は入力ロスにもろに関わってくるところなので、非常にうれしいはず。芸能人などの名前も普通に変換できる。

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表示はあっさり、ゴシックか明朝を選ぶだけ。ただそのフォントが雑誌などでデファクトスタンダードとなっているモリサワフォントを採用しているところが心憎い。さらに漢字にこだわりたい人に朗報なのが、Unicode(UTF-8)に対応しているのでJIS第3・第4水準の漢字も使用可能というところか。

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サイズは変更できるし、縦書き表示・原稿用紙表示にも対応しているのも気が利いている。

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また画面を分割して文書を比較しながら入力できるのも、推敲作業などには便利なはず。

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またわからない語句が出てきても「角川類語新辞典.S」「明鏡国語辞典 MX」「ジーニアス英和辞典 MX」「ジーニアス和英辞典 MX」という4つの辞書を参照できるので、通常は問題ないだろう。

 

何よりうれしい質実剛健なキーボードタッチ。気持ちのいいクリック感で入力がはかどる!

この『デジタルメモ ポメラDM200』で、何よりも魅力的だったのは、キーボード。結構重いだけあって、剛性感が半端ない。たわみなどとは無縁のがっちり感。それでいて浅めではあるが、程よくキーストロークも確保していて、クリック感が気持ちいい。近年はともすると薄くてペタペタ感のキーボードが大流行りだが、これはしっかりと衝撃吸収インソールのように沈み込む感覚がある。キーピッチも17mmと広く、各キーが離れているのでミスタッチも起こりにくい。

 

とにかく使っていて快感。質の良いキーボードは、使うこと自体が楽しくて仕方なくなるものだが、『デジタルメモ ポメラDM200』はまさにそう。記者の仕事スタイルではPDFやWebを参照しながらの執筆が多いので現実的ではないのだが、このキーボードは欲しくなった。一応タブレットやiPhoneなどにBluetoothキーボードとして認識させることも可能なのだが、ただそれだと随分重いワイヤレスキーボードとなってしまうので、何とも…。