冷蔵庫2015年モデル検証シリーズ④〜東芝 FMシリーズ・華紬『GR-J610FM』王道保守の裏に職人技術 編!

冷却器2つだからできること〜基本機能の圧倒的充実

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単純に考えれば冷却器が2つなら電気代は×2となりそうなものだ。しかしこれもエアコンで例えるとわかりやすい。近年省エネの基本として急速に普及したのが、冷やす時に電力をたくさん使うものなので適温でつけっぱなしの方がむしろ省エネ(電気代が安い)という節約マジックのようなものである。

 

また普段冷凍庫を使っていると、何もしていないのに製氷室の氷や冷凍食品が「ちょい溶け」してしまうことがある。そしてそのちょい解凍されたものが、再び凍結する。これが氷同士がくっついたり、ミンチ肉に霜が着く原因だ。ではなぜちょい溶けするくらい冷凍後・製氷室内の温度が上がるのか。

 

昔の冷蔵庫だと、マイナスドライバー等でガリガリと氷を削った霜取り作業。いまどきの冷蔵庫はどれもそんな必要はなく自動で解消してくれるのだが、実はその方法を聞いて驚いた。何と1日に数回、ヒーターで温めて冷却器の氷を溶かしているというのだ。冷蔵庫の中でヒーターが活躍していたとは…。

 

つまりそれこそが「ちょい溶け」の原因であり、氷のくっつきやミンチ肉の霜付きを生み出していたのである。そこを東芝は、霜取り時の温度上昇を見越して、事前に温度を下げることによって-18℃以下をキープ、”ちょい溶け”を防ぐことに成功した。名付けて「プレクール」。目立たない機能だが、実に素晴らしい機能である。

 

高齢者の使用時に役立つ力要らずの冷蔵室・電動オープン

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軽くタッチするだけで開く電動ドアを採用しているのは東芝と、ほかには日立だけ。ところがこれ「冷蔵庫の扉くらい手で開ければいい」と思ってはいても、いったん慣れてしまうと元には戻れない便利さがある。

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例えばハンバーグのタネをこねながらポンと肘で冷蔵室を開けて、生卵を取り出す……という使い方ができる。とにかく手が何本あっても足りない状態に陥りがちなキッチン作業。慣れてしまうともう触ってもノーリアクションな冷蔵庫は腹立たしく感じてしまうはずだ。

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もちろん電動を駆使するということは体力の衰えた年配の方にとっても大きなバリューになることは間違いない。なお、同じ電動扉でも日立とは扉のオープン速度がまったく違うのが面白い。日立はゆったりと、東芝の電動扉は触れてすぐ開くスピード感が特徴だ。ちなみに東芝の電動扉は一番上の冷蔵室のみ。野菜室と冷凍室の引き出しは手動な点はお忘れなく。

 

 さらに次ページでは東芝があえて流行の”パーシャル”を選択しなかった理由にも迫ってみる。