冷蔵庫2015年モデルの検証シリーズ③〜パナソニック『NR-F611WPV』で優雅なキッチンを実現編!

冷蔵庫という家電は、日常生活で一番開閉する家電。そのため重い、引き出しにくいというのは大きなデメリットとなる。中でも問題なのは奥の食材が隠れて視界に入らなくなること。その点についてパナソニックが出した回答は、引き出しレールへの高耐荷重ベアリングの採用による100%全開だった。

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おかげで室内の奥の隅々まで見渡せて、広さのインパクトが増す。パナソニックはこれらの機構を総合して“ワンダフルオープン”と名付けた。さらにレールの位置を変更することで、通常逆台形の庫内スペースを真四角に、きっちり隅まで使えるようにしている。そうした細かな工夫も含めて収納容量を増しているのだ。単に収納量が多いだけでなく、しっかり見え、届く使いやすい冷蔵庫。まさにパナソニックの冷蔵庫哲学であり、それを表す機能が“ワンダフルオープン”や”トップユニット方式”なのである。

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広くスッキリして見える“ワンダフルオープン”だが、こうした見た目の美しさだけでなく、ケースを外して丸洗いしやすいという実用上の利点もある。とかく汚れがちな野菜室だが、126Lのそれをガバッと外して浴室などに持ち込んで丸洗いできるというのは、清潔好きな人にとっては大きな魅力ではないだろうか。

他社がベアリング式レールを採用しない理由は、おそらくコスト面。一般的なローラー式と比べ、ベアリング式は桁違いに部品コストが上がる。東芝もかつてベアリング式を採用していたが、2014年モデルから廃止。現状、日立が今年から野菜室のみに採用した程度にとどまっている。

パナソニックでは2004年モデルから一貫して野菜室と冷凍室にベアリング式を採用しており、まさにこだわりの機構。要であるレールは1つずつ丁寧に内製されている。これらの特徴はすべて、型落ちとなる2014年の400リットル以上のモデルでも満たされている。

また、冷蔵庫シーンでもう一つの潮流である「電動オープン」が採用されていないのに気がついた人もいるだろう。パナソニックとしては身長の低い子どもに対する安全配慮の観点から電動オープンを見送ったそう。それはそれでメーカーのポリシーを感じるところ。

 

肉・魚の鮮度を維持する「微凍結パーシャル」が「酸化ブロック冷却」でさらに進化!

西島秀俊の出演するCMでもおなじみ、”肉や魚の鮮度と美味しさを約1週間も保てる”と話題なのが「微凍結パーシャル」であり、パナソニック製冷蔵庫の大きなウリだ。ただ冷凍と何が違うのか、はっきりわかる人はあまりいないのではないか。

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まずは基礎知識としてチルドとパーシャル(微凍結)の違いについて説明しよう。通常の冷蔵室内は4℃前後で、肉や魚を入れておく小部屋=チルド室は0〜2℃と低めの温度設定になっている。チルドであれば通常3日程度の保存期間を4日くらいに伸ばすことができるという感覚だ。

一方パーシャルは、チルドよりもさらに低い温度帯、0℃以下の-3℃〜-1℃をキープして“若干凍っている”状態を作ることを指す。すると保存期間が劇的に伸びて、通常3日程度の保存期間が7日程度まで鮮度保持できるのだ。

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ただ一般的には、パーシャルはチルドよりも食材を長持ちさせられる一方で、味についてはやっぱりチルドの方が上……と思われているのではないか。しかしパナソニックは独自技術で、チルドよりも美味しい状態を生み出すことに成功したという。

酸化ブロック冷却と名付けられたその技術は、新たに食品の酸化に注目。食材の表面を一気に冷やし、先に表面を凍結させることによって、酸素が食品内に入るのを防ぎ食品の酸化を抑えておいしさを保つという発想だ。例えるなら、ステーキの表面を強火で焼いて肉汁をとじこめる……というアレである。

 

パーシャル自体は以前からある機能だが、一気に冷やして表面から微凍結させるこの「酸化ブロック冷却」は今回の2015年モデルからの目玉機能。食材表面の微凍結が始まるまでの時間でいうと、2014年モデルで約80分程度かかっていたところ、2015年モデルではわずか20分で実現と、大幅短縮に成功している。

 

パーシャルの真価は保存力? いや調理面のアドバンテージも見逃せない!

実際のところ、チルドと比べて美味しいかどうか? それが気になるところだが、味覚については極めて主観的な判断になるものだから、ここで言及するのは避けよう。ただ、パーシャルがチルドに比べて間違いなく勝っている点がある。それは食材がとても扱いやすくなることだ。

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