「機能性表示食品」まとめ〜マルハニチロ『さば水煮』が缶詰初の機能性表示食品に!

だっての2015年10月にマルハニチロの定番缶詰『さば水煮』(190g・希望小売価格 税抜200円・発売中※写真右のラベルは来春発売予定のイメージ)が缶詰初の機能性表示食品(きのうせい ひょうじ しょくひん)として受理されたことがニュースになった。ただ正直”機能性表示”と言われても「健康に良いんだろうな」くらいの感想しか持てないのではないだろうか。

 

さらにトクホとの違いを認識している人は、石を投げても当たらない程度の人しかいないのでは? そこで今回はわかりにくい上に、トクホと混同されやすい機能性表示食品についてまとめてみることにする。

審査が必要なトクホ、審査のいらない”機能性表示”

審査が必要なトクホ、審査のいらない”機能性表示”。ざっくり言ってしまうとそういうことになる。特定保健用食品=トクホは飲料中心にペットボトルのお茶やコーヒー、コーラ、ノンアルコールビールにまで存在する、消費者庁長官=国のお墨付きを得た”体にいい”食品。だったら全部トクホでいいのではないかということになりそうなものだが、そうはいかないわけがある。

 

というのも、トクホには国が安全性と機能性の審査をすることによってトクホの資格が得られ、あの手足を伸ばした人シルエットのロゴとともにパッケージに入れることができるのだが、それを実現するためには大変な費用と時間がかかるのである。 通常の商品開発に加えてヒト相手の試験なども実施しなくてはならず、その金額は数千万円かかることも珍しくない。

 

さらには、開発を開始してから販売に到達するために通常2年以上かかるというから、トクホ商品を販売するということは大きな壁の上に鉄条網がかかっているほど困難な道のり。中小企業にとってはこれで商品が売れなかったら会社が傾くほどの巨大プロジェクトになってしまうのである。

 

そうした背景でもう少し簡単に食品の機能を表示できないものかと編み出されたのが、今年4月から始まった「機能性表示食品制度」。安全性・機能性について科学的な裏付けのある論文とともに消費者庁長官に届け出れば審査なしで表示が可能となる。

 

現在のところ、「機能性表示食品」にはロゴもなく、届出番号が支給されるだけというシンプルなものであるが、食品に「おなかの脂肪を減らすのを助ける」「目の調子を整える」などの機能性が表示でき、さらにコストや時間もあまりかからないということで熱い視線を浴びているのである。

 

つまり大ヒット曲「おさかな天国」の歌詞のように”魚を食べると頭が良くなる”という旨のことを食品のパッケージにうたうことはできなかったのがこれまで。今後は科学的な根拠さえあれば、書いても良いのだ。

 

機能性表示食品になったからといって中身が変わるわけではない

従来のあらゆる缶詰食品はもちろんのこと、世間で流通している「栄養補助食品」や「健康補助食品」などのサプリメント、「栄養調整食品」と書いてあるものもすべて「一般食品」というカテゴリーに区分けされ、機能性の表示が一切禁止されている。 IMG_5556

マルハニチロの機能性表示を受理された初めての缶詰『さば水煮』に関しても「DHAのチカラ」のような文言は以前から表示されていた。しかしDHAが具体的にどんな影響を及ぼすかについては触れられないというのが「一般食品」カテゴリーの定め。知っている人はわかるが、知らない人にとってはDHAにどんなチカラがあるのか、自力で調べるしかなかった。

 

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それが今回『さば水煮』は中身を何も変えることなく、DHA(およびEPA)が持つ機能性について申請。これによって「一般食品」から「機能性表示食品」にカテゴリー・チェンジを行うのだ。

 

これまで一般食品として販売されていたものでも、申請して消費者庁が受理すると、機能性表示食品になれるのである。つまりパッケージの変更というのが実は最大の肝なのだ。

 

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ともかく、スーパー店頭で調べることなく機能性がわかるというのは便利。熱心な健康マニアならこの成分は○○に効くんだよなとサラッとわかるかもしれないが、だいたいはうろ覚えが普通。なので消費者にとっては健康に良い影響を与える成分の食品をもっと手軽に入手できることになる。

 

今回紹介しているのは缶詰の『さば水煮』だが、すごいのは生鮮食品でも機能性表示食品をうたうことができるようになったということ。つまり機能性表示食品の野菜や肉類もアリなのだ。

 

申請が通れば、目の調子を整えるカボチャとか肌を保湿できるイワシが登場する可能性もある。ただしアルコール含有飲料や脂質、コレステロール、糖類、ナトリウムの過剰摂取につながるようなものは不可。常識的に考えれば当たり前のことだが。

 

機能性表示の中身を知る!

 

では具体的にどのような届出を出して機能性表示食品となるのか。マルハニチロの缶詰『さば水煮』を例にとって見てみよう。

 

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