【スパークリング日本酒3種】違いは? 人気の『澪』『うたかた』『すず音』を比較! どれが一番美味しい?

成分を比べてみる

では続いて、3種類の原材料やアルコール度数などを比較していこう。まず初めてに伝えておくと、3種類ともすべてアルコール分は5%である。というより、市場に出ているスパークリング日本酒はほとんどがアルコール分5%。日本酒と比べるとアルコールは控えめなことがスパークリングの共通点である。ビールがおよそ7%程度なので、スパークリング日本酒は飲みやすいといえる。

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まずは『澪』の原材料をチェック。ジャンルは清酒(発泡性)で、国産の米と米麹からできている。(清酒は日本酒の一種で、米と米麴で醸造したもろみを濾した、濁りのないお酒のこと。)しかも、糖類・酸味料不使用。カロリーは非公表だが、女性向け商品らしい気遣いを感じる。

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続いて『うたかた』の原材料をチェック。ジャンルはリキュール(発泡性)と書かれている。リキュールとはスピリッツ(蒸溜酒)に果実や花などの香り付けをした混成酒のこと。ただし、糖類や香料と共に「清酒」とはっきり書かれているので、米と米麴は入っているらしい。気になるカロリーは1本あたり約222kcal(100mlあたり73kcal)。

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最後は『すず音』。澪と同じく、ジャンルは清酒(発泡性)で、国産の米と米麹からできている。気になるカロリーは、澪と同じく非公表。ここで注目は、すず音だけが「要冷蔵」だということ! ネット通販で購入する際も、クール便の扱いであった。気温や光の影響を受けやすいとてもデリケートなお酒なのだという。この点でもすず音は別格だ!

 

いよいよ、お味の比較!

それでは、いよいよ試飲して比較してみよう!
香りに関しては『すず音』が最も日本酒に近かったが、3種類とも日本酒の香りとは少々異なるように思えたのが正直なところ。味はどうだろうか?

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まずは『澪』をごくっと飲んでみた。日本酒の風味はややあるが、どちらかというとチューハイに近く、果実チューハイのような甘さがあり、フルーティーだ。ラベルを見ずに飲むと、カクテルかチューハイと思うかもしれない。炭酸もそれほどキツくないし、かなり飲みやすい! たとえ日本酒が苦手な人でも、これならいけるはず。大ヒットも納得である。食前酒として飲むのもよし、肉や魚料理とも相性が良さそうだ。

 

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続いては『うたかた』を飲んでみた。ごくっと飲んだ瞬間、炭酸のシュワシュワ感が強くて刺激的! 後味が日本酒風味の果実系サイダーといった印象。清酒ではなくリキュールに分類される『うたかた』だが、『澪』とまったく方向性が違うかといえば、そうではない。どちらも甘さは共通で、『うたかた』の方が炭酸が強めのドライ風な味付けだ。スッキリしている。これは濃い味の食事によく合い、すでに色々なお酒を飲んでいても飲みたくなる味だと思う。

 

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最後は『すず音』。ひと口飲んでみると、炭酸のやさしさに驚く。発泡が細かく繊細な印象で、飲み心地まろやか! 濁りのおかげか、上品で優しい味わいがする。日本酒特有のクセが抑えられているのは他の2種と共通。最後にふわっとフルーティーな香り。これはシャンパンに近い。すず音は味も別格だった。日本酒とも違うが、缶チューハイやカクテルの延長線上の味では決してない。これは美味しい。

 

総評は?

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今回、3種類のスパークリング日本酒を試飲してまずわかったことは、どれも「日本酒仕立て」であり、従来の日本酒の味とは大きく違う、ということ。これは、日本酒特有のにおい等を敬遠しがちな女性をターゲットとしているのだから、大成功という意味である。「日本酒はどうしても苦手なんだよなあ……」という方にも、これなら安心しておすすめできる。女性向けの視点で考え抜かれたパッケージや瓶全体の「デザイン性」も含めて、ぜひ多くの方に楽しんでほしいと感じた! とにかく3商品とも「飲みやすさ」は抜群である。甘いだけのジュースでは物足りない、新しいチャレンジがしたいという女性にはかなりオススメである。

 

「味」で圧倒的に上質な印象を受けたのは『すず音』だ。ただし他の2商品と比べて価格は1.5倍だから当然とも言える。要冷蔵という面倒さも伴うし、メーカーのホームページによればキャップに記載の仕上日から1ヶ月以内が美味しく飲める期間だそうで、ちょっとした生鮮食品のような位置付けなのだ。そもそも全国のコンビニに流通させる商品とは、目指すところが違ったのだろう。

もちろん他の2商品も、間違いなく美味しい。『澪』はさすがのバランス感で優等生的。『うたかた』は強めの炭酸とドライさが特徴。これは好みで選べば良い。

 

「価格」の面では最初こそ高いと感じたが、美しいボトルを選んで、飲み終わるまでのトータルの体験で振り返ってみると、妥当性があるように思えた。むしろプチ贅沢気分を味わわせてくれる特別な1本として、印象に残りそうだ。

 

販売ルートについて、ここ数週間ショップの棚をチェックしてみたが、やはり断トツでよく見かけるのは『澪』。一方『うたかた』の姿は大型酒店でのみ確認できた。月桂冠としては、これから販路を広げたいところだろう。『すず音』に関しては、一ノ蔵の取扱店が限られているので、日本全国どこでも手に入るというわけではない。3種類ともインターネットでの購入は可能。3種類セットを取り扱うお店もあるので、これからの忘年会やパーティーシーズンにぜひチェックしてもらいたい。

 

ちなみに『うたかた』のボトルを花瓶にする件だが、なかなか可愛らしくて、記者は気に入っている。

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記者

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椿 景子

30代女性。年間1000点以上の菓子・ドリンク類を試食するスペシャリスト。兵庫県出身、マンション暮らし。

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