ノートが音声付データに!学研『エコー・スマートペン』 図も文字も音もデジタル管理で、広がる手書きの可能性

使い勝手のいいアプリケーションソフト

この『エコー・スマートペン』には、記録したデジタルデータをPCで活用するための、2つのアプリケーションソフトが付属している。どちらもネットでダウンロードして使えるようになっているが、そのために必要なIDカードが、パッケージには同梱されている。

 

そのアプリケーションソフトの1つ、「ライブスクライブ デスクトップ」をさっそくPCにインストールし、『エコー・スマートペン』をmicroUSBケーブルで接続すると、自動的にPCにデータが転送され、専用ノートの中身が、非常に見やすいサムネイルとして表示される。

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上の写真のように、現在使用中の専用ノート(100p)の中身が一目瞭然である。

例えば、サムネイルの1P目は、文字が緑色になっているが、2P目は黒で表示されている。これは、緑色の部分には、「録音された音声データがあること」を意味している。

この緑色の1P目のサムネイルをダブルクリックして表示を拡大させ、さらにノート内の文字をクリックすると、その部分に紐付けられた音声が再生される。その使い勝手は、ペンで専用ノート上の文字をタッチするのと同じで、非常にインターフェイスとして使いやすい。

また、ペンに作成されたデータは、すべて、この「ライブスクライブ デスクトップ」上で、検索にかけたり、共有したり、様々な操作が可能で、しかも操作がわかりやすい。シンプルだが、非常に使い勝手のいいソフトである。

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さらに、もう1つのアプリケーションソフトである日本語OCRソフト「マイスクリプト」をインストール。こちらは、手書きデータとして保存された文字データを、テキストファイルにしてくれるソフトである。

 

さっそく、さきの「ライブスクライブ デスクトップ」から「マイスクリプト」に、テキスト化するファイル(2ページ目のサムネイル)を送り、テキスト化を実行してみた結果が、上の写真である。

いかがだろうか。比較的乱暴に走り書きした文字なので、「化」→「イヒ」という読み違いもあるが、ほぼ完璧にテキスト化されたのには驚いた。ここまで正確にテキストにしてくれるのであれば、手書きの文字も、今後はテキストデータとして計算することができそうだ。

 

しかも有り難いのは、このノート内の手書きの文字で検索もかけることができるということ。それはつまり、ノートを取るときに、上手にキーワードを書き残すことができれば、そのキーワードに紐付けられた音声データを検索できるということを意味するのである。

こうして考えてみると、この『エコー・スマートペン』は、文字や図と音声をデジタルでリンク付けすることで、ノートやメモのあり方を一変させる力を持つ、ある意味「革命的」なツールであるともいえそうである。

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足りない“道具”としての洗練度

ここまで、この『エコー・スマートペン』の機能面での魅力を書いてきたが、ここからは、ちょっと視点を変えて、自分が手にする“道具”として、もっと言えば、自分が愛着を感じる文具として、このペンを見たときの記者の印象を書こうと思う。

 

まず、太軸の万年筆好きの記者から見ても、この『エコー・スマートペン』は太すぎる。ペンは太い方が手が疲れにくいが、このペンは、もはやペンというより、葉巻の太さである。ちょうど、コロナサイズのシガーと同じくらいの太さで、特に華奢な女性の手には、このペンはちょっと似合わない。

 

万年筆で一番太いと言われる、モンブランのマイスターシュテュック149よりも確実に太く、上の写真のように、記者が愛用するウォーターマンのルマン100と比べても、その寸胴な体型が見て取れる。

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それから、筆記具としてのボールペンの書き味が、いまいちなのも残念である。せめて、ボールペンの替え芯が、いろいろ選べて使えるようなら有り難いのだが、この替え芯のサイズは長さが57mmという、かなり小さめで汎用的でないのも辛い。

昨今は、かなり書き味のいいボールペンやインクが増えてきて、それにこだわるビジネスマンも多いのは事実。そんなときに、このレトロとでもいうべき、もっさりとした書き味のボールペンは減点要素として小さくない。

 

またペン先の奥にCCDカメラが備え付けられているために、ペン先が軸の中心より上に偏って付いていることに違和感を感じる人も少なくないかもしれないが、幸い記者は、万年筆使いなので、逆にこの偏ったペン先の位置は、万年筆ぽくて好きである。

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筆記具好きとして、とても納得できない部分の1つに、このボールペンのキャップがある。ペン先とカメラを守るために、必要最小限にちょこんと付けられた、このキャップ。小さくて、しかも滑るため、取り外しに握力が必要。しかもクリップもないし、どこかに装着できるわけでもない。ペンを使っている間に、紛失してしまいそうである。

 

4GBと8GBのラインナップには、このキャップがとりあえず2個ずつ付いているが、2GBの商品には、1つだけ。このキャップ、もっとどうにかならないものだろうか?せめてクリップを付けるか、ノック式にするか。個人的には、モンブランの149のような形状になれば、ずっと使いたい気持ちも強くなるのだが・・・。

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ペン本体で、少し細かな気になったことを記すと、録音の音に、どうしてもペンとノートの筆記音が大きめに入ってしまう。インタビュー用の筆記具として使用すると、再生音声の中に、常にガサガサと雑音が聞こえているのは、あまり気分のいいものではない。この点は、別売のマイク付き専用ヘッドセットを使用すれば、筆記音のないクリアな音が記録できるようである。

 

それから、ペン本体のことではないが、専用ノートの価格設定はやはり気になる。A5判のノート4冊で2,400円、A4判4冊だと3,000円(いずれも税別)。1冊あたりの価格600円~750円は、確かに機能系ノートとしては高価ではないのかもしれないが、ノートの価格を気にして、記録を遠慮するようなことになれば、本末転倒である。しかもこのペンには、必ず必要な専用ノートなのだから、できるだけ価格を低く抑えてもらえればありがたいのだが。

 

ちなみに、肝心の本体の価格だが、2GBモデルが2万4000円、4GBモデルが2万9000円、8GBモデルが3万4000円、いずれも税別価格である。

ペンが文具としてリファインされ、消耗品としての専用ノートが、もっと実用的な価格になれば、記者はこの『エコー・スマートペン』、かなり魅力的な商品だと思う。普及のためにも、より具体的な活用イメージを、もっともっと消費者に伝えて欲しいものだと思う。

公式サイトはこちら

記者

渡辺 穣

複数の雑誌のデスク・編集長等を経てフリーライター/エディター。主にビジネス/経済系の著書・記事多数。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年以上。趣味は、スキー、ゴルフ、ピアノ、焚き火、ドライブ。山と海と酒とモーツァルトを愛する。札幌生まれ。

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