進化するPB!グラム単価2円が“PB第3世代”の境界線か?! ~大手コンビニPB比較第三弾『カップめん編』~

ファミマの魚介スープの印象が強すぎて、少し目立たなかった印象だが、しかし、しょうゆラーメンとして、しっかりと存在感をアピールしていたのが、セブンイレブンのPB「セブンプレミアム」の『スープが決め手の中華そば』だった。

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こちらは、3商品中、唯一の「ノンフライ麺」。製造者である明星食品お得意のスチームノンフライ製法によるノンフライ麺は、3商品中、麺の味わいでは随一で、その味わいのじゃまにならない、丸大豆醤油のまろやかなスープも美味しいものだった。味付け豚肉の味もよく、他の2商品より見劣りするのは、麺の量が53gと少ないことくらい。

 

製造者の明星食品には、「明星チャルメラ」と「中華三昧」という、NBカップめんがあるが、その2つのいいとこ取りをしたような、この商品は、記者には、第3世代のPBではないかと感じられる。こちらも偶然なのか、やはり内容量による「グラム単価」が2円ちょうどで割り切れる。

ちなみに、明星食品は、日清食品のグループ会社であるので、今回比較した3商品は、いずれも日清食品グループによる製造となっている。

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最後は、ローソンのPB「ローソンセレクト」の『しょうゆラーメン』だ。

こちらは、見た目に、メンマやコーンの具が目立つ。特にメンマは味と歯ごたえもよく好感を持てたが、あっさり系のスープに油揚げ麺を組み合わせた味わいは、良くも悪くも、いわゆる“カップめん”という感じを脱していないものだった。

ファミマに感じた魚介スープの圧倒的な存在感も、セブンのノンフライ麺としょうゆ味の渋さもなく、むしろ「特長を出さずに普通に仕上げたことが特長」とでも言えるような商品なのである。

製造者は日清食品で、内容量による「グラム単価」は1.86円と他の2商品より安い。このローソンの『しょうゆラーメン』は、記者には第2世代のPB商品だと感じられた。

catch

もう一度、冒頭の比較表をここで掲載しよう。

注目したいのは、「1gあたり単価」である。偶然なのか、それとも意図的なのか、記者がPB第3世代だと感じた、ファミマとセブンの商品は、このグラム単価が2円ちょうどで割り切れる。それに対し、記者がPB第2世代だと感じたローソンだけは、1.86円と唯一2円を切る価格だった。

PBが価格訴求の時代なら、ローソンがコスパNo.1という言い方をしたのかもしれないが、いまや価値訴求のPBの時代となり、価値は多様化しているのである。消費者は、ただ自分が食べたいものを、食べたい場所で手に入れればいい。その顧客満足のために、PBは進化途上なのである。

 

ちなみに、記者が第1世代PBと感じるようなPBカップめんは、この「グラム単価」がおおむね1円台の前半で、スーパー系の商品がほとんど。商品価格にして70円台~100円程度の商品である。そして、今回、1円台後半のローソンが第2世代PBだと感じ、たまたまグラム単価2円で割り切れた2つの商品を第3世代PBだと感じた。偶然かもしれないが、この「2円」というラインが、第3世代の境界線ではないかと思える、今回の試食であった。

記者

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渡辺 穣

複数の雑誌のデスク・編集長等を経てフリーライター/エディター。主にビジネス/経済系の著書・記事多数。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年以上。趣味は、スキー、ゴルフ、ピアノ、焚き火、ドライブ。山と海と酒とモーツァルトを愛する。札幌生まれ。

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