[第8回]売れ筋カップ焼きそば上位25銘柄を、塩分、カロリーでマッピングすると・・・!商品により塩分量に大きな差があることに要注意!

 今回の『日経POSランキング』のテーマは、『カップ焼きそば』だ。多忙なビジネスマンや学生を中心に、従来は男性向け商品という印象が強かった商品だが、最近は明らかに女性をターゲットにした商品も登場し、様々な趣向を凝らした新商品開発も多く、多種多様な商品が棚に並ぶため、消費者としては「どれを買えばいいのか」頭を悩ませる商品でもある。そのような状況で、テレビやネット上では『カップ焼きそば』の味や食感や特長についての情報はすでに溢れているため、本稿ではそこにはあえて触れず、『カップ焼きそば』を食べたときのカロリーや、そこに含まれる塩分という、客観的視点から売れ筋の『カップ焼きそば』を斬ってみたいと思う。きっとこれまでとは一味違う景色が見えてくるに違いない。

マップ上の番号は、ランキングの順位を示している!

 さっそく『日経POS EYES』を使い、「即席カップ焼きそば」という商品分類で、日経が独自に収集した全国約460店のスーパーのPOSデータを分類。その販売金額の上位25商品をランキングしたのが下の表1である。

(表1)

 ※表中の赤や緑の着色の意味は、以下の記事で説明する。

 このランキング表を見ていただくと、販売された金額のシェアも個数のシェアでも、上位4商品が図抜けていることがわかる。特に上位2つの、日清食品の『UFO焼きそば』東洋水産の『マルちゃん ごつ盛りソース焼きそば』は、平均販売価格の安い「マルちゃんごつ盛り」が個数シェアでは「UFO焼きそば」を上回るなど接戦を繰り広げている。3位は明星食品の『一平ちゃん 夜店の焼きそば』、4位はまるか食品の『ペヤング焼きそばビッグ』とお馴染みの商品が続き、この上位8位までは、この4社で占められている。

右から、ランキング1位、2位、3位のトップ3商品。4位は『ペヤング ソース焼きそば』で、この4商品が頭抜けている。

また上位25位までで、この4社以外の商品でランクインしているのは、エースコックとサンヨー食品だけである。ちなみに、明星食品は日清食品の完全子会社なので、このトップ25位中13商品は、日清食品グループの商品ということにもなる。

 さて、さっそくこの上位25商品を、食塩相当量とエネルギー量を基に作成したマップが以下である。

(マップ)

 ※表中の赤や緑の着色の意味は、以下の記事中で詳述する。

 上のマップは、表1の25商品を、それぞれ1食当たりの食塩相当量(g)とエネルギー(kcal)を縦軸と横軸に取り、そこに(表1)のランキング順位の数値をプロットしたマップである。マップの数字を見て、表1からその商品名を読み取って欲しい。

 例えば、マップの中央やや右下に赤い数字「1」がプロットされているが、赤は日清食品を、「1」は表1のランキング1位の『UFO 焼きそば』を表す。またそのプロットされた位置の、まっすぐ下の目盛りから含まれる食塩相当量が5.9g前後、まっすぐ左の目盛りからエネルギーが560kcal前後くらいだということがわかるようになっている。「2」の数字を探すと、「1」の上方やや左にあるので、ランキング2位の商品は、1位の商品よりも、カロリーが高いが塩分は少ないということがわかる。

 またマップ上の数字に△が付いているものは、その商品の内容量が100g未満の“小盛り”、□が付いているものは、内容量150g以上の“大盛り”、印がなく数字だけのものは、その中間の“中盛り”を表している。その視点でマップを見ると、エネルギーについては、ほぼ内容量と正の相関関係にあることがわかる。つまり大盛りはエネルギーが多く、小盛りは少なく、中盛りは中間という、多少の順位の前後はあるものの、おおむね内容量の多いものは、エネルギーが高いという結果が読み取れるのだ。特にマップ中のオレンジ色の「5」、つまりランキング5位の『ペヤング ソース焼きそば超大盛』は、その名の通り、他の大盛り商品の1.5倍もの内容量があるので、エネルギーも他の大盛り商品の約1.5倍の値を示している。

 一方、食塩相当量に注目すると、こちらは内容量が多いからといって必ずしも食塩相当量が多いとはいえず、逆に内容量が少なくても食塩相当量が高いものもあるなど、商品によりかなり差があることがわかる。例えば、『ペヤング ソース焼きそば超大盛』はエネルギーはマップから上にはみ出すほど断トツにもかかわらず、食塩相当量では3位にとどまっている。またマップ上の「9」と「24」のエースコックの商品は、内容量は“小盛り”なのに、食塩相当量は“中盛り”商品と肩を並べている。

 こうした状況をふまえ、以下本稿では『カップ焼きそば』の食塩相当量、つまり塩分に注目して記事を進めていきたいと思う。ちなみに、このマップのバックデータを(表2)として下に掲載したので参考にしていただきたい。これらのデータは各商品のパッケージと各メーカーの商品サイトのデータを付き合わせて収集したものである。

(表2)

内容量100g当たりの食塩量を計算すると・・・

 上の(表2)で、14位の商品と19位の商品の食塩相当量を見ると、どちらも2.4gと突出して少ないことがわかる。ところが、この2商品、内容量が倍近く違うのである。14位の日清食品『プチUFO焼きそば』は、その名の通り“小さな”UFOで、内容量は63gしかない。これは食事というよりはむしろサイドメニューか、あるいは小腹が空いたときにちょっと空腹を満たしてくれる“おやつ”的な商品と言えるだろう。内容量が少ないのだから、含まれる食塩相当量も少ないのは、ある意味当然で、これを内容量112g19位の明星食品『評判屋 ソース焼きそば』と同列に語ることには少し無理がある。

 そこで同列で比べられるように、すべての商品の「内容量100g」当たりの食塩相当量を計算し、その少ない順にランキングしたのが、下の(表3)である。

(表3)

 これを見ると、先の例の『評判屋 ソース焼きそば』は予想通り断トツの1位となったが、『プチUFO焼きそば』は9位までランクが下がる結果になっている。また、まるか食品の『ペヤング ソース焼きそば』ブランドが2位、3位にランクインしているのも興味深い。

さっぱり系の『ペヤング』は、食塩相当量が少なめの傾向がある。

 昨今は、日清食品の『UFO 焼きそば』ブランドに代表されるように、こってり濃い味ソースの、いわゆる“関西風”が人気を集めているが、それに対し、『ペヤング』ブランドのメーカーまるか食品は本社が群馬県伊勢崎市。さっぱりウスターソース系の“関東風”の代表選手である。『ペヤング』の食塩相当量が少ないのは、それも多少は影響しているのかもしれない。

明星食品の『評判屋 ソース焼きそば』は塩分が少なく、うま味がある味わい。

 さて今回、食塩相当量が圧倒的に少なかった明星食品の『評判屋 ソース焼きそば』は、同社ブランドサイトを見ると、「減塩訴求ブランド」を売りに販売してきたことがわかる。そのことは、パッケージにも「塩分30%カット」と大きくアピールしていることからもうかがえるだろう(写真上)。

明星食品の『評判屋』のブランドサイトには、塩分摂取基準について、きちんとした記載がある。

 『評判屋』のブランドサイトには、上の写真のように、日本人の塩分摂取基準のことや、現在、日本人は男女ともに塩分取り過ぎであることなども掲載されている。『カップ焼きそば』という商品は、実は非常に塩分の多い食品で、健康上は要注意な食品である。そのことをメーカー自らが意識し、サイトでもしっかりと取り上げ、そこを訴求したブランドを出している明星食品は非常に好感度が高い。残念ながら、他のメーカーで、このように塩分についてはっきりと述べているサイトを記者は見つけられなかった。

満足感のあるボリュームがあり、塩分も少なめ。そういう目で見ると、この2商品が圧倒的に“2トップ”だと言えるだろう。

塩分“危険水域”以上は7商品!

 厚生労働省が出している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、18歳以上の日本人の1日の食塩摂取目標量は男性が7.5g、女性が6.5gとなっている。この基準は5年ごとに見直され、2015年の男性9.0g、女性7.5gから引き下げられ、おそらく2025年には今よりもさらに厳しい塩分の摂取基準が設定されると見られている。というのも、世界保健機構(WHO)では、成人の1日の食塩摂取量5g未満を推奨しており、そこに向かって段階的に引き下げられていると考えられているからだ。

 ところが実際の日本人成人の1日の塩分摂取量は、男性が11g、女性が9.3g(平成30年厚生労働省/国民健康・栄養調査による)で、なかなか減少していない。日本人に高血圧や脳血管疾患が多いのは、この塩分摂取過多が原因だと言われている。何を食べ、何を控え、自分の健康をどう考えるかは自己責任の問題でもあり、また記者は専門家でもないので、「塩分取り過ぎ問題」について、これ以上言及するつもりはないが、1つの参考として、以下、『カップ焼きそば』に含まれる食塩相当量について、もう少し詳しくデータを分析してみた。

メーカー別に見てみると、『サッポロ一番』ブランドで知られるサンヨー食品の2商品(12と25)は、どちらも“中盛   り”で塩分は少なめである。このように、このマップを商品選びの1つの参考にして欲しい。

 そこで、冒頭で見ていただいたランキング表とマップを再度、掲載しよう。

 現在の日本人男性成人の1日の食塩摂取基準7.5gに照らし合わせてみると、マップの右側の赤い色のエリアにある16位と20位の商品は、1回で成人男性の基準値である7.5gを超えている。要するに“一発アウト”と言うべき商品だ。

 逆にマップ左側の緑色のエリアにある14位、19位、4位の3つの商品は、本稿では塩分の“安全水域”の食品とした。これは、成人男性の摂取基準7.5gの半分である3.75gに食塩相当量が満たないことを基準とした。本当は1日3食と考えれば、1食は2.5gまでということになるが、1日2食の人もいるだろうことと、「カップ焼きそば」は、お湯を切るときに、少量塩分が流れ出ることを考慮し、せめて1日の摂取基準の半分を“安全”のギリギリのラインとしたのである。

マップの左端にプロットされたランキング19位:明星食品『評判屋 ソース焼きそば』の栄養成分表示。

 そして、もう一つ、真ん中右側の薄い赤色のエリアにある5商品である。これは赤と緑のエリアの真ん中、つまり食塩相当量5.65gを境に、それより多い5位、13位、8位、1位、10位の商品のエリア、言うなれば“危険水域”にある商品群である。WHOの推奨基準が1日5gであることや、欧米の幾つかの国ではすでに1日の食塩摂取量基準を6gに設定していることを考えれば、1食で5.65gという基準はかなり生ぬるいが、まずは段階的に、本稿ではこのあたりを“危険水域”としたのである。ちなみに、マップのこの3色の色分けは、ランキング表1の色分けにも対応している。

 以上をまとめると、売れ筋25銘柄の『カップ焼きそば』のうち、塩分の視点で
◆ “安全水域”にあるのは、14位、19位、4位の3商品。

◆ “危険水域”にあるのは、10位、1位、8位、13位、5位の5商品。

◆ “一発アウト”なのは、16位、20位の2商品

である。また“安全水域”の3商品中、内容量が“中盛り”の19位と4位の2商品つまり、明星食品『評判屋 ソース焼きそば』とまるか食品『ペヤング ソース焼きそばビッグ』を本稿では、塩分の視点で、もっともオススメの商品としたい。

 さて最後に繰り返しになるが、ここに掲げたデータやその分析結果は、あくまでも数多くの『カップ焼きそば』から、あなたが選ぶ際の参考基準の1つに過ぎず、どれが良くて、どれはダメというものではない。何を選び、何を食べ、自分の健康をどう考えるかは個人の自由である。ただ、もしあなたが、今後『カップ焼きそば』が食べたいと思ったときは、単に「ソースが美味い」とか「麺がもちもちで美味しい」というようなノリじゃなく、塩分やカロリー、その他の成分のことなども考え、ときには、このマップやランキング表なども思い出して、商品選びの参考にしてもらえればと思い作成しただけのことである。(写真・文/渡辺 穣)

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渡辺 穣

複数の雑誌のデスク・編集長等を経てフリーライター/エディター。主にビジネス/経済系の著書・記事多数。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年以上。趣味は、スキー、ゴルフ、ピアノ、焚き火、ドライブ。山と海と酒とモーツァルトを愛する。札幌生まれ。

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