個性に驚き! オエノングループの『こだわりのクラフト・ジン』飲み比べ! この面白さは何? 和が織りなす日本産ジンに溢れる魅力!

 

ミントが香る 北海道クラフトジン『北水鐘(きたすいしょう)』

3本目も、合同酒精株式会社(東京都墨田区)が発売するクラフト・ジン『北水鐘』(アルコール分45%・700ml瓶・参考小売価格 税抜4,000円・発売中)

この『北水鐘』というネーミングには、「鐘を衝いたときの音が水面に波紋として広がっていくように、ボタニカルの香りや余韻が広がっていく」という意味が込められているそうだ。綺麗な化粧箱には、「2019モンドセレクション最高金賞受賞」のマークが輝く。

 

さっそく一口含んでみると、香りの変化が楽しめるクラフト・ジンであることがわかる。しかもその香りは複雑ながら、しっかりとした芯があり、存在感をアピールしてくる。

白い大地に舞うタンチョウ鶴のボトルが印象的な『北水鐘(きたすいしょう)』。

口に入れた瞬間、鼻腔と舌にジュニパーベリーの香りと風味がガツンとくる。ところが、いわゆる一般的なジンとは異なる+αの「何か」をはっきりと感じるのだ。ここまではっきりと「何か」を出せるお酒は概してアルコール分が高い。瓶の裏を見ると案の定、アルコール分は「45%」とある。さて、もう一口。舌に残る甘さ、それでいて爽やかな香りも鼻腔を通り抜けていく。なかなか複雑だ!

その正体が上の写真。伝統的なおなじみのジンのボタニカル5種類(ジュニパーベリー、コリアンダーシード、リコリスルート、アンジェリカルート、オレンジピール)に加え、上の写真の6種類の北海道産の素材が加えられ蒸留されているのだ。そこには「鍛高譚」でおなじみの白糠町の赤シソも含まれている。

 

後口に残る感じは、礼文島産の昆布なのか?それとも美瑛町産の男爵いもか。最後に鼻に抜ける爽やかさは、おそらく妹背牛町産のアップルミントだろう。さらにシーベリーも加わる。これらのボタニカルが、非常に色濃く存在感をアピールするため、強いアルコール分と相まって、はっきりと濃く美味しいジンである。

ライムを搾ると、さらに複雑味が増した味わいになる。美味しい、しかも、複雑。強いアルコール分を少し緩和させる、トニックウォーターで割るジントニックが『北水鐘』にはいい感じだ。ぐっと飲みやすさが増すイメージだ。

2018年、1000本限定で発売したところ大好評で完売したため、今年は3倍の3000本の数量限定で発売。記者個人にとっては、故郷の北の大地を想い、キンと冷やしてトニックウォーターで割っていただきたい、北海道のクラフトジンであった。

 

まろやかさの中にふきのとうの苦み『AKITA CRAFT GIN』

秋田の恵みをボタニカルに使用した『AKITA CRAFT 美 GIN』。

秋田県南部の湯沢には美味しい日本酒がある。そんな米どころ、酒どころ秋田のクラフト・ジンである。秋田県醗酵工業株式会社(秋田県湯沢市)が発売する、秋田県初(※同社調べ)のクラフト・ジン『AKITA CRAFT GIN』(アルコール分40%・500ml瓶・オープン価格・発売中)は、どういう香りなのか楽しみである。

さっそく一口含むと、非常に特徴的なフレーバーが後味に残る。明確に「ふきのとう」の香りだ。春先に味噌と和えたり、みそ汁に入れたりして香りと苦みを楽しむ「ふきのとう」が、ジンに入るとこうなるのか。もちろん、ジュニパーベリーの香りはしっかり、そしてふきのとうの苦み、そのあとに来る、秋田の日本酒っぽい感覚は一体何なのだろうか。とてもまろやかな味わいだ。これが秋田の味、湯沢の味なのだろう。

 

味の秘密を知るため、『AKITA CRAFTGIN』のボタニカルを調べてみると、まずは5種類の伝統的なボタニカル(ジュニパーベリー、コリアンダーシード、リコリスルート、アンジェリカルート、オレンジピール)に加え、秋田県産ふきのとうきくいもの3種のボタニカルが使用されている。ふきのとうの苦みは明らかにわかるが、あの日本酒っぽさはきくいものまろやかな風味と米の旨味のなせる技だったのだ。

ふきのとうの苦みを楽しみたければ、ストレートかロックで飲むのがベストだろう。ストレートやロックがきつい方には、ソーダ割りがおすすめである。

秋田の恵みをボタニカルに使用した『AKITA CRAFT美 GIN』。

「秋田美人」にかけたネーミングに、細身の女性的な優しい形状のボトル。そしてそのボトルには、ボタニカルとして使用されたふきのとう、きくいもの花、秋田県産米の稲穂が描かれている。このボトルデザインの美しさが際立っている。1000本の数量限定で販売中だ。

 

自由度が高いクラフト・ジン。あなたのお気に入りを見つけてみて

今回、オエノングループの4種の「クラフト・ジン」を飲み比べたことで、今、世界中で流行している「クラフト・ジン」の人気の理由の一端がわかった気がする。それは自由があるということだ。

日本各地の個性ある素材を使うことで、特徴的な香りや味わいとなっている。このことがクラフト・ジンの大きな魅力となっており、さらなる人気拡大に一役買っているようだ。

 

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記者

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渡辺 穣

複数の雑誌のデスク・編集長等を経てフリーライター/エディター。主にビジネス/経済系の著書・記事多数。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年以上。趣味は、スキー、ゴルフ、ピアノ、焚き火、ドライブ。山と海と酒とモーツァルトを愛する。札幌生まれ。

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