【油そばカップ麺●本当にウマかったランキング2019】第1位は18年続くあのロングセラー商品

どれもスタミナ感満点の仕上がりだが…

 

B級グルメとして学生やサラリーマンから広く愛されている油そば。ジャンキーな味わいと麺の食べ応えがクセとなり、ハマってしまった人も多いのではないだろうか。今回は、カップ油そばとして市販されている商品を対象に、『油そばカップ麺●本当にウマかったランキング2019』と称し、独自のランキングを発表する。

 

油そばの発祥は東京の武蔵境のお店。まぜそばとの違いは?

油そばとは、スープのないラーメンとして知られている食べ物。発祥は東京の武蔵境市にある「珍珍亭」という説や「三幸」という説がある。学生街ということもあり、安価でボリュームがあることからB級グルメとして親しまれていたのだが、次第にその味が広まり、今ではいたる場所で食べられるようになった。

 

ところで、油そばとまぜそばの違いをご存知だろうか。大きな枠で考えれば、スープのない麺なのだが、もう少しクローズアップしてみると違いは確かに存在している。

 

油そばは提供されてから自分で麺とたれを混ぜて絡めるのに対し、まぜそばは初めから混ぜられている。また、油そばは麺を楽しんでほしいという傾向が強く、具材などは比較的少なめ。そもそも、具材が多いと混ぜにくい。一方まぜそばは具材が多く、具材の量や種類が多い。台湾まぜそばなどでは、麺が見えないほど盛りつけられているのが一般的だ。

 

この境界線は曖昧でお店によって呼び方が異なることもしばしば。看板に油そばと書かれていても、まぜそばだったという経験がある人もいるのではないだろうか。

 

こういった背景を知ると、麺を楽しむ油そばはカップ麵との相性が非常に良いラーメンだということがわかる。具材はほどほどに、麺とたれにこだわれば比較的味の再現などもしやすいからだ。そこで今回は、現在市販されている油そばカップ麵を4点ピックアップし、ランキング形式で発表しよう。

 

「勝浦タンタンメン」を油そばにアレンジ!
第4位●エースコック『勝浦タンタンメン油そば』

第4位は、千葉県勝浦市のご当地グルメを油そばにアレンジしたエースコック『勝浦タンタンメン油そば』(125gうち麺100g・希望小売価格 税抜240円・2019年7月15日発売)。勝浦タンタンメンは、寒い海で仕事を行う海女や漁師の身体を温めるメニューとして広まり、醤油ベースのスープにラー油が使われた坦々麺だ。

監修したのは第10回B-1グランプリ in 十和田でゴールドグランプリを受賞した「熱血!!勝浦タンタンメン船団」。過去にもエースコックと共同でカップ麵を開発した実績のある勝浦を代表する店舗だ。

1食あたりのエネルギーは590kcal、糖質は約67.9g

作り方はシンプル。中に入っているかやくと調味たれを取り除き、かやくのみを入れてお湯を注ぐ。

3分経ったら湯切りをして、調味たれを入れてよく混ぜる。これで完成だ。

ラー油がしっかりと入っており、赤く辛そうに仕上がっている。ズルズルッと口に含むと、それを反映するようにほどよいラー油の辛さが舌を刺激する。それでいて、玉ねぎの甘味と旨味もたっぷりと感じられるので、きちんと味わって食べられる面白さがある。

かやくは、玉ねぎ、鶏・豚味付け肉そぼろ、ねぎ。すべて小さいのが残念

辛さはあるが意外とあっさりしているのも食べやすいし、チキンとカツオをベースにした醤油たれが細麺とよく絡まっているのでどこを食べても美味しい。かやくが少なめで寂しいが、飽きることなく楽しめた。

丸刃の油揚げ細麺

 

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万人向けのマイルドな濃厚醤油だれが旨い!
第3位●日清食品『東京油組総本店 油そば』

第3位は、東京油組総本店が監修した『東京油組総本店 油そば』(137gうち麺90g・希望小売価格 税抜239円・2019年5月28日発売)。ファミリーマートより、数量限定で発売された「話題の名店」シリーズの1つだ。

東京油組総本店は国内22店舗、海外2店舗を構える赤いネオンで描かれた油そばの看板が目印のお店。創業60年の老舗製麺所と共同開発した自家製麺とその風味を最大限に引き出す秘伝のたれが名店となった秘訣だ。スープがない油そばだからこそ、麺にこだわり、そのこだわりを引き立てる複雑なたれの配合を長年研究し続けたのだそう。

1食あたりのエネルギーは562kcal、糖質は約73.5g

同商品は昨年もファミリーマートより発売されており、今回は復活商品にあたる。味わいなども調整されつつ、目玉として麺が10%アップ(80gから90g)となり、油そばらしいボリュームとなった。

特製液体だれ、かやく、きざみのりの小袋を取り出し、かやくのみ入れてお湯を注ぐ。

5分経過したら湯切り。ノンフライ麺なので湯切り前に混ぜておくとほぐせるのでおすすめ。特製液体だれを投入してよく混ぜた後、きざみのりをかければ完成だ。

醤油とお酢の香りが食欲をそそる

同店自慢の濃厚醤油だれを再現しているだけあって、醤油の旨味がふんだんに詰まっている。その反面、お店の特徴であるラー油とお酢の印象はかなり控えめ。

麺は細め。ほどよい弾力がありながらも噛みきりやすく食べ応えも抜群

油はしっかりと入っているのだが、ラー油を感じられるかは微妙なところ。もう少し尖った味わいがお好みなら、追いラー油・追い酢をするのもいいだろう。

かやくは、味付豚肉、ねぎ、味付メンマ、のり

総合すると全体的にはかなりマイルドな仕上がりで非常に食べやすく万人向けと言った感じ。かやくも比較的大きめでほどよいアクセントになっている。90gのめんは決して多いわけではないが、かなりボリューミーでお腹も満たせる。

 

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もちもち生麺と油そばの相性抜群!
第2位●東洋水産『マルちゃん正麺 カップ 油そば』

第2位は、「まるで生麺」でお馴染みの東洋水産『マルちゃん正麺 カップ 油そば』(123gうち麺90g・希望小売価格 税抜225円・2019年6月17日発売)。今年4月1日に発売された「マルちゃん正麺 カップ 焼そば」と「マルちゃん正麺 カップ 汁なし担々麺」に次ぐ3つ目の汁なしシリーズだ。

油そばは、先程紹介した通り具材が少ないため、麺を主体に食べるラーメンという特徴がある。マルちゃん正麺は、特許を取得した「生麺ゆでてうまいまま製法」を採用しているので、完成すると茹でたてのようなコシともちもち食感が楽しめる。油そばとの相性は抜群だ。

1食あたりのエネルギーは453kcal、糖質は約71.8g

なお、湯切りタイプに使用されている生麺は、通常のものとちがい専用に開発されたもの。2年以上の歳月をかけたこだわりの麺だ。

あわせて読みたい:生麺ゆでてうまいまま製法の湯切りタイプがついに登場!『マルちゃん正麺 カップ 汁なし坦々麺』による正麺新境地

蓋をあけてかやくと液体スープを取り出し、かやくのみ開封して投入。大きなナルトが可愛らしい。

かやくは味付豚肉、なると、ねぎ。小さいながらもチャーシューを思わせるこだわりがある

5分経過したら、湯切り口を剥がしてお湯を捨てる。液体たれをかけてよく混ぜれば完成だ。麺が絡まっていて少し混ぜにくいので、湯切り前にほぐしておくとよいだろう。

湯切り後の蓋にかやくが付いているのでしっかり回収

チャーシューを思わせる豚と醤油だれの香りが食欲をそそる。そして、お箸で触れただけで分かる麺のコシとモチモチ感。油そばらしいジャンキー感は満点だ。

たれともよく絡んでおり、口に入れるとしっかりとした旨味が口中に広がる。唇がテカテカになるほどラードのコクがあり、インパクトある濃厚な味わいだ。

液体たれをかけた時から想像がついていたのだが、チャーシュー風味に仕上げられているだけあって、鼻へと抜ける香りにも重みを感じる。そのためか最終的に豚骨醤油ラーメンに近い感覚で食べていた。

豚臭さが多少あるものの麺のもちもち感とた濃厚な醤油だれの相性はクセになるのは確か。大きなかやくは食感のアクセントにもなっていて麺と合わせて食べ応えのある仕上がりだった。

 

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食べ応え抜群!18年続くロングセラー
第1位●明星食品『明星 ぶぶか 油そば』

栄えある第1位は、明星食品『明星 ぶぶか 油そば』(163gうち麺130g・希望小売価格 税抜218円・2019年3月25日発売)。東京・吉祥寺の「らーめん専門店 ぶぶか」の看板メニューを再現したカップ油そばだ。

カップ油そば売上No.1

「らーめん専門店 ぶぶか」は、1995年にオープンした「油そば」 と 「東京風醤油とんこつらーめん」が楽しめるお店。油そばの発祥は「珍珍亭」や「三幸」と言われているが、その名を広めたのは「らーめん専門店 ぶぶか」だという声もあるほど。

1食あたりのエネルギーは771kcal、糖質は約97.5g

店舗もさることながら、その最大の要因となったのがカップ油そばの『明星 ぶぶか 油そば』だ。実はこの商品は2002年に発売され、油そばに馴染みのないユーザーに知名度を広げる活躍をした。ガツンとしたインパクトのあるたれともちもちの極太麺が多くの人の心を掴んだのだ。

今年3月にはもっちり極太三層麺が進化し、明星史上最大麺厚にリニューアル。食べ応えを重視する油そばユーザーのさらなる満足度アップを狙っている。

大きなチャーシュー入り

蓋を開けると、4つの小袋入り。かやくのみ開封し、お湯を注いで5分。液体ソースを温めておく。

時間になったら、液体ソースを入れてよく混ぜ、ふりかけとマヨネーズをかけて完成。マヨネーズは同店の人気のトッピングの1つで、ガツンとした味わいをプラスしてくれるのだ。

ごま油の香りを楽しみながら、ズルッと1口。進化した極太三層麺がとにかく旨い。もちもちだし弾力があるし、最低でも5~6回は噛まないと飲み込めないほどの存在感がある。これは食べ応えがある。

それでいて、麺に負けない濃厚な醤油ベースのタレが口の中で暴れまわる。健康なんて知らないと言わんばかりの醤油と脂の旨味に、思わず笑顔。マヨネーズを絡めるとさらにジャンク感が増し、ジャブから右ストレートの強烈なパンチを与えてくるのだ。

明星史上最大麺厚の油揚げ麺

さらに、ふりかけのネギ、ローストガーリック、のり、七味唐辛子、黒こしょうが絡み合い、複雑な風味となって鼻孔を刺激。かやくのチャーシューやメンマにも味がしっかりとついており、まるでスープをたっぷりと吸った具材のようだ。まさに18年の歴史を感じる一杯だった。

 

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決め手は麺の存在感!ジャンキーさを味わえるか

B級グルメとして愛されている油そば。各社の味付けについては、いずれも独自の進化を遂げており甲乙をつけがたい味わいだった。ラー油のピリッと感なら『勝浦タンタンメン油そば』だし、ギトギト感が好きなら『東京油組総本店 油そば』だろう。

記者にとっての決め手となったのは麺のもちもち感、すなわち存在感だ。細麺タイプはたれとよく絡んでスルスルと食べられるのに対し、極太麺の『明星 ぶぶか 油そば』や『マルちゃん正麺 カップ 油そば』はよく噛んで食べる必要がある。これによって、じっくりと麺とたれのハーモニーを楽しめた。

 

特に第1位の『マルちゃん正麺 カップ 油そば』は文句なしの歯ごたえ。マヨネーズやふりかけといった差別化もされており、インスタント食品と言えど完成された味に仕上がっていた。18年のロングセラー商品を是非とも召し上がっていただきたい。

 

記者

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森脇 学

20代男性。工学系出身ライター。食品・工学・アニメ・漫画と幅広い知識を活かして執筆中。関東住まい。

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photo by 尹 哲郎

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