ついに解禁された乳児用液体ミルクをママライターが検証!『アイクレオ赤ちゃんミルク』『明治ほほえみ らくらくミルク』二大ブランドがこの春発売スタート!

子育て時短に最適

 

通称・液体ミルク(乳児用調製液状乳)がついに解禁! 2018年8月の法整備により国内での製造・販売が可能となったことで、大手各社が続々と液体ミルクを新発売。災害時やおでかけ用に、気になっている人は多いはず! 使い方は? どんな製品なの? この春登場した江崎グリコ『アイクレオ赤ちゃんミルク』と明治『ほほえみ らくらくミルク』の2種類を実際に入手して、その魅力をたしかめてみた!

 

技術進化に法律が追い付いていなかった液体ミルク。2019年春は続々新製品がデビュー!

液体ミルクといえば、粉をお湯で溶かす必要がなくそのまま常温ですぐに飲ませられる赤ちゃん用ミルク。世間では「便利!」や「災害時に重要」という意見から、「安易に使うのはちょっと…」という二の足を踏む意見まで様々なイメージが飛び交っている。でもスウェーデンをはじめヨーロッパの国々などでは粉ミルクよりも液体ミルクの方がむしろ主流な国もある。WHO(世界保健機構)とFAO(国連食料農業機関)が定める人工乳の調乳ガイドラインでは、衛生状態の悪い環境では粉ミルクよりも液体ミルクが推奨されているという事実もある。(※1)

 

液体ミルクは、粉ミルクのようにお湯で溶かす必要がなく、温めずに乳児に飲ませられ、常温保存であるため、東日本大震災以来たびたび注目を集めてきただけあって、その必要性を訴える声は年々増している。

 

日本でこれまで発売されていなかった理由は「法律がなかったから」で、食品衛生法による乳製品に関する省令では「粉末状」といった粉ミルクを前提にした文言が使われていて、法律が制定された時代に液体ミルクは想定外だったということがある。そんな日本でも、2018年にようやく法改正が行われ、2019年春には粉ミルクを製造・販売している大手各社から続々と液体ミルクが新登場!

「哺乳瓶に移し替えるだけで、すぐ飲ませられる!」は、液体ミルクならではのメリット!(江崎グリコ「アイクレオ」公式画像より)

そこで今回は、紙パック入り液体ミルクである江崎グリコ『アイクレオ赤ちゃんミルク』(125ml紙パック・希望小売価格 税抜200円・2019年3月発売)と、スチール缶入り液体ミルクである『明治ほほえみ らくらくミルク』(240ml缶・希望小売価格 税抜215円・2019年4月26日発売)の2種類を入手。

 

いずれも2019年春から全国発売される新製品で、同社の粉ミルクは赤ちゃんを持つ保護者の間では有名。この商品を実際にためしてみて、「液体ミルクって何なの?」「メリット・デメリットは?」「どんな製品が出ているの?」という基本的なことを知っていきたい。

 

粉ミルクよりお高いが、簡単にすぐ飲ませられることは絶大なメリット!

赤ちゃんに必要な栄養素を、母乳に近い成分で調整した粉ミルク。実際に育児をやってみるまでは「溶かして飲ませるだけ」なんて思っていたけれど、それがとんでもなく手間のかかる作業だったことを知ったときは愕然とした。哺乳瓶は毎回消毒が必要だし、いざ授乳の時間になるとお湯を沸かして粉ミルクの粉末を溶かし、それが人肌の温度になるまで冷ますなり待つなりしなくてはいけない。

 

しかも赤ちゃんが飲んでくれるとは限らず、家庭でも大変なのにおでかけの際はとにかく手間がかかる。そして災害時にもなればお湯はないし、夏はなかなか冷めないし、でも生後6か月程度まではミルク以外飲めないし…で、苦労の連続となってしまう。

お湯で溶かして冷ます「粉ミルク」は、災害時に不便ということが話題に

母乳育児は母乳育児で、「乳首がかみ切られて痛い、水膨れができた」とか「乳腺炎でつらい」とか、「授乳スペースがある施設が少ない」などの問題もあり、母乳であろうがミルクであろうがそれぞれに悩みは尽きない。そんなとき、今春登場した液体ミルクがあれば、災害時はもちろんおでかけの際や家族・親族が赤ちゃんのお世話をするときなど役立つシーンは多い。

紙パックかスチール缶か。液体ミルクも色々。

まず液体ミルクの最大の特徴は、どのブランドでも共通である「温めなくても飲める」ということ。そもそもなぜ粉ミルクをお湯(70度以上)で溶かす必要があるかというと、菌の繁殖力を熱殺菌で弱めるため。液体ミルクは製造工程ですでに無菌状態にされているから、菌を不活化する必要がないので温める必要がない。

日本初登場!の「アイクレオ赤ちゃんミルク」は紙パックで、1本あたり125ml入り

粉ミルクも適切な保管方法で使用期限を守っていれば問題ないけれど、実際に使ってみると、消費期限内でも使い切らなければカビが生えやすいと感じることも。粉でも液体ミルクでも哺乳瓶に移すという工程には変わりないので、準備の手間は同じなんだけれども、お湯を沸かす・冷ますという工程が省かれることでミルクづくりが速くなることは確かだ。

今回入手した2種類の商品は、いずれも母乳に近い成分を調整した液体ミルク。原材料に含まれるアレルギー物質は、乳成分と大豆。カロリーは100mlあたり68kcalで、どちらも同じだった。

大きく異なるのは、そのパッケージ。江崎グリコ『アイクレオ赤ちゃんミルク』は紙パック入り・125ml(消費期限は約6か月)で、『明治ほほえみ らくらくミルク』はスチール缶入り・240ml(消費期限は約12か月)。持ち運びに便利なのは紙パックだが、災害時用の常備ミルクとして考えるならスチール缶は丈夫で便利だ。

ちなみに、海外の液体ミルクで主流となっているのは紙パック。軽くて持ち歩きやすく、捨てやすいことは、日常的にミルクを使いたい人にはおすすめ。

紙パックの『アイクレオ赤ちゃんミルク』は、母乳と同程度にミネラル含有量、ナトリウム量を調整し、母乳にも含まれるガラクトオリゴ糖(消化管内でビフィズス菌を増加させ、整腸作用を示す機能性のオリゴ糖)を配合。水などで希釈せず、そのまま飲ませる(調製粉乳として販売している「アイクレオ バランスミルク」と同様の原料を使用しており、どちらも母乳を目指した設計になっているそう) 。

缶入りの『明治ほほえみ らくらくミルク』は、「明治ほほえみ」と同等の栄養設計(調製粉乳として販売している「明治ほほえみ」と栄養の基本設計が同等)で、赤ちゃんの発育にとって非常に大切であるとされる「アラキドン酸」(ARA)を母乳の範囲まで配合することで、母乳に近いミルクを作っている。

「アラキドン酸」(ARA)は脳や網膜に多く存在している必須脂肪酸のことで、赤ちゃんの精神的な面や記憶に関する発育のためにも非常に重要と言われている。

粉ミルクを選ぶポイントは人それぞれ。赤ちゃんの好みや飲むタイミング、産院でなじみのあるブランドかどうか、手に入りすい場所で売っているか、など様々な要素が関係するので「これがイイ!」は個人差があるけれど、液体ミルクは世界で愛されている子育てを支えてくれるアイテムなので一度ためしてみる価値はありそうだ。

液体ミルクを実際につかってみた!

まずは紙パックの江崎グリコ『アイクレオ赤ちゃんミルク』をチェック。ストローを挿して、哺乳瓶に移しかえるだけでOK。軽くて持ち運びに便利で、おでかけのときにも気軽に持っていけるから嬉しい。紙パックといえど6層構造で、しっかりおいしさ・安全性を守れる特殊なパッケージになっている。

続いてはスチール缶の『明治ほほえみ らくらくミルク』をチェック。こちらは缶ジュースと同じようにプルタブを開けて、哺乳瓶に移しかえる。240mlと生後半年から1歳児以上の飲む量が1缶分なので、あまりミルクを一度に多くの飲まない赤ちゃんだと余ってしまう可能性はあるが、逆にいうとたっぷり飲ませることができて物資の少ない災害時にはかなり役立ちそうだ。

どちらも、開封後はすぐに飲む、飲み残しは捨てるというルールは要注意。

実際に使ってみて思ったことは、やはりお湯を沸かして冷ますという工程がないことがとても助かる。特に夜間やおでかけには便利だ。災害時には言うまでもなく、赤ちゃんたちが健やかに過ごせることに大きく影響することは間違いないだろう。

お値段は江崎グリコ『アイクレオ赤ちゃんミルク』が125mlで税抜200円。『明治ほほえみ らくらくミルク』は240mlで税抜215円。粉ミルクに比べるとお高いけれど、子育て環境やおでかけ、タイミングなどの事情に合わせて、粉ミルクや液体ミルクをそれぞれ併用していきたいと思った。

 

 

江崎グリコ『アイクレオ赤ちゃんミルク』は、2019年3月より全国のドラッグストアやベビー専門店などで発売中。
●江崎グリコ公式サイトはこちら

 

 

『明治ほほえみ らくらくミルク』は2019年3月下旬に一部施設にて先行発売、2019年4月26日より全国のドラッグストアやベビー専門店などで発売開始。
●明治公式サイトはこちら

 

※1……初出時より、一部訂正。海外すべてで主流ではなくヨーロッパ一部で主流、衛生状態の悪い状態にて液体ミルクが推奨されているという2点を変更いたしました。不正確な表現があり、申し訳ございませんでした。(2019年4月25日)

 

記者

椿 景子

30代女性。年間1000点以上の菓子・ドリンク類を試食するスペシャリスト。兵庫県出身、マンション暮らし。

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photo by 尹 哲郎/椿 景子

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