メディアでもおなじみの脳科学者・中野信子によるヘヴィメタル音楽の脳への効用を論じた新刊『メタル脳 天才は残酷な音楽を好む』!

メタルが心に良い理由とは?

 

今まで『サイコパス』『ヒトは「いじめ」をやめられない』『シャーデンフロイデ -他人を引きずり下ろす快感-』『不倫』など切っ先の鋭い現代的なテーマを選び、脳科学の立場からその謎を著書で解明してきた脳科学者/医学博士/認知科学者で、メディア出演も多い中野信子。今度のテーマはヘヴィメタル音楽を題材にした『メタル脳 天才は残酷な音楽を好む』だ。

 

一般的に頭が良くなると言われていたモーツァルトが否定された現代、本当に脳に良いのはメタル音楽!?

時代が注目する現象、サイコパスやいじめ、不倫などのテーマを脳科学的に著書で解明してきた中野信子。しかし今回は、決して今大ブームを呼んでいるわけでもないメタル音楽にスポットを当てた著書がKADOKAWA発行の『メタル脳 天才は残酷な音楽を好む』(四六判232ページ・税込1,500円・2019年1月30日発売)である。

 

 

実は出身の東京大学大学院医学系研究科で医学博士号を取得した中野は、音声・言語医学講座に所属、言語と音楽の認知について研究していたという。なのでこうした音楽と脳の関わりに関しての方が、むしろ自然なのかもしれない。

 

 

著作では、複雑な家庭環境の思春期に”こじらせ女子”となった彼女が、メタリカ、メガデス、スレイヤー、アンスラックスなどのいわゆるスラッシュメタル四天王あたりのメタル音楽と出会って救われた経験から語られていく(各バンドの写真も載っている)。そして脳科学の研究をするうちにも、自分がなぜ「メタルに魅かれるのか」という思いを常に抱き続け、今回の著作につながったようだ。

 

 

記者もかつて高校時代にメタルの洗礼を浴び、大人になってからはJ-POPメインの音楽雑誌の編集長を20年以上務めていたので、そのベースとなる音楽ということで種々雑多な音楽を好きになったものだが、不思議なことにメタルはいつの時代もずっと付かず離れず好きなことを不思議に思い続けてきた。その意味ですごく興味深く読むことができた。

 

 

メタル音楽は、世間的には残酷・残虐・下品な音楽ジャンルであり、対極にあるクラシックが上品・知的という印象だ。ついこの間まで「モーツァルトを子供に聞かせると頭が良くなる」という学説から、頭を良くするならモーツァルトというのが世間の常識である。

 

 

しかし現在ではこのモーツァルト説は科学的には否定されていることを指摘、むしろ思春期の子供の不安定でネガティブに走りがちな精神には、メタルの方が適しているのではないかと推測する。というのも暴力や殺戮、死などをテーマにしているがゆえに、暴力的・反社会的に走りそうな心にカタルシスをもたらし、日常生活で危険な行為に走らないで済むからだ。

 

 

これはかなり多くのミュージシャンと出会った記者も痛感していたこと。”凶暴な音楽を作る人ほどまとも”という印象を常に抱き続けてきたから。ステージの上で狂気を発散するミュージシャンも、ステージを降りたらスッキリするんだろうなという感触があったから。

 

 

そうしたことを中野は、脳内幸せホルモン「オキシトシン」を絡めて、きっちりとした脳科学的見地から解き明かしていくので、実に痛快だ。またライブでの重低音を浴びることによって肌感覚を含めてメタル音楽が人の心を変えていくことにまで言及していく。

 

 

メタルを愛する者は孤独や不安を癒し、自己評価を下げずに済み、攻撃性を和らげて、世間に流されない人間になれるという。メタル好きなら必読、メタルを毛嫌いしている人でも目からウロコを落としてくれる刺激的な著書だった。

 

 

入手は全国の書店などで可能だ。Kindle版の電子書籍もあり。

 

公式サイトはこちら

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記者

清水 りょういち

清水 りょういち

食レポからタバコ・コーヒーなどの体に悪い系、果てはIT、経済分野までフォローする新しもの好きライター。「わかりにくいをわかりやすく」がモットー。元「月刊歌謡曲/ゲッカヨ」編集長

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