ペンを持つ手に伝わる熱いレーシングスピリット。 アメリカで最も長い歴史を持つ筆記具『クロス』が 『フェラーリコレクション』をリリース!

 

アメリカで最も長い170年を超える歴史があり、クラシカルな雰囲気のデザインを持つ世界的な一流筆記具ブランド『CROSS(以下クロス)』。その『クロス』から、F1やレーシングカーメーカーとして知られる『スクーデリア・フェラーリ』のデザインをモチーフにした『フェラーリコレクション』が登場した。ペンを手にした瞬間、さまざまな想いが記者の心中に去来する。こういう筆記具の存在価値は、機能はもちろんだが、それだけでは測れないことに気付かされる。

18金のペン先に「CROSS」の文字が刻まれる。ロジウムプレートによる装飾が美しい。

 

『タウンゼント』に名車『ディーノ』を想う

『クロス(CROSS)』という筆記具ブランドをご存じだろうか。何と創業は1846年。日本では江戸時代、ペリーの黒船が来航する以前である。アメリカで最も長い歴史を持つ筆記具のブランドで、創業者はリチャード・クロス。そしてその長男のアロンゾ・タウンゼント・クロスが、ボールペンの原型となる『スタイログラフィックペン』やシャープペンシルの原型となる『繰り出し式ペンシル』などを発明し、数々の特許を米国や英国で取得。当時の筆記具に革命的な影響を及ぼした。

ダブルリングと円錐形のキャップトップ「コニカルトップ」が特徴の『タウンゼント』。クリップ位置は、胸のポケットから「コニカルトップ」を見せるために下に配置されている。

そのようなわけで、長男タウンゼントの名を冠した『タウンゼント』というペンには、『クロス』の筆記具のラインナップの中でも、記者は何か特別なものを感じざるを得ず、記者自身の愛用の1本ともなっている。
『タウンゼント』の特徴は、アールデコ調の優美なデザインと太軸ボディ、軸の中心にはダブルリングのアクセント。そして『クロス』お約束の円錐形キャップトップ「コニカルトップ」をまとう。
どっしりとした重量感があり、ラインナップの中では男性的なモデル。ビジネスシーンに使用されるイメージを持ち、今日では、アメリカ大統領が使うペンとしても知られる。

ペンクリップのデザインは、レーシングカーを上から見て、フロントノーズとコックピットをモチーフにしている。

この『タウンゼント』のクラシカルなデザインに、モータースポーツの血統が息づくフェラーリのデザインが組み合わさったとき、記者の頭には1台のクラシックフェラーリの姿が浮かぶ。それは、『フェラーリ・ディーノ246GT』である。

時代は、『クロス』創業から100年以上も後になるが、この車も『タウンゼント』同様、フェラーリを創業したエンツォ・フェラーリの夭折した長男の愛称『ディーノ』の名を頂くからである。しかも246GTは、やはり優美な曲線ボディを持ち、フェラーリ初のミッドシップ・ツーシーターで、現代のフェラーリの始祖的存在となる歴史的名車でもあるのだ。
そのデザイン性といい、命名の由来といい、メーカーにおける位置付けといい、どうしても『タウンゼント』と『ディーノ246GT』はダブって見えてしまう。そこには、創業者の想いや、父と子の愛情、メーカーの歴史や物語があり、このペンを持つ者の心を熱くする。

こちらは『タウンゼント』セレクチップローラーボール。万年筆よりも重量感があり、書き味も抜群。『クロス』はもともと万年筆よりも、ボールペンに定評のあるメーカーだ。

『タウンゼント』のグロッシーロッソコルサ(ツヤのある赤)の万年筆で文字を書き出すと、タウンゼント独特のまろやかなペン先のタッチと、クラシカルなデザインは、記者所有の『タウンゼント』と同じなのに、イタリアンレッドのボディの上に「跳ね馬」のエンブレムがあるだけで、文字を書くときの心持ちが変化する。このコレクションは、おそらくそういう価値が魅力なのだろう。
そういう意味で、筆記具という実用的な道具でありながら、そこを凌駕する“嗜好品”に近い筆記具である。

『タウンゼント』の中でも、このハニカムパターンブラックは少々値が張る。黒と赤の精悍なデザインと、ボディに刻まれたハニカムパターンの彫刻が、高級感を醸し出す。

『フェラーリコレクション』の『タウンゼント』は、ボディのフィニッシュがグロッシーブラック(黒)、グロッシーロッソコルサ(赤)、ハニカムパターンブラックの3種類。それぞれ、ボールペンと、水性ボールペンであるセルチップローラーボール、それに18金F字と18金M字の2種の万年筆があるため、計12種類のラインナップとなっている。

グロッシーブラックのダブルリングには赤いライン。その下に「SCUDERIA FARRARI」の文字が入る。『タウンゼント』に入るフェラーリのエンブレムは、すべて黒である。

価格はすべて税別で、ボールペンが2万1000円(ハニカムパターンブラックのみ2万5000円)、セレクチップローラーボールが2万6000円(ハニカムパターンブラックのみ3万円)、万年筆が5万円(ハニカムパターンブラックのみ5万3000円)となっている。

スリムな『クラシックセンチュリー』。コレクション中、唯一、黄色のペンがある。マットなフィニッシュも魅力的だ。

 

変わらぬ細身『クラシックセンチュリー』

『フェラーリコレクション』のラインナップには、『タウンゼント』のほかに、『クラシックセンチュリー』『センチュリーⅡ』も用意されている。

『クラシックセンチュリー』は、1946年、つまり『クロス』創業から100周年を記念して発表された『クロス』を象徴するロングセラーモデル。何といっても、そのほっそりとしたシンプルなシルエットが特徴で、その姿は今も全く変わらぬまま。ボディの直径がわずか7.5mmと、ほぼ鉛筆と同じで、やはりキャップトップはトレードマークの円錐形の「コニカルトップ」である。
この女性的な細身のボディに、フェラーリの黄色いエンブレムが美しいアクセントなっている。このエンブレムがのるペンクリップ部分は、レーシングマシンのコックピットとフロントノーズの形状をモチーフにした特別デザイン。このペンクリップデザインは、『タウンゼント』や『センチュリーⅡ』にも使われている。
『クラシックセンチュリー』は、コレクション中、最も小振りながら、さりげなく、しかし間違いなく人目をひく、魅力あるスタイルのペンに仕上がっている。

1946年から続くロングセラーの『クラシックセンチュリー』。その特徴的な細さは、ほぼ鉛筆と同じ。

『クラシックセンチュリーも、『タウンゼント』同様、ボールペン、セレクチップローラーボール、万年筆F字、万年筆M字の4種類のペンの種類を持つが、こちらはペン先が18金ではなくステンレスペン先となっている。そしてそれぞれにマットブラック、マットロッソコルサ、マットイエローの3種類のフィニッシュがあるので、計12種類のラインナップとなっている。
価格は税別で、ボールペンが8000円、セレクチップローラーボールが9000円、万年筆が1万円となっている。

左の3本が『クラシックセンチュリー』、右の3本はその後継モデルの『センチュリーⅡ』。ひと回り太く、シングルリングが特徴だ。

 

現代的で中軸ボディの『センチュリーⅡ』

さて、今回のコレクション、もう一つのラインナップ『センチュリーⅡ』は、『クラシックセンチュリー』のデザインを受け継ぎながら、ボディをひと回り太くし、中央にシングルリングのアクセントを施した、その名の通り『クラシックセンチュリー』の後継モデルとして位置付けられる。
『タウンゼント』が男性、『クラシックセンチュリー』が女性ならば、この『センチュリーⅡ』は男女兼用のモデルであり、その太さや重量配分がバランスよく仕上がっている。
マットなフィニッシュの『クラシックセンチュリー』に対し、こちらはツヤのある高級感のあるフィニッシュ。そしてこちらもペンクリップにはフェラーリの黄色いエンブレムが誇る。

『センチュリーⅡ』はツヤのある高級感あふれるフィニッシュ。中軸ボディにシングルリング、黄色のエンブレムが特徴だ。

ペンの種類は、『クラシックセンチュリー』と同じく、ボールペン、セレクチップローラーボール、万年筆F字、万年筆M字でペン先はステンレスの4種類。カラーはそれぞれ、グロッシーブラック、グロッシーロッソコルサ、ポリッシュトクロームの3種類で、計12種類のラインナップとなっている。

通称「跳ね馬」と呼ばれるフェラーリのエンブレム。SFの文字は、「スクーデリア・フェラーリ」の頭文字である。

価格は税別で、ボールペンが1万3000円(ポリッシュトクロームのみ1万円)、セレクチップローラーボールが1万8000円(ポリッシュトクロームのみ1万5000円)、万年筆が2万円(ポリッシュトクロームのみ1万9000円)となっている。

『タウンゼント』。右の3本はツイスト式のボールペン。中央3本がセレクチップローラーボール。左3本が万年筆である。

記者は仕事柄、筆記具をよく使う。ほとんどはPCでの筆記だが、万年筆とボールペンでも、毎日かなり多くの文字を書く。複数本の高級万年筆や高級ボールペンも所有している。
ボールペンに比べ、万年筆は感情が文字に表れる筆記具で、そこが記者は気に入っているが、今回紹介した『フェラーリコレクション』は、その書き手の感情に何かを投げつけてくる。これを感じる書き手にとっては、この喜びは代えがたいもの。これはおそらく『クロス』『スクーデリア・フェラーリ』のそれぞれが持つDNAが微妙に呼応することで生まれるものなのだろう。

 

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記者

渡辺 穣

渡辺 穣

50代男性。月刊誌のデスク・編集長等を経て著作家。主に経済系の著書多数。ファイナンシャルプランナー。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年。趣味で家庭教師も行う。山と海と焚き火を愛する。

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photo by 尹 哲郎

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