缶コーヒー『ファイア』17年ぶりフルリニューアル・新旧バージョン飲み比べにキリンに行ってきた!

キリンの缶コーヒーブランド「ファイア」シリーズが全面リニューアル。先だってそのうちの「キリンファイア エクストリームブレンド」を検証したが、その振り切った味の変化に驚いたもの。そこで旧製品との飲み比べ企画をキリンに提案したところ、快諾してもらったので、キリンビバレッジ株式会社に行ってきた!

直火焙煎にこだわる「ファイア」が17年かけてたどり着いた結論は「焦がし焼き豆」。え、焦がしてしまっていいの!?

「キリンファイア エクストリームブレンド」検証時に何より驚いたのが”焦がし焼き“。というのもコーヒー焙煎業界にとって”焦がす”という表現自体がかなり禁句の領域に入るから。ともすれば真っ黒になるまで焙煎することはあっても”焦がしているのではない”と言い張るのがいわばコーヒー業界の暗黙の了解。

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現実に焦げていてもなかなかそうは認めないのが、古くからの自家焙煎コーヒー店のヒゲのマスターだったりしたのだ。そこを臆せず切り込んだこの”焦がし焼き”。その勇気に何よりもまず喝采を送りたかったので、キリンビバレッジ株式会社を訪ねることにした。目的はその変化を体感するために、その社内で旧製品と飲み比べをすること。

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「おためし新商品ナビ」チームを出迎えてくれたのは、キリンビバレッジ株式会社 マーケティング本部マーケティング部商品担当主任 増田健志さん。ツンツンヘアーで快活に「ファイア」リニューアルについて語ってくれた。

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「ファイアはその名の通り、直火焙煎=火にこだわった缶コーヒーブランドです。ただ正直なところ近年そうしたこだわりはユーザーに伝わっていない実感がありました。そんな中、コンビニエンスストアのカウンターコーヒーが爆発的ブームになったのです。そこで供されるコーヒーはドリップ仕立てのコーヒーであり、カフェのコーヒーに近いもの。アンケートを取ると、缶コーヒーとカウンターコーヒーの違いは”コーヒー感の違い”だということがわかったのです。簡単に言ってしまえば味が薄いと思われていたんです。今回のリニューアルはそうした状況に対応すべく工夫した結果です」

 

そうしてたどり着いたのが、コーヒー感のひときわ強い焦がし豆を使用した新「ファイア」。焦がすというコーヒー業界では珍しい(存在しないわけではないが)表現に抵抗はなかったのだろうか。

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「そうですね。やはり近年”焦がしキャラメル”などの焦がし○○ブームがあったのが大きいです。なのでマイナスなイメージよりも香ばしいなどのプラスイメージの方が大きいと思い、焦がすという表現を使いました」

 

今回は実際に焙煎した豆も食べさせてもらった。日頃からコーヒー豆を購入した際は事前に豆を食べて味を確認する習慣がある記者。cr6_5472

一番左が焦がし焼き豆。このように見た目でも光沢が出るくらいしっかり焙煎されたコーヒーは美味しいことが多い。実際に食べてみると香ばしく、苦味もしっかりあって美味しい。焦げてしまった豆とは違う、わざと焦がした豆ということがわかる。

 

「ファイア」のイメージは、先輩社員にポンと渡されてかっこいい缶コーヒー

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そして話を聞いていて面白かったのが、缶コーヒーの飲まれるシチュエーション。缶コーヒーのNo.1、No.2ブランドなどがCMなどで展開しているのは圧倒的にリラックス・シチュエーション。それに対して逆のベクトルを持っているのが「ファイア」なんだとか。

「アンケートで面白かったのが、「残業時など、もうひと頑張りしなければならない時に、先輩社員にポンと渡されてかっこいい缶コーヒーというイメージでした。これは他のメーカーの商品や、コンビニのカウンターコーヒーとは一味違う感覚だと思います」

それではそのもうひと頑張りしたくなる「ファイア」のラインナップの中心となる3種類を新旧で飲み比べてみよう。どれも現在主流となっている通称イチキュー缶サイズ(※別名ショート缶。190g前後の缶のこと)を3本ずつ取り上げる。

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旧「ファイア 挽きたて微糖」 VS 新「ファイア 挽きたて微糖」

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直火と石窯の二重焙煎で香り立ちを強調した旧「ファイア 挽きたて微糖」。金色に炎のロゴで旧製品もダイヤカット缶を採用。記者も旧製品をそれなりに飲んでいるはずなのだが、正直印象は薄い。

 

実際に改めて飲んでみると、程よい香ばしさで美味しい缶コーヒー。ただ個性的というほどではないので、印象が薄れていたか。保守的ではあるが、ほとんどの缶コーヒーファンが美味しいと言うと思う。

 

それではその後継となる新「ファイア 挽きたて微糖」を味わおう。一口飲んで、すでに衝撃。全然違う。焦がし焼き豆は10%使用なのでそんなに多くないはずなのだが、根本的に別物。パッケージに明記されている”突き抜けた香ばしさ”通り、勢いのある焦がし豆の香ばしさが鼻から突き抜けていった。

 

そしてしっかりとした甘さとミルキーさがやってくる。コーヒーのコク、ボディとも言うべき味の濃さがひときわ目立って、しっかりうまい缶コーヒー。この進化は三段跳びくらいの落差があって驚いた。ミルキーなのに後味はしっかりコーヒーというのもいい。

 

ちなみにしっかりとした甘味こそが、微糖の特徴と聞き、もう一回驚く。微糖ではない、砂糖・ミルク入りのスタンダードラインのコーヒーと比べて、ほとんどのメーカーの缶コーヒーは微糖の方が甘いんだとか。少ないのは砂糖の量で、甘味料で作り出す甘味感は微糖の方が強いのだそう。今後の缶コーヒー選びの参考にどうぞ。

 

旧「ファイア 挽きたて工房」 VS 新「ファイア エクストリームブレンド」

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旧「ファイア 挽きたて工房」はナチュラルなマットな銀色のハンサム缶で、店頭でも目立っていた人気製品。近年の「ファイア」の代表選手といったらこれ。ブラジル新豆を100%使用して生み出した香ばしさ、18時間以内抽出というフレッシュさのイメージで、記者もたまに飲んでいた。

 

改めて味わうと香ばしさの際立った、直火焙煎の「ファイア」のイメージそのものという印象。すっきりとしたい時に飲むのにうってつけの味わいだ。

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比べるのは旧「ファイア 挽きたて工房」の直接の後継製品ではないが、スタンダードタイプという点では共通している「ファイア エクストリームブレンド」。「挽きたて工房」の販売は既に終了しているそう。今回のリニューアルの顔となっているダイヤカットの精悍な顔つきの製品。砂糖とミルク入りのスタンダードタイプで、焦がし焼き豆は15%使用。

 

すでに検証済みだが、改めて飲むと、やはり味が濃い。そして新「ファイア 挽きたて微糖」よりも甘さが控えめ。鼻から突き抜ける焦がし風味とコーヒーの重みを感じるようなコクがたまらなくベストバランス。缶コーヒー・ファンなら唸るだろう仕上がりだ。やはり一度飲んでしまうと旧製品には戻れないと、改めて感じてしまう…。 ちなみに話題となった発売前に100万本を覆面配布したのはこの「ファイア エクストリームブレンド」。

 

旧「ファイア ブラック」 VS 新「ファイア ブラック」

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さあ、コーヒー本来の味わいで勝負するブラック対決。余計なものが入っていないだけに、その違いは顕著になるはずだが…。すでに缶自体はダイヤカットのエンボス化をしていて一目で違いがわかる。

 

旧「ファイア ブラック」は新豆100%とフレッシュさをアピール。古くから日本人に人気のあるキリマンジャロブレンドで爽やかな香りを生み出す。実際に飲んでみると酸味が際立ったコーヒー。近年の傾向は苦味方向なので、かなりコンサバティブな味わいだ。もちろんまずくはないのだが、どうしても古臭く感じてしまう。

 

そして新「ファイア ブラック」。今までの加糖コーヒーではミルクや砂糖などで、飲んだ後に平安が訪れるような感覚があったが、これはもう突き抜けっぱなし。コーヒー豆が本来持っている甘みと香りがバッと襲いかかってくる感じ。焦がし焼き豆は10%使用とのことだが、混ぜ物がない分焦がし味が強調されている。香りは香料を添加しているものの、自然。きっちり苦くて濃いこの味わい、確かに先輩社員からポンと渡されたらかっこいいし、気合いで頑張らなくてはという気分になるのは間違いない。

 

まとめ:焦がし豆を使用して、香りとコクが最高点に達するポイントを追及し、進化した新「ファイア」。もうひと頑張りのための突き抜けた味わい!

缶コーヒーを飲むときは、どんな時なのだろうかと改めて考えさせられた今回の取材。確かに無意識ではあるけれど、一日の終わりのリラックスのために選ぶ缶コーヒーと、まだこれから夜遅くなるまで頑張らなくてはならない時に選ぶものは違うのだと再認識した。

 

カフェイン入りのコーヒーは、やはりどこかエナジードリンクの側面も持っているのだと思う。そんな時に、この新「ファイア」のラインナップはきっと役立ってくれるに違いない。

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鼻から突き抜けていくシャープな香ばしさ、コクと苦味のあるしっかりとしたコーヒー感。どちらもチャレンジする人のためのコーヒーこそが新「ファイア」なのだ。リニューアル後3週間で既に販売1億本突破と、セールス的にも絶好調。そんな自分を研ぎ澄ますために役立ってくれる新「ファイア」を未体験の人は、ぜひ味わってみてほしい。

 

オススメ度:(絶対におすすめ)
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記者

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清水 りょういち

食レポからタバコ・コーヒーなどの体に悪い系、果てはIT、経済分野までフォローする新しもの好きライター。「わかりにくいをわかりやすく」がモットー。元「月刊歌謡曲/ゲッカヨ」編集長

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