【番外編】セブン&アイのPB『セブンプレミアム』がどうやって作られているか、秘密を中の人に聞いた!

先だって、【特別企画】スーパーの棚に並ぶ商品を決める”バイヤー”という仕事についてイトーヨーカドーの人に聞いた!をお届けしたが、登場してもらった株式会社イトーヨーカ堂MDの飯塚さんはセブン&アイが展開するPBブランド『セブンプレミアム』の開発も担当していることが判明。そこで番外編としてそっちの話も聞いてみた。

プライベートブランド(PB)はナショナルブランド(NB)の廉価版ではない!?

まず基礎知識。PBはプライベートブランドのことで、各流通グループが独自開発して自社グループで専売する商品のこと。それに対して、どんなお店でも販売する商品はNB=ナショナルブランドと呼ばれる。イオングループが展開する「トップバリュ」、マツモトキヨシ・グループの「MK CUSTOMER」、ローソンの「Uchi Cafe」などはみんなPB。

 

かつては人気のあるナショナルブランド製品をパッケージ簡略化などで廉価版化して発売しているイメージだったが、現在はむしろ独自路線ではあるが、安いばかりではない独自開発商品という意味合いが強い。このあたりの考察は過去の記事も参照されたし。

 

そんな中、セブン-イレブン、イトーヨーカドー、そごう、西武などを擁するセブン&アイ・ホールディングスが展開しているPBが『セブンプレミアム』。セブン-イレブンなどの棚を見ると分かる通り、最近では随分パッケージも派手になったような…。そこで『セブンプレミアム』の調味料開発を手がけている株式会社イトーヨーカ堂(東京都千代田区)の加工食品部加工食品担当マーチャンダイザーの飯塚洋平さんに話を聞いた。

 

PB商品の開発は、既存のメーカーにケンカを売るものではない

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イトーヨーカドーにしても、セブン-イレブンにしても、いわゆるどこでも手に入るナショナルブランド・メーカーの商品も扱っているわけで、それに対抗するような商品を開発して安い価格で棚の隣に置くというのは、そうしたメーカーにケンカを売ることになるのではと、はたから見てても心配になってしまうのだが。どうなんでしょう、飯塚さん。

 

「ケンカにはなりませんよ(笑)。お互い開発コストというリスクを背負ってより良い売り上げを目指している同士、どの商品でより良い取り組みが出来るのかという緊張感は多少あるかもしれませんが、メーカーの方とも普通に話をできる間柄です。それに『セブンプレミアム』に関して言えば、とにかく安くというやり方ではないですし。一見NBより高く見える場合もしっかり価値にあった、適正価格を目指すようにしています。価値と価格のバランスが大事なのです」

 

 

そんな中で、飯塚さんが開発に携わり、自信を持って世に送り出す商品が2種あるというので、そのアピールを聞いてみた。

 

飯塚さんの自信作① : 生姜焼きのたれ 210g

セブンプレミアム『生姜焼きのたれ 210g』(210g・希望小売価格 税込213円・2016年7月4日発売)
高知県産黄金生姜使用。きざみ生姜が入って、生姜本来の風味と食感も楽しめるたれ。

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「各社から生姜焼きのたれ製品は出ていますが、裏の表示を見ればわかるんですけど、ほとんどの製品が原材料名の先頭にしょうゆが来てしまうんですね(※原材料名は成分の多い順に表記しなければならないルールがある)。この流れを変えたかった。生姜焼きなんだから、しょうがを先頭に持ってこれないかと。実際に多くの人が生姜焼きを作るときに生姜を刻んだりして足していることがわかりました。ここにお客様のニーズがあるのではと考えました。

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ただそのまましょうがを多くすると、今度は賞味期限が一気に短くなってしまう。これには頭を抱えました。結局のところ、他の原材料を調整すると同時に、密閉度の高いこの容器の採用という二本柱で、可能なことが判明したんですが、構想から主原料の生姜を確保して発売にいたるまでは1年半かかりましたね。結果としてNBのものと比べて安くもない(笑)。それでも味には自信があります。しょうが自体も長くスライスしたものと短いもので食感と香りを調整、さらに家庭的な味に近づけるために本みりんも使用しています。

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実はこの商品、PB商品なのに、歴史のあるNB商品を大きく引き離す売り上げを作っています。これは自信作ですね!」

 

 

そして近づく冬の季節に向けて、もう一つの自信作があるという。