冷蔵庫2015年モデル検証シリーズ④〜東芝 FMシリーズ・華紬『GR-J610FM』王道保守の裏に職人技術 編!

2015年モデル「冷蔵庫」特集、前回のパナソニック編の次は日本を代表する保守派メーカー・東芝による和の美しさあふれるテクスチャーと大容量、中段にある野菜室が特徴の『FMシリーズ・華紬 GR-J610FM』(市場予想価格 税込約342,000円・2015年10月発売)を検証する。※冷蔵庫選び全般の予備知識はこちらを参照してほしい。

野菜室は真ん中がいい〜東芝が守る真の意味でのコンサバティブ

東芝(TOSHIBA)と聞いてどんな企業イメージを思い浮かべるだろうか。長年「サザエさん」のスポンサーを務める保守的な家電メーカー。それが記者の持っていた東芝へのイメージだったが、今回の取材を通じて、その思いはさらに強まった。

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もちろんそれは悪い意味では全然ない。パッと目を惹くような新機能で勝負するわけではないが、さながらいぶし銀の名俳優が演技と感じさせない名演技をするように、さりげなく寄り添ってくれる。こちらから冷蔵庫の最新機能に合わせる必要は一切無い。日々の相棒としてキッチン作業をアシストしてくれる使いやすい冷蔵庫。そのもっとも象徴的な機能といえばやはり、「まんなか野菜室」である。

その昔、15年ほど前までは、どのメーカーの冷蔵庫も野菜室を真ん中(中段)に配置していた。月日は流れ、現在は東芝だけが「まんなか野菜室」をキープしている(※シャープ製一部機種に例外あり)。

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「やはり野菜はしゃがまずに取り出したい」
そう考える人にはもはや東芝一択。事実、一般的に冷蔵室はともかくとして、冷凍室よりも野菜室の方が開閉頻度が高いとされている。よく使う方が手元に近いのは理に適っている。そしてこの点だけで東芝の冷蔵庫を選ぶ人がとても多いとメーカーの人間も言っていた。この野菜室の位置だけで冷蔵庫を選ぶというのも充分アリな気がするほど象徴的な機能である。

忘れてはならない「マジック大容量」68.5cm幅で600L!

位置の問題も大事だが、冷蔵庫で重要なのは容量。もちろん大きければ大きいほどたくさん入るのだが、幅が大きくなってしまっては設置自体が困難になることも多い。その点この『FMシリーズ・華紬 GR-J610FM』は9年前の自社モデルと比べてプラス105Lの大容量を実現した。

この幅で600L容量を実現しているのは他には三菱電機製冷蔵庫しかないということを覚えておこう。

 

1つのカラダに2つの心臓……冷却器2つは、東芝だけ!

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大容量で野菜室が中段、以上。でも選んでしまう人もいるかもしれないが、次に東芝の隠れた独自機構を紹介しよう。驚くなかれ、東芝だけが、1台の冷蔵庫に2つの冷却器を持っているのだ。

 

もちろん外見から見てわかるものではないが、これが見事に使い勝手の良さに繋がっている。一番わかりやすい話をすると、製氷室の中で氷同士がくっつきにくい、凍らせたミンチ肉などがまっ白く霜つきになるのを抑えてくれる。なぜか。

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通常の冷蔵庫は一つの冷却器から冷凍室にも冷蔵室にも冷気を送り込んでいる。ところが東芝は冷蔵室用の冷却器と冷凍室用の冷却器とを分け専門化しているため、それぞれの冷却性能が非常に安定しているのである。

 

例えるなら、エアコン1台で2部屋を冷やすのは効率が悪く、温度ムラも出やすいということ。部屋が2つならば、それぞれにエアコンを設置した方がよく冷える。したがって以前はこの2冷却器方式を採用しているメーカーも多かったが、現在は東芝だけがその伝統を守り続けている。

 

次ページではさらに基本機能の充実ぶりを検証していこう。