吉野杉の間伐材を活用した木の文具『鳥獣戯画シリーズ』香り豊かで環境にも優しい商品だが、その実用性は??

宝「鳥獣人物戯画」の動物がプリントしてある、薄い杉材のシート。実はこのシート、本当の杉材なのにまるで紙のように折り曲げて使うことができるのである。実際、折り紙のように鶴を折ることもできたが、これはブックカバーなのだ。一方の細長いテープ状の方は、マスキングテープだという。これらは、ハートツリー株式会社(東京/港区)から発売されている間伐材を活用したステーショナリーシリーズ『鳥獣戯画シリーズ』。見るからに木の優しい質感とぬくもりが感じられる、木の文具たちである。

 

まずは、この吉野杉の間伐材を使った「ブックカバー」。パッケージの中に下敷きとして厚手のボール紙が入っているので、もう少し厚いものなのかと思っていた。

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ところが、パッケージから取り出してみると、まるで紙のようにペラペラの薄いシート。何よりこのシート、杉の香りが本当にいい。思わず何度も何度もシートを鼻に近づけて嗅いでしまうのである。

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しかも本当に紙のように曲げたりできるし、そうしてもシートが割れたり折れたりしない。ただ、ブックカバーとして折り曲げて使うときは、「折目に軽く水を吹きかけて」と説明書には書いてある。また、「折り曲げると毛羽立ち・ささくれる可能性」があり、その破片で怪我をすることがあるので、「その場合は直ちに使用をおやめください」との注意書きもある。では、さっそくブックカバーを作ってみよう。

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説明書にあるように、このシートに新書を乗せて、少し余裕をみて折り曲げていく。水を吹いてあるため、紙のようにしなやかに折り曲げることができる。が、やはり木材であるためか、いくら上手な加工を施しているといっても、ややゴワゴワした感じがある。しかし、割れたり、折れたりはしない。

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上下を折り、そして左右を折り、折目の間に本の表紙を差し込んで完成。

確かにブックカバーとして使えることはわかったが、何も無理して木材を折らなくてもいいように思える。折目がゴワゴワし、カバーと本の密着性もあまり良くない…。いざ読書するときには邪魔に感じられるのである。

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間伐材を利用することで、日本の森林資源の保全・再生に貢献し、さらに木の香りやぬくもりを感じてもらうという、商品としての存在意義にはとても共感できる。だが、このシートをブックカバーとしては、記者なら使わないだろう。

それよりも、ランチョンマットにするとか、ボールペン筆記や印鑑を押すときの下敷きにするなど、シートのまま利用する使い道を選ぶだろう。シートのまま使うにしても、この柔軟性はとても役に立つのである。

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『鳥獣戯画シリーズ』には、このブックカバーの他に、同じく吉野杉を使ったマスキングテープとうちわ、赤松を使ったノート、ヒノキを使ったカード、しおり、という6種類のラインナップが揃っている。

発売元のハートツリー株式会社からは、この『鳥獣戯画シリーズ』のほか、同じく間伐材を使った「MOTHER FOREST」シリーズがある。そこで扱っている「のしぶくろ」は、多少の厚みとふっくらした手触り、ぬくもりがあって、木材文具の使い道としてとてもマッチしていそうな雰囲気がある。また、しおりやカードは、ぜひ使ってみたい商品だ。

一方で、マスキングテープは使い方がよくわからない。文字通りのマスキングとしては使いにくく、テープとして使うにも、これを違和感なく貼れる場面が思い浮かばない。

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日本の伝統文化を感じる吉野杉という素材に、京都・高山寺の国宝「鳥獣人物戯画」のプリント。そして豊かな杉の木の香り。木の肌触り。間伐材利用という環境コンシャスなコンセプト。すべて素晴らしいものだが、これを実際にどう使っていくかという実用性を考えると、そのあたりが意外と難しい。少なくても、海外に行くときの日本土産としては、最適な商品であるように記者には思える。

 

価格は、今回試用したブックカバーが1500円、マスキングテープは幅2cm、長さ45cmの3枚入りで1200円、148mm×105mmのノートが1300円、185mm×150mmのカードは500円、しおりは3枚入りで850円、うちわは500円、すべて税別となっている。

オススメ度:(良い商品です)
公式サイトはこちら

記者

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渡辺 穣

複数の雑誌のデスク・編集長等を経てフリーライター/エディター。主にビジネス/経済系の著書・記事多数。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年以上。趣味は、スキー、ゴルフ、ピアノ、焚き火、ドライブ。山と海と酒とモーツァルトを愛する。札幌生まれ。

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