魔法瓶のワザを音響に!”あの”サーモスが作った『ヴェクロス真空ワイヤレスポータブルスピーカー』の凄さ!

見、小さなステンレスボトルのように見える。それもそのはず、コレを作ったのは、真空断熱による魔法瓶のトップブランド「サーモス」なのである。

サーモス株式会社が作る真空遮音分野のブランド「VECLOS(ヴェクロス)」から生まれた第1弾の商品、それがこの『ヴェクロス真空ワイヤレスポータブルスピーカー』(以下、VECLOS)。一体、魔法瓶のどんな技術を使って、このスピーカーをどんな音を出すのだろう。さっそくスマホから接続して音を鳴らしてみた。

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箱の中には、持ち運びようの黒のキャリングポーチに、充電用USBケーブル、そしてスピーカー本体と取説が入っている。驚かされるのは、スピーカー本体が本当に小さくて軽いこと。

スピーカーというと、頑丈で重いことが、その性能のバロメーターようにも言われ、これまで小さなBluetoothスピーカーでも、やはり200g~300g程度の重さはあったが、この 『VECLOS』はわずか160gしかない。

そこまで軽くできるところに、サーモスの真空技術ならではの秘密があるのだ。

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スピーカーが音を鳴らすと、当然、スピーカユニットを収めた筐体(エンクロージャー)も振動し、それがノイズとなって本来の再生音の邪魔になってしまう。そこでエンクロージャーを、とにかく頑丈に重くして、できるだけ余計な振動を伝えないようにしたため、スピーカーはどうしても重たくなってしまっていた。

ところが、音は空気を介して伝わるので、逆に真空では振動は伝わらない。そこで魔法瓶のサーモスお得意の、高真空二重構造をスピーカーに応用したのが、この『VECLOS』なのである。

真空層があるためにエンクロージャーには音の振動が伝わらず、軽いステンレスでできているのに、このスピーカーはノイズのないクリアなサウンドが再生できるという。

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USBケーブルを繫いで、まずは充電。インジケーターが赤く点灯している間は充電中。約3時間の充電で、10時間の再生が可能になる。

充電が終わると、インジケーターが青に点灯。次は、Bluetooth機器とのペアリングだ。

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とはいっても、何も難しいことはない。機器のBluetooth設定を「ON」にすると、自動でこのスピーカーの検索名称「SSA-40」を探し出してくれる。あとはそれを選択すれば、接続が完了だ。

catch

VECLOSの底面を起こすと、スピーカーが斜めに立つようになっていて、これがなかなかしっかりとしたスタンドになっている。

スマホを音源にして音楽をかけてみると、VECLOSから非常にクリアな音が流れ出てくる。そのサウンドは、決して派手ではなく、どちらかというとミッドレンジからハイレンジにかけての音のキレで勝負している感じ。

直径4cmのフルレンジスピーカーが1個だけで、しかも昨今、当たり前のようになっているパッシブラジエターによるわざとらしい低音が鳴り響かないので、人工的な低音に慣れた耳にはややパンチが足りないかもしれないが、逆にこのVECLOSの音はとても新鮮で自然な響きに聞こえてくる。

そして、確かにこの小さな筐体でありながら、余計な振動音によるノイズが感じられない。デスクサイドで、それほど大音量でなく音楽を楽しむには、むしろこのくらいの音のキレは、クリアで聴き取りやすい。

それに何より、このデザインがカワイイ。記者としては、VECLOSブランドではなく、ぜひサーモスの「THERMOS」というロゴを入れて欲しかったと思う。

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今回、試聴したVECLOSはモノラルタイプのものだが、ステレオタイプも発売されており、色のバリエーションは、それぞれブラック、ホワイト、レッド、ブルーの4色。

価格は、ステレオタイプが税込1万9440円、モノラルタイプが税込1万800円で売られている。

ステンレス魔法瓶の技術が生かされた、この小さなポータブルスピーカー。ワイヤレスで、しかも持ち運びにも邪魔にならず、クリアな音が楽しめる。デスクに置いてもオシャレな感じで、IT機器の音を、とても身近で質の高いものにしてくれる。

記者は、このVECLOS、とても欲しい商品だと思うが、同時に、サーモスには、この真空技術を生かして、もっと本格的なスピーカーを出して欲しいと期待してしまうのだった。

オススメ度:(買っても損はない)

記者

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渡辺 穣

複数の雑誌のデスク・編集長等を経てフリーライター/エディター。主にビジネス/経済系の著書・記事多数。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年以上。趣味は、スキー、ゴルフ、ピアノ、焚き火、ドライブ。山と海と酒とモーツァルトを愛する。札幌生まれ。

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