『全国麺めぐり 小田原系タンタン麺』とろりとしたニンニク風味の甘辛スープとノンフライ細麺のこってり系!
タンタン麺は本来中国四川料理だが、日本に上陸以降は様々な派生進化を遂げている麺メニューである。そぼろ肉とラー油が共通項なくらいで、激辛の勝浦式、汁なしの広島式など思い思いのタンタン麺が展開されている。そんな中で寿がきやが手がけたのは『全国麺めぐり 小田原系タンタン麺』(120gうち麺65g・希望小売価格 税抜227円・2015年6月22日発売)。いったいどんな一杯に仕上がっているのか。
小田原系タンタン麺の名店とされるのが昭和50年創業の「中華 四川」。
神奈川県を中心とする「四川系タンタン麺」を展開する店の多数がここで修行をしていたという総本山的なお店。
ただ記者のように昭和からタンタン麺を愛し続けてきた者にとっては、近年のラー油フィーチャリングなタンタン麺には正直疑問を抱いている。ブームの初期、四川料理のレシピを守った本来のタンタン麺は、肉そぼろはもちろんだが、芝麻醤(チーマージャン)のゴマ風味が特色であり、それが脳に焼き付いているからだ。
今回の『全国麺めぐり 小田原系タンタン麺』もまた、鶏ガラと豚肉、ニンニクをきかせたとろみの強いあんかけ風甘辛スープにひき肉という、本来の四川風タンタン麺とはちょっと違う構成。どんなものか、挑むような気持ちで食べてみる。
フタをめくると何とも微細なノンフライ麺が登場。かやくは肉そぼろとネギと唐辛子と、……大豆たんぱく!? その秘密は4分間調理を終えた後、後入れ粉末スープを投入してわかった。真っ白な粉を湯に入れると途端にゲル状に固まっていくのである。さらに液体スープを入れて完成するのだが、このゲル化剤によってトロ味をだしている模様。このゲル自体に味は無いので、何とも不思議。
記者は四川風タンタン麺のファンであると同時に、昔からの寿がきやファンでもある。寿がきやラーメンは美味しい! という記憶もまた、スーちゃんのキャラクターとともに脳に焼き付いているので、気を取り直して一口。
とりあえず麺が美味い。ノンフライ麺ではあるけれどほぐれも良く、きっちりコシと粘りのある麺はいい。そしてスープ。全体的にプカプカ浮かぶ肉そぼろは背脂のように見える。しっかりかき混ぜるとゲル状の塊も見えなくなり、コッテリではあるがニンニク風味の旨みスープはかなり美味しい。
そもそもの四川風タンタン麺を知らなければ、もっと素直に美味しいと言えるはず。溶け残ったゲル状の塊には少々不気味さを感じたが……。価格的にはビッグサイズではないので少々お高めか。小田原に出かけることなく小田原系タンタン麺を確認したい人は、ぜひ!