あっさり・ほんのり高級マグロの風味を楽しむ『近畿大学水産研究所監修 近大マグロ使用 中骨だしの塩ラーメン』

2002年に世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功した近大、2012年には商業流通も開始したそのクロマグロの中骨をベースにした『近畿大学水産研究所監修 近大マグロ使用 中骨だしの塩ラーメン』(89gうち麺70g・希望小売価格 税抜195円)がエースコック株式会社(大阪・吹田市)から2014年12月1日に発売された。

 

「黒いダイヤ」といっても石炭のことではない。水産業界ではマグロの中でも一級品であるクロマグロ、通称本マグロのことをそう呼ぶ。
「え? これまでも養殖の本マグロ(クロマグロ)はあったよね!?」
と思った人は正しい。そう、天然の稚魚を捕獲して養殖する養殖本マグロはごく普通に流通している。ではなぜ近畿大学水産研究所が偉いのかというと、卵を付加させるところからの完全養殖を世界に先駆けて成功させたからである。

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前置きはこれくらいにして、調理を始めよう。
タテ型カップ麺には珍しく、液体後入れスープが付属。それを取り出して熱湯を入れ、フタの上に乗せて3分間の待機だ。フタをあけて液体スープを投入するのだが、思ったほどには魚臭くない。遠くにシーチキンが見え隠れするようなほんのりとした魚風味。

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麺は油揚げめん。丸刃仕上げの標準的なもの。かやくはチャーシュー、メンマ、ねぎに加えてナルトまで入っているのが微笑ましい。さらに風味豊かなしょうがが散りばめられる。これはおそらく臭みをとる役目だろう。

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スープを味わってみると実にサラリとした味わい。人によっては「薄い」と感じてしまうかもしれない。成分を見てみると、ベースは鶏ガラのよう。そこにカツオエキスを入れて合わせだしとなっている。そこに問題の近大が養殖に成功したクロマグロの中骨(魚の背骨に当たる部分。かつてサケの中骨を柔らかく加工した缶詰製品が大ヒットしたこともある)がだしとして参戦しているはずなのだが、これぞマグロの中骨! というインパクトは正直いって、無い。魚介系の濃厚なものを期待すると見事に肩透かしを食らう。

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さらにこれは塩ラーメンである。従って良くも悪くも非常にお上品な味わいになっている。料亭でお吸い物として出てきそうな高級な風味。そこに歯切れのよい油揚げめんが投入されているのだが、麺としてはそこそこ美味しい。だがこのスープとばっちり合っているかというと少々疑問符が残る。それぞれが美味しさを独自に追い求めていて、互いを受け入れていない感覚を持ってしまうのだ。

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黒色の本格風パッケージにも大々的に骨のイラストが描かれているので、もっと濃い旨味を期待してしまったのだが、違う。本来高級魚のクロマグロだから上品なのは当たり前なのだけど、臭みもしょうがでしっかり取っているから余計に思うのかもしれないけれど、ラーメンとしての魅力は一段下がっている気がしてならない。

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それでも変わり種として、たまにはさっぱり・あっさり、魚風味の塩ラーメンを食べたいという時があるのなら、存在価値はある。日本そばではしょうゆが余計だ、塩の風味に魚の風味のあっさりした麺類を食べたいという時に、これは適しているのだろう。

それならいっそのこと、同じエースコックなら「スープはるさめ」のラインナップに加えたほうが良いのではないかと、余計なことを考えてしまった。

オススメ度:(ピンときたら、どうぞ)
公式サイト:近畿大学水産研究所監修 近大マグロ使用 中骨だしの塩ラーメン

記者

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清水 りょういち

食レポからタバコ・コーヒーなどの体に悪い系、果てはIT、経済分野までフォローする新しもの好きライター。「わかりにくいをわかりやすく」がモットー。元「月刊歌謡曲/ゲッカヨ」編集長

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