ミクロの世界への興味をかき立てる『スマホde顕微鏡』/見て撮ってシェアして気楽に遊べる感じがいい!

日は、学研ステイフルから発売の『スマホde顕微鏡』のご紹介である。

スマホを乗せるだけで、「本格的な顕微鏡」になるという、なかなか面白い新商品だが、記者的には、この商品の最大の魅力は、「本格的ではない」ところにあると思っている。

2014秋の第78回東京インターナショナル・ギフトショーでグランプリを獲得した、遊びながら子供の科学への好奇心を育めそうな、魅力的な『スマホde顕微鏡』をさっそく使ってみた。

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箱の中身は、プラスチックのケースのような本体に、それに装着できるLEDライト、カード型の交換レンズが3枚、スライドガラスが2枚、天然繊維のサンプルが1枚と取扱説明書で、このパーツを見ただけでも、非常にシンプルな商品であることがわかる。

 

交換レンズは、倍率の低い方から、「約2~10倍」、「約4~20倍」、「約16~80倍」の3種類で、なぜ、ズームレンズのように倍率に幅があるのかというと、最初からスマホのデジタルズームを考慮に入れた倍率計算になっているから。なので、スマホの性能や、カメラのアプリによって、倍率は違ってくるということなのだ。

いずれにせよ、たかだか80倍程度の倍率なので、「顕微鏡」というよりは「拡大鏡」といった風情である。

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レンズの下からは、LEDを使ったライトで、プレパラートに光を通すが、透過性のないもの、例えば指の指紋とか髪の毛とかを見るときには、LEDを外して、横から検体に直接光を当てると、非常にきれいに観察することができる。LEDライトは、単4電池2本を使用する。

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レンズは、向きを変えて本体に差し込むことで、レンズの位置を真ん中にしたり、片隅にしたりできる。これにより、この『スマホde顕微鏡』に使えるスマホは、カメラレンズが本体上部中央か、本体上部右側にある機種ということになる。

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この写真は、サンプルの天然繊維の中の、「シルク」を、5倍程度の倍率で見たところ。この状態から、カメラのズーム機能で、さらに20倍くらいまで拡大できる。

もちろん、スマホのカメラで見ているわけなので、この画像を撮影したり、それをメールやSNSを通じて友達と共有したりといったことは、得意技である。また、当然のことではあるが、微生物のような動く検体を、動画で撮影することも簡単にできるのである。

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実際に使って、やや使いにくかったところは、この写真のピントのダイヤルである。これを回すことで、レンズやスマホを乗せた台座部分が上下し、焦点距離を調節するのだが、これがやや回しにくく、プレパラートを乗せたままで、ピントを合わせにくいのである。

また、視野を動かすために、プレパラート自体を動かすことは、この道具では、ほとんどできない。1つの視野を固定して観察するのが現実的である。

要するに、ちょっと本格的なプレパラートを見ようと思っても、このアバウトな装置では、思うようには観察できないのである。が、冒頭にも書いたとおり、この装置に、それを期待してはいけないと記者は思う。むしろ、本格的ではなく、アバウトだからこそ、これは“おもちゃ”として、扱いやすく、子供でも楽しく遊べるものなのである。

最初に箱を開けたとき、「どうしてスライドガラスはあるのに、カバーガラスがないのだろう?」と思ったが、カバーガラスを必要とするようなプレパラートを見る装置ではないということなのだ。

この『スマホde顕微鏡』で、ミクロの世界に初めて興味を持ち、そこからより好奇心が膨らめば、そのときは本当の顕微鏡を買えばいい。これは、あくまでも、そこへ誘う入口なのである。そういう風に見れば、この玩具は、とても魅力的なものだと思う。

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この『スマホde顕微鏡』は、9月26日発売で、税別2500円と、価格も手ごろ。

子供へのクリスマスプレゼントに買ってあげて、ぜひ一緒に遊んで欲しい。楽しい顕微鏡体験が、未来の科学者を生み出すかもしれないのだ。

記者

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渡辺 穣

複数の雑誌のデスク・編集長等を経てフリーライター/エディター。主にビジネス/経済系の著書・記事多数。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年以上。趣味は、スキー、ゴルフ、ピアノ、焚き火、ドライブ。山と海と酒とモーツァルトを愛する。札幌生まれ。

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