大手コンビニPB比較第四弾はレトルトパック『ごはん』 スペックを表にまとめると“目立つ”セブンプレミアム

食してみた結果は、自分の中では“意外”なものだった。

大手コンビニのPB(プライベートブランド)商品比較、第四弾の今回は、レトルトパックされた『ごはん』である。

何が“意外”だったのかは、以下、お話しよう。

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記者は、これまで2回ほど、米の流通について、かなり本格的に取材をした経験がある。生産地の田んぼや農家を訪ね、農協、卸、小売り販売店、研究所、専門家など、徹底的に話を聞き、数多くの米の試食もした。

同じ銘柄の米でも、産地が違うとまるで違う食感や味になるし、銘柄も産地も同じでも、田んぼの日当たりの違いが食感や味の違いになることも、実際に食べ比べて実感することもできた。

米は見た目は似ているが、意外と違いがある。そんな経験がある記者が、今回、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの3大コンビニのPB『ごはん』を試食して感じたことは、「意外と」違いがないということだったのだ。

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試食したPB商品は、■セブンプレミアムの『ごはん』■ファミリーマートコレクションの『ごはん』、そして■ローソンセレクションの『コシヒカリごはん』の3商品。

上の写真で、Sはセブンプレミアム、Fはファミリーマートコレクション、Lはローソンセレクションを表す。パックを開けてみて、ごはんのツブや色つやを比べてみても、あまり差異はない。

もっと細かく、一粒一粒を見ると、ファミリーマートコレクションの『ごはん』を標準的な感じとすると、セブンプレミアムのごはんは、やや粒が崩れ気味でもっさりした感じ、逆にローソンコレクションのごはんは、やや粒立ちがしっかりした感じを受ける。

しかし、どれも口に入れて噛むと、微妙に違いはあるが、特筆するほどの違いは感じられなかった。

むしろ、3商品の違いよりも、3商品に共通して、どれもかなりもちもち感の強い食感であることの方が、記者には気になった。原材料には、確かに「うるち米」と書いてあるが、記者の印象では、少し「もち米」がブレンドされているのではないかと思えるほど、どの『ごはん』も、とてももちもちしていたのである。

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さて、このように、見た目、試食で、あまり違いを感じなかった3商品だったが、それぞれのスペック(価格、原材料、エネルギーなど)を一覧表にまとめてみると、またまた“意外”な発見があった。なぜかセブンプレミアムの『ごはん』だけが、目立ってしまうのである。

 

論より証拠。上のスペック表を見ていただこう。

まず内容量だが、セブンだけが200g入りの大盛りである。それにも関わらず、1パックあたりの価格は一番安い。当然、1gあたりの価格を計算してみると、他の2商品よりも突出して安いことが見て取れるだろう。

さらに、原材料名を見ると、セブンの『ごはん』だけに、うるち米の他に「酸味料」が添加されている。ごはんに酸味料が加えられているというのは、一体、どういう意味を持つのだろうか。

最後に、『ごはん』100gあたりのエネルギーを計算してみると、セブンのものだけが、グッと高い、つまり高カロリーなのである。

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見た目や味などは、それほどの差異が感じられなかったにもかかわらず、スペックを横並びにすると、明らかにセブンのものだけが、他と違うのは、どういうことなのか。消費者としては、価格が安くて、量が多いセブンプレミアムの『ごはん』を、お得と感じて食べていいのだろうか。そんな細かなことが気になってしまう、今回の試食なのであった。

 

最後に記者の全く個人的な好みを、1つの参考として書かせて頂く。

一番価格が高いファミリーマートコレクションのPBごはんは、「サトウのごはん」で有名な、佐藤食品工業株式会社が製造元になっている。とても曖昧な言い方かもしれないが、良くも悪くも、この商品が「最も普通のふっくらごはん」的な印象を記者が持ったのは、やはりレトルトごはんのNB(ナショナルブランド)的な存在である「サトウのごはん」に近いからなのだろうか。値段も、NBに一番近いレベルである。

また、ローソンセレクションの、少し粒立ったごはんは、記者の嫌いなテイストではない。少々硬めだが、噛むと味わいがある。一緒に食べるおかずにも依るだろうが、このローソンセレクションの『ごはん』、なかなか好印象なのである。

それに比べ、セブンプレミアムのごはんは、記者の好みより、ややもちもち感が強く、柔らか過ぎの感じがある。量が多く、値段も安いので、結果的に、記者はこれを買うかもしれないが、味はそれほど好みではなかった。

ただ、最初に書いたとおり、この3商品の違いは、本当に微妙なもので、ほとんど「違いがない」レベル。そういう意味では、どれも上手に作られた『ごはん』だということなのだろう。

米の流通は複雑怪奇で、一体、どこの何米が、どこに流れているのか正確な把握は困難である。こと米やごはんに関する限り、最後は、自分の舌だけを信じて、選ぶしかないと記者は思っている。

 

記者

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渡辺 穣

複数の雑誌のデスク・編集長等を経てフリーライター/エディター。主にビジネス/経済系の著書・記事多数。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年以上。趣味は、スキー、ゴルフ、ピアノ、焚き火、ドライブ。山と海と酒とモーツァルトを愛する。札幌生まれ。

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