ゴマ・芝麻醤無し!通常のタンタン麺とは一線を画す独自進化を遂げた『勝浦タンタンメン』がリニューアル

葉県南東部・勝浦市のご当地グルメが大口径のカップ麺に。それがこの『勝浦タンタンメン』(リニューアル発売)。とはいえ通常のゴマをベースとした中国料理に近い味わいの担々麺とは、名前は同じでも大いに違う。

 

手掛けた会社はインスタントラーメン界の雄・エースコック株式会社(大阪・吹田市)。今ブームの兆しをいち早く察知して投入してきたこのフットワークには脱帽する。

だが本来担々麺とはゴマや中国独自の調味料芝麻醤(チーマージャン)という主役をゴマに据えたものであるはず。ところがこの勝浦タンタンメンに関していえば両者は使用しない。従って通常のタンタン麺を予測して食べるとその違いに確実に驚く。

とはいえこの勝浦タンタン麺もまた、歴史は長く、1954年に誕生しているというから驚きだ。その誕生のいきさつは、「芝麻醤が入手できなかったから」という何とも微笑ましいエピソード。

ちなみにタンタン麺ブームは広島県にも広まっており、そちらは本来の中国料理の汁なしを踏襲して進化。いっぽうこちらの千葉県勝浦では、芝麻醤どころかゴマまで排除して独自の進化を遂げた。

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他にも特徴としてたっぷりのラー油としょうゆベースのスープがあり、炒めたタマネギや豚挽肉がのっているのが特徴。漁港が近いがゆえにそのダシもまた魚介系なのである。そうした特質から、通常は中国料理に近い味わいのタンタン麺が、ラーメン方向に大きく舵を切っているのが特徴。

またラー油が醸し出すホットな味わいは、寒い時期の漁師たちや海女が芯まで冷えたからだを温めるのに最適だったことから一気に普及したといわれている。

現状勝浦市では中華料理店のみならず焼肉店、果ては喫茶店にまで登場してくるというまさにご当地グルメの代表となっている。そしてそのムーブメントが更に盛り上がるきっかけとなったのが、地元業者による「熱血!!勝浦タンタンメン船団」の結成。

2011年には兵庫県で行われマスコミでも話題を振りまいた「ご当地グルメでまちおこしの祭典!B-1グランプリ」で見事入賞を果たし、全国的な脚光を浴びることになる。

 

 

 

ではその勝浦独自のタンタン麺は、いかにしてこの大口径のカップ麺「勝浦タンタンメン」となり得たか。大手メーカーが見よう見まねで……というわけではない。前述の「熱血!!勝浦タンタンメン船団」が監修して、本場のご当地の味を再現しているのだ。したがってこの味わいが気に入れば、勝浦の地に足を運んでも失望することはないということだ。パッケージは厚めのコーティングを施したフタ部分に燃えるようなラー油レッドを配した強烈なルックス。

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いざ食するための準備。フタを開けて出てくるのはかやく、粉末スープ、液体スープの3種の小袋。めんは細身のノンフライめんを仕様。心配になるくらい細い。かやく以外は全て調理後の投入となる。

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従ってこの時点ではお湯を注いでもどこにも辛そうな雰囲気は微塵もない。

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熱湯4分を経て開けるとスープ2種の投入。油の多い液体スープから投入して粉末スープがダマになってしまうのを防ぐために、先に粉末の方から入れてみる。

そして液体スープ。これが調理時のクライマックスである! とろとろのスープが投入されるとラー油の赤が一気にスープ表面を彩って、一気にパッケージに描かれている真っ赤な地獄レッドが広がる。白いシャツなら汚さないように相当の警戒が必要だ。

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めんは水分を含んで、ほどほどの細麺に変化。軽く箸でかき混ぜると素直にほぐれていく。スープ表面に浮かんでいるのはかやくの玉ねぎ。さらに通常のネギやニンニクなど香味を高めるアイテムが表面にズラリと浮かぶ。ラー油の濃さゆえに目立ちにくくなっているが、ここには鶏肉そぼろも入っているところがうれしい。

 

 

 

一口目は辛くない。むしろタマゴめんを連想させるまろやかな風味のめんのおいしさにびっくりする。細くても弾力もコシもあって、さらにスープもたっぷり絡め取ってくれるからうれしい。

そしてだいたい3口目くらいから辛くなってくる。びりびりとした辛さではなく、ラー油独特の吐息が熱くなるようなホットな辛さだ。それだけならたいしたことはないが、そこに鶏ガラとしょうゆという日本人好みのベースにカツオの旨みが加わって、かなりしっかりした旨みのパンチが加わるからたまらない。

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辛さは口腔内にとどまらず、ノドを伝い、胃袋に拡がり、全身にじんわりと遠赤外線のように広まって、カラダを温めてくれる。漁師や海女が冷え切ったカラダを温めるために好んだというのはすごくよくわかる。少しあたたかい陽気の日なら軽く汗ばんでしまうこと確実だ。

これはもうタンタン麺という先入観はいったん捨てて、ラー油たっぷりの辛味めんとして素直に楽しんだ方がいい。
めんは65gと標準量だが、辛さの勢いで食が進み、あっという間に食べ尽くしてしまうので育ち盛り男子には少々物足りないかも。手間はかかるけれど、ここにシメのごはんを投入したいと思う人は少なくないはずだ。

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めんを食べ終わって満足してもなお、残ったスープが魅力的なままだから、ついあと一口、あと一口と飲み干してしまうことも確実。塩分制限している人はナトリウム量が2.8g入っていることを忘れずに。しかし421kcalということだが、こうした辛味系のものは食べているそばから唐辛子のカプサイシン効果で少なからずカロリーを燃焼させるのが救いではある。

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希望小売価格は税抜で230円(2014年10月13日全国発売)。ちなみにこの商品の売り上げの一部は「愛Bリーグ」及び「熱血!!勝浦タンタンメン船団」のまちおこし活動の支援金となる模様。

公式サイト:勝浦タンタンメン

記者

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清水 りょういち

食レポからタバコ・コーヒーなどの体に悪い系、果てはIT、経済分野までフォローする新しもの好きライター。「わかりにくいをわかりやすく」がモットー。元「月刊歌謡曲/ゲッカヨ」編集長

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