液晶プロテクター『Liquid glass Coating(塗るガラスコーティング)』。塗ると確かに指紋は付きにくいが…
スマホやタブレットなどの液晶を守るプロテクターは、「貼る」タイプが主流だが、この『Liquid glass Coating』は、その名の通り、液体を「塗る」タイプなのである。しかし、これを塗って何かが本当に変わるんだろうか?液晶プロテクターの存在自体にやや懐疑的な記者が、さっそく、この商品を使ってみた。
この商品、海外で発売されているものを、株式会社パステムセゾン(北海道・札幌市)が輸入販売している。 商品の日本名は、『Liquid glass Coating(塗るガラスコーティング)』 だが、外国での商品名は、「INVISIBLE NANO-SHIELD SCREEN PROTECTOR」、つまり「目に見えない、ナノテク・スクリーンプロテクター」といった意味合いである。
パッケージを開けると、駅弁に入っているお手ふきのような袋に入ったウエットとドライの2枚のシート、それに液晶に塗る液体、仕上げふき用のクロスが入っている。
使い方は、極めて簡単で、要するに最初に汚れを落として、液体を塗り、乾かして再び塗り、乾かして最後に仕上げのから拭きをするだけのこと。
貼るタイプの液晶プロテクターは、貼るときにどうしても中に気泡が入ったり、ホコリが入ったりしやすく、またシートが少しずれて貼られたりすることがネックだが、 この「塗る」タイプであれば、気泡も入らないし、ホコリも入らないし、ずれることもない。そういう意味では、とても使い勝手のいい、液晶プロテクターだといえる。
しかし、塗っただけで本当にプロテクターとして“効く”んだろうか?というより、そもそも、液晶プロテクターって何のためにあるのだろう。本当に必要なものなのだろうか?
ネットで調べると、この商品について、「カッターなどの刃物でもキズが付かなくなる」ほど、保護性能が高いという表現をよく見かける。ほとんど、この言葉が、あちこちのメディアで一人歩きしている感がある。しかし、それを実証している記事は見かけない。
ところで、そもそもスマホのガラスは、もともと、カッターの刃ぐらいではキズなんて付きやしないのである。記者は実際に自分のスマホにカッターの刃を立てたことがあるが、かすり傷1つ付かない。当然、普通の使用でキズなど付かないから、むき出しのままで、何年使っても、液晶にはキズ1つない。
しかも、落として割れたときの飛散防止フィルムは、今時のスマホなら最初から当然付いているので、「キズ」防止などという用途では、プロテクターは無意味なように思える。
だとすると、液晶プロテクターの目的は ◆指紋や汚れを付きにくくする ◆指の滑りをよくする ◆のぞき見を防止する ◆反射光などを押さえて目の疲れを軽減する、といったところだろうか。
そこで記者は、1つの簡単な実験をしてみた。液晶画面の代わりに、DVDディスクの記録面を使って、右側半分にこの商品でコーティングを施し、左側半分には、何もしないで、違いが出るかどうかをやってみたのである。
始めに断っておくが、この実験によって、記者は何か絶対的なことを語ろうとしているわけではない。そもそも樹脂の上にコーティングしているのだから、ガラス面に塗布するのと同じような効果がでるとは限らない。しかし、その一方で、きっとこれで何かが見えるのではないかという思いもあり、実際にやったことと、その結果だけを記すので、あとは読者が何かを判断してくれればいいと思っている。
さて、実験結果だが、上の写真のように、DVDディスクを半分にわけ、左半分をこのコーティングの使用前、右半分を使用後の状態にして、カッターで切りつけてみたり、ネジの頭で引っ掻いてみたり、油性インクのボールペンで書いたり、いろいろやってみると、次のようなことがわかったのである。
・カッターで切ると、使用前も使用後も、いとも簡単に傷が付く。コーティングした面が、ことさら硬質な感じには全くなっていない。
・ネジで引っ掻くと、どちらもキズは付くが、使用後の方は、キズが薄く見えにくい。
・油性インクのボールペンで書くと、使用前ではしっかりインクが付くが、使用後のディスク面にはインクが付かない。
・そんなことをいろいろやっているときに、使用前の方は、指紋がいっぱい付いたが、使用後の方には指紋が付かなかった。
・コーティングした面の方が滑りは確実にいいことは実感できた。
・光の反射具合やのぞき見防止的な効果は何もない。
つまり、このDVDディスクの実験では、この『Liquid glass Coating』の効果は、「指紋や汚れが付きにくくなる」ことと「滑りがよくなる」ということだけであったし、「カッターでもキズが付かない」というのは、本当なのか、ちょっと疑いたくなってしまった。
最初に断ったとおり、これはあくまでも、DVDディスクでやった結果であることを再度、お断りしておく。
そして、最後に、自分のスマホに、この『Liquid glass Coating』を実際に施してみると、やはり指紋が付かなくなり、指の滑りが良くなったことは、はっきりと実感できることがわかった。特に「指紋が付かない」ということに関しては、効果絶大である。
また、塗った後に、液晶画面にカッターの刃で切りつけて全くキズが付かなかったが、それは、塗る前からもともとそうだったので、コーティングの効果かどうかは全くわからない。むしろ前述のDVDの実験をやったあとでは、カッターの刃でキズが付かないことがコーティングの効果だとは、記者には考えにくいのである。
さて本日の、記者の“おためし”は以上である。あとは、読者ご自身で判断して欲しい。
ちなみに、『Liquid glass Coating』は、税別1480円。ジャングル秋葉原店や、ネットショップ、その他で発売中である。
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