笑える動画は“必見”!だが、こんな人、本当にいる??PC“超”初心者限定…!? キングジム『カメラ付マウス』

の新商品、コンセプトはとてもシンプルで、ネーミングも、そのコンセプトをストレートに表現したもの。キングジム『カメラ付マウス』。もうこれ以上の説明のしようがないほど、そのものズバリ「カメラが付いたマウス」なのである。

メーカーのニュースリリースを見ると、「画像の貼付が必要なことの多い、ビジネスシーンでの企画書や報告書 、学生や研究者が作成するレポート、ネットオークションのページなどを作成する際に、手元で撮影して手間なくパソコンに取り込むことができるマウスです」との説明があるが・・・。

何よりまず、メーカーが作成している以下の動画が最も商品をイメージできるので、見ていただきたい。

確かに、この動画は笑えるし、見た直後は「いるいる!こんなヤツ」なんて思うかもしれないが、でもまじめに考えて、本当にこんなビジネスマン、いるだろうか?リリースにあるように、学生や研究者に、こんな人いるだろうか。

こうした企画書やプレゼン資料は、多くの場合、「パワーポイント」で作成される。それを駆使して資料を作る人が、今時、静止画像1枚の貼り付けに困窮するのは、あまり現実的とは思えない。しかもターゲットは、「画像の貼付が必要なことが多い」人なのである。そんなビジネスマンなら、もっとスマートに画像を扱えるのではないだろうか。

またカメラという道具は、デジタル化により、とても身近になり、ノートPCはもちろん、スマホにもタブレットにも付いているし、その保存・共有の方法も進化している。スマホで撮影して、それを添付して即メールしたり、撮影したら、ほぼ同時にPCに保存できているなんていうのは、当たり前だし、仮に動画の主人公のように、メモリーカードで写真をPCに読み込ませるにしても、差し込んで、ドラッグ1つで終わる作業が、そんなに面倒で厄介なのだろうか。

「リサイズなしで使えるちょうどいいサイズ」という言葉も響きはいいが、裏を返せば、「低解像度」であるということと同義である。

記者は、この商品を否定しようというつもりは全くないのだが、この新商品を「一体誰がどんな場面で使うのだろうか」というのが、非常に見えにくいと感じたのが、手にした時の第一印象なのである。

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パッと見は、ごく普通のマウスである。重さも87gと軽く、本格的なカメラの重さではない。ただ残念ながら、記者は、今さらUSBケーブルの付いた有線のマウスをわざわざ買う気持ちにはなれないというのも事実である。

マウスの左サイドに見える菱形のボタンは、マウスのときは「戻る」ボタンであり、カメラとして使用するときにはシャッターボタンとなる。

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裏には丸いカメラのレンズが見えている。この状態がカメラであり、このレンズを底面の板をスライドさせて隠すことで、マウスへの切り替えを行う作りになっている。

カメラのスペックは、「200万画素で、解像度は最大1600×1200(dpi)、固定フォーカス」というもので、例えば、同程度のスペックのWEBカメラであれば、実売2000円~3000円で買える。マウス機能がある分、この『カメラ付マウス』の税別4000円という価格は、実売価格が少し下がれば、お得感のあるレベルかもしれないが、WEBカメラには通常付属しているマイクは、この『カメラ付マウス』には付属していない。

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USBケーブルの長さは1.2m。カメラ撮影のときのことを考えて、多少長めの設定になっているのだろう。クリック感や、ホイールの操作感は、キリッとしていて悪くない。

画像などを保存する際のfile形式は、画像はjpg、bmp、png、ビデオはwmv、avi、オーディオは、wma、wavとなっている。

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さて、このカメラを使うには、付属の専用ソフト(「ArcSoft WebCam Companion 4」の機能制限版)が必要になるが、それは付属のCD-ROMからインストールするしかない。しかし、ここにもややチグハグな感じを受ける。

手軽にマウスから写真を撮って、文書に貼り付けるというシチュエーションは、CDドライブのないモバイル機器を使って出先で文書を作成するような場面が十分に想定されるが、それでは、この専用ソフトはインストールできないことになる。せめて、ダウンロードできる方法やUSBメモリー版などがあればいいと思うのだが、そうはなっていないのだ。

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大まかな商品構成を理解したところで、ものは試しである。さっそく、この『カメラ付マウス』を使ってみよう。

この写真は、キーボードの上を走るハマーを、この『カメラ付マウス』で撮影したものである。200万画素という画像の解像度は、見ての通りの程度である。それでもコントラストと明るさとシャープネスは、多少は調整できる専用ソフトなので、それを使って、できるだけ鮮明にしてみたのだが、これを企画書に貼付して使うのは、記者なら多少勇気が必要だろう。

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また専用ソフトでは、レクタングルのトリミングと、解像度を調整するリサイズも、簡単に行える。部分的にズームアップしたり、その部分の解像度を変えることなどは簡単にできる。

一方、静止画像の編集機能に比べ、ビデオ録画の編集機能は貧弱だ。基本的に、明るさとコントラストを調整出来る程度。他にやれることは、ほとんど見当たらない。基本的には、この『カメラ付マウス』は、動画で使用することを想定していないということだろう。

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静止画像の中に、文字を入れたり、手書きで何か書いたりすることは、とても簡単に行える。ニュースリリースにもあるような、企画書やレポート類に写真を貼り付けるという用途には、多少は使えるとは思うが、問題は、ベースとなる画像の画質が粗いこと。コマコマしたものを撮影するのには、使用をためらってしまう。

そうでありながら、このカメラでは結局、PCの周囲にあるコマコマしたものを、PCの周囲でしか撮影できないわけで、そのあたりにもチグハグさを感じざるを得ない。

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はじめにも書いたが、今は、カメラという道具は、いろいろな物に付属していて、非常に身近で性能のいいものがたくさん溢れている。

しかもiPhoneであれ、Androidであれ、スマホで撮影した画像データは、瞬時にPCで共有できるし、その画質は、この『カメラ付マウス』よりもずっと優れている。

そんなときに、この商品を誰が、どんなときに使用するのか。記者は悩んでしまうのだ。

例えば、デジカメもスマホも使わない、通販でPCを買って、年賀状を作るためだけに使っているようなPC“超”初心者の高齢者なら、この商品を重宝して使うかも知れない。

あるいは、とりあえず普段は使わないが、本当に何も持っていないときに、どうしても写真を何かのドキュメントに添えて使う必要が生じた場合の緊急避難用なら、念のため持っているのは“あり”かもしれない。

間違っても、ニュースリリースにあるような、ビジネスマン、学生、研究者が、日常的にこれを使うとは思えないのであるが、読者のみなさんは、いかがだろうか。

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パッケージの中身は、マウス本体と専用ソフトと取扱説明書で、税別4000円。非常にシンプルな商品で、初歩的な機能と、入門的な画質で写真を撮影・編集・活用できる、キングジム『カメラ付のマウス』。1月31日より、全国で発売中である。【渡邉 穣】

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渡辺 穣

渡辺 穣

50代男性。元日経トレンディ副編集長。アウトドア好きで、八ヶ岳山麓に暮らす。文具、IT、メカもの、サイエンスものが好き。

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