香料と酸味料だけで作り上げるイメージの限界を感じる!『紅茶花伝 とろける桜 ロイヤルミルクティー』

年も出ました、紅茶花伝の、この季節限定の“桜”もの。昨年は、「薫る桜」、今年は「とろける桜」。ボトルは満開の桜で飾られて美しく、日本人なら、思わず手にしたくなるようなイメージに仕上がっている。

しかし、「とろける桜」って、どういう味と香りなのか?桜餅のように桜の葉でも使っているならともかく、そうした桜ゆえんの原材料を一切使わない『紅茶花伝 とろける桜 ロイヤルミルクティー』。さっそく試してみた。

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もともと上品で高貴なイメージ作りのため、世阿弥が著した能の理論書である『風姿花伝』からその名をいただいたという『紅茶花伝』。そこからして、この商品は、イメージに大きく依存しているような印象を受ける。

この「とろける桜」も、アッサム茶葉と国産牛乳でミルクティーを作り、そこに桜の薫りを乗せているわけだが、その薫りがどうも微妙なのである。

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確かに、「とろける桜」という名前を見て、それからボトルに広がる満開の桜の花の写真を見たあとなら、キャップを開けたときに感じる甘い香りを「桜のいい香りだ!」と勘違いするかもしれないが、もし商品の名前も知らず、目隠ししてこの飲料のキャップを開けたなら、記者はおそらく「バナナジュース?りんごジュース?」なんて思うに違いない。

味は、記者がこれまでも、この手の紅茶飲料に対して書いているように、「紅茶ではなく、あくまで紅茶飲料だと思えば、普通に美味しい」。甘くて、何らかのフルーツの香りがして、少し紅茶の雰囲気が漂う。

名前とボトルの見た目と香料と酸味料の合わせ技で、どうにか「とろける桜」にたどり着いている飲料だが、何となく、世阿弥さんに申し訳なく感じてしまうのは、記者だけのことだろうか。

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さて、この季節限定の『紅茶花伝 とろける桜 ロイヤルミルクティー』は、2月発売で税別140円。ぜひ、桜の先入観を捨てて、目を閉じて飲んでみて欲しい。あるいは「これは桜なんだ」と自己暗示をかけて飲むべきか。

記者

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渡辺 穣

複数の雑誌のデスク・編集長等を経てフリーライター/エディター。主にビジネス/経済系の著書・記事多数。一橋大学法学部卒。八ヶ岳山麓に移住して20年以上。趣味は、スキー、ゴルフ、ピアノ、焚き火、ドライブ。山と海と酒とモーツァルトを愛する。札幌生まれ。

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